2020年1月の発売以来、進化を続けるトヨタ GRヤリス。2025年9月の「エアロパフォーマンスパッケージ」の販売に合わせ、2025モデルの試乗会が開催された。2020モデルとの比較のため、おなじみ国沢親方が全開試乗を行った!!
※本稿は2025年9月のものです
【画像ギャラリー】試乗を忘れるほどのアツい走り!? 国沢親方が改良されたトヨタ GRヤリスでサーキット全開走行!!(24枚)
文:国沢光宏/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年10月26日号
世界唯一の“武闘派”GRヤリスに試乗
当たり前のことながら競技車両は速さを追求するため、改良ポイントが見つかったら随時投入していく。だからこそWRCで戦っていた頃のランエボやWRXは毎年進化させていった。現在販売されているクルマではGRヤリスが世界唯一の“武闘派”と言っていい。
ということで『25式』のGRヤリスの試乗です。ここまで読んで「あれ?」と思った人も少なくないだろう。GRヤリスは年次モデルを『式』と呼ぶようにしたそうな。
ランエボの場合、進化を示す『EVO』。WRXは文字どおり『バージョン』。GRも考えたに違いない。結果、日本っぽく『式』とした。なんかいいネーミングですね!
24式から25式への進化点だけれど、ベースモデルについちゃそれほど大きくない。トヨタの得意技になったサスペンションと車体を締結するボルトの強度を上げクルマの「しっかり感」を出し、DAT(8速AT)の制御を一段とスポーティな方向に振っている。
もうひとつは『エアロパフォーマンスパッケージ』というモデルを追加したこと。
WRCラリー2クラスに参戦しているGRヤリス ラリー2は、大型のリアウイングやフロントのスポイラーが付く。ラリー2の最高速は190km/h程度。100km/hのコーナーでもウイングやスポイラーを付けると車体の安定性が大きく違う。
だったら市販モデルにも取り入れようとなったという。すでにリアウイングを付けているGRヤリスは結構多いけれど(笑)。
メーカー純正とあり、風洞試験や開発ドライバーの大嶋和也選手などの走行データ&フィールをベースに仕上げている。特にリアウイングは前後のバランスを考えないと、むしろ落ち着かない挙動になってしまう。
今回試乗した袖ケ浦サーキットでいえば、4速全開の2コーナーは150km/h以上になる。乗り比べのため用意されていた272馬力の20式だと速度的に不安感なし。304馬力の24式や25式は、ライン取りを含め慎重に攻めなければならない。
縦引きPKBも扱いやすくおススメだ
エアロパフォーマンスパッケージで試すと、拍子抜けするくらい全開のまま安定してクリアしてしまった。レースなどで競り合ったら自由なライン取りができないが、強引に飛び込んだって問題なし。御予算に余裕あればオーダーすることを薦めておく。
また、試乗車には全グレードにオプション設定されることになった縦引きタイプのパーキングブレーキが付いていた。コーナー中の姿勢制御で使う(チョイ引きする)時に最高です!
そうそう、比較車として用意されていた20式も思い切り攻めてみたが、パワーが低いぶんだけ速度域が低くなるのみ。走る楽しさという点では遜色なかった。
むしろ24式や25式は攻めると速度域高いぶんだけタイヤ温度が上がってしまい、前後のグリップバランスなど落ちてしまう。もしもミニサーキットなどで楽しむのなら、熱だれしないタイヤを使うといいと思う。
次なるGRヤリスの進化目標は10ラップ(約25km)走ってハンドリングが変わらないクルマですかね!
25式の納期と人気モデル
GRヤリスは豊田市の元町工場にある専用ライン、GRファクトリーで生産されている。以前は長納期の状態があったが、現在は2カ月が標準で、お店によっては1カ月くらいで納車されるようで、希少なスポーツ4WDがそれほど待たずに手に入る。
なおMTとDAT比率はDATのほうが6割弱と比率が高く、エボモデルのようなエアロパフォーマンスパッケージは特に評判がよく、35%ほどのシェアを予定しているという。
初期型の中古の程度のいいモデルが350万円以上することを考えると、納期も短い25式は魅力的かも。ちなみにRZやRZハイパフォーマンスは24式に比べ、価格据え置きと頑張った。
●トヨタ GRヤリス25式 進化のポイント
・エアロパフォーマンスパッケージの設定
・締結剛性向上ボルトの採用
・ダンパー&EPSチューニングの最適化
・DATのシフトアップ&ダウンの制御変更
・DATのフットレスト拡大
・縦引きパーキングブレーキの全グレードオプション設定
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