ランボルギーニのファクトリードライバーであるミルコ・ボルトロッティは、ニュルブルクリンク24時間の終盤の戦いを「狂気じみたもの」と表現した。5月16~17日に行われたレースでボルトロッティらがドライブした84号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(レッドブル・チーム・アプト)は、レースの最終盤にペナルティを受けるなか、マティア・ドルディ駆る35号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ(ワーケンホルスト・モータースポーツ)を僅差で抑えて2位表彰台を獲得した。
84号車ランボルギーニは、レースの最後の1時間を総合2番手で迎えたが、ポールシッターのルカ・エングストラーがコード60区間を116km/hで走行したことが判明し、チームには86秒のペナルティが課せられていた。
ラベノールAMGが総合優勝。過去最多35万2000人がフェルスタッペンAMGとの激戦を見守る/ニュル24時間後半レポート
一方、3番手の35号アストンマーティンは、最終スティント開始時点でランボルギーニから90秒遅れていたものの、ドルディは雨粒が落ちるなかでカットスリック(溝付きスリック)タイヤを選択しており、その差を詰め始める。
残り1周の時点で、ドルディはランボルギーニのファクトリードライバーからわずか73秒差まで迫っていたが、最終周のドッティンガー・ヘーエでコード60が発生しアストンマーティンが遅れたことで、ボルトロッティ、エングストラー、パトリック・ニーダーハウザー組は、ペナルティ適用後も16.439秒差で2位を守り抜いた。
「最後のスティントは本当にクレイジーだったよ。僕たちはスリックタイヤで行くことを決めたが、彼らはカットスリックを履いていた。路面コンディションはコーナーごとに、あるいはセクションごとに、刻々と変化していた」とボルトロッティはSportscar365に語った。
「それから雨が激しくなり始めた。僕は本当に、本当に全力でプッシュしていて、何度も何度もクラッシュしそうになった」
「あのような状況のなか、スリックタイヤで走るのは、決して気持ちの良いものではない。ましてや結果を出すためにプッシュしなければならないと分かっている状況ではね」
「それはたしかに嫌なことだが、もう一方で、それが僕たちがここにいる理由でもある。実際はレースを楽しんでいたのだが、あの瞬間だけはそうではなかったと言える」
最終周のコード60がドルディの追い上げを妨げただけでなく、彼は低速で走るトラフィックにも遭遇し、結局ニッキー・ティーム、クリスチャン・クローグネスとともにシェアしたマシンで3位に甘んじることとなった。
ドルディはSportscar365に次のように語った。「チームがインターミディエイトタイヤを履かせるという本当に良い判断をしてくれた。もう少し雨が降ることを期待していた。なぜなら、より雨が降った唯一のラップが最後から2番目のラップで、そこでランボルギーニに対してかなりのタイムを稼いだからだ」
「最終ラップは僕たちにとって少し乾きすぎてしまったため、少々タイムを失った。さらに運が悪かったのは、すでにファンに手を振っているマシンのトラフィックに捕まってしまったことだ。それらが並走していたので、遅いクルマを追い越すスペースが本当になかった」
「彼らはただゆっくり走っていただけで、それは素晴らしいことだ。それがこのレースの精神なのだからね。だが、GT3(SP9)クラスの争いはつねに非常にタイトだ」
「あそこで少し時間を失ったし、最終ラップの終わりのコード60も不運だった。しかし、表彰台に上がれたことには満足している」
■ウラカンにとって「良い締めくくりになった」
2位フィニッシュは、ランボルギーニにとってニュルブルクリンク24時間での過去最高の結果だ。2026年から投入される新型GTカー『テメラリオGT3』が今後イタリアのメーカーの主要モデルとなるため、これがウラカンGT3エボ2にとって、ファクトリー支援体制での本レースへの最後の出場となる可能性が高い。
2015年のデビュー以来、このマシンでレースをしてきたボルトロッティは、次のように述べた。「これはウラカンにとって、ひとつの章の良い締めくくりになった」
「ウラカンはまだ公認(ホモロゲーション)期間が残っているが、この後どうなるかは分からない。またここで、あるいはどこかでレースをすることもあるかもしれないが、現時点では計画されていない」
「だから、ここニュルブルクリンクでこのような大きな結果を残して、ウラカン・プロジェクトを終えられるのは素晴らしいことだ」
「これは、僕たちがここ数年本当に懸命に取り組んできたことであり、クルマはそのポテンシャルを証明してきたと思う。とくにニュルブルクリンクでは、何らかの理由で、これまで本当にやり遂げることができなかった」
「だから、このプログラムに関わっている全員にとって、大きな安堵感があると思う。彼らがファクトリーでクルマの準備に尽力してくれたことに感謝したい」
「もちろん優勝を夢見ていた。僕にとって、2020年のアウディでのデビュー以来、ニュルブルクリンク24時間で2位になるのは2回目だ。勝利を目指すチャンスが巡ってくるを願っている。それが目標だからだ」
■優勝争いに絡めたかどうかは「何とも言えない」
金曜日の予選で48号車と130号車の両ウラカンがフロントロウを独占した後、レッドブル・チーム・アプトの状況は良好に見えた。しかし、チームにとってレースのスタートは厳しいものとなる。
ポールポジションからスタートした84号車は、ダニエル・ジュンカデラ駆る3号車メルセデスAMG GT3エボ(フェルスタッペン・レーシング)との接触により1周目に左リヤタイヤがパンク。緊急ピットインを余儀なくされる。また、姉妹車の130号車はマルコ・マペッリのジャンプスタートにより32秒のストップ・アンド・ホールド・ペナルティを科されてしまう。
だがそれ以降、84号車のクルーはトラブルを避け、他の有力チームの多くが苦境に陥るなかで徐々に順位を上げ、表彰台争いに返り咲いた。
「昨日の15時2分の時点(スタート直後)の状況を考えると、もし君が『明日、表彰台に立っているよ』と言ったなら、僕は君に『頭がおかしいのか』と聞き返しただろう」とボルトロッティは付け加えた。
「ここで2分30秒のハンディキャップを背負ってレースを始めると、リカバーするのはほぼ不可能だ。ここではセーフティカーが出ないし、他のシリーズのレースにあるような、あらゆる種類のニュートラル措置が一切ないからだ」
ボルトロッティは、パンクの挫折がなければアプトチームが優勝争いに挑めたかどうかについては、「何とも言えない」と述べた。
「『こうできていたら、こうしていれば』といったことは、今は問題ではない」と彼は付け加えた。「確かに優勝を目指せれば良かったが、メルセデスを相手に厳しい戦いになっていただろうと思う」
[オートスポーツweb 2026年05月18日]
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