現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 軽自動車にも付いているのになぜ? 高額車でもパドルシフト不採用の現行車が存在するワケ

ここから本文です

軽自動車にも付いているのになぜ? 高額車でもパドルシフト不採用の現行車が存在するワケ

掲載 更新 11
軽自動車にも付いているのになぜ? 高額車でもパドルシフト不採用の現行車が存在するワケ

 スポーティな走りだけでなく街乗りにも寄与

 パドルシフト。それはステアリング奥の左右に装備される、ダウンシフト、アップシフトを操作するスイッチである。F1マシンに採用され、スポーツカーの採用例が多いことから、スポーティに走るための機能……と思いがちだが、じつはそうでもない。

【意外と知らない】オートマの「N」ニュートラルは何に使う?

 とくにパドルシフトの「-」スイッチを引くことで、”ステアリングから手を放さずに”行える自動シフトダウンによる減速操作は、下手にブレーキを踏むよりずっとスムースかつ自然な減速、スピードコントロールが可能となる。後席に小さな子供やペットが乗っているときなど、その効果は絶大。たとえば、首都高速道路などを流している際、前車との距離が詰まった時、パドル操作でスムースに減速し、距離を保つことができるというわけだ。

 もちろん、山道走行などでシフトダウンし、より強い駆動力を発揮したい時にも有効なのはもちろんだが、日常的にもスムースな運転に直結する機能といっていい。

 また、自動車メーカーの開発者も語るように、機械的にブレーキを作動させずに減速=ブレーキングが行えるため、ブレーキパッド、ブレーキローター、さらにはタイヤの摩耗まで抑制する効果があるのだから、経済的な走行、維持が可能になる機能でもあるのだ。実際、ボクのクルマにはパドルシフトが付いているが、6年目の今でも、パドルシフトによる減速、ACCによる減速を行う機会が多いため、ドイツ車ゆえやわらかいブレーキパッド、ローターのダメージは最小限。交換なしに今に至っているほどだ。

 そんな、走りの楽しさにも、スムースな走りにも、経済的なクルマ生活のためにも役立つパドルシフトだが、軽自動車のターボモデルにさえ付いている時代に、しかし高級高額車でも付いていないケースがある。

 たとえば、トヨタのフラッグシップミニバンであり、300馬力オーバーの3.5リッターV6エンジンを揃えるアルファード、ダイナミックトルクベクタリングコントロールによって、オフロードの走破性の高さはもちろん、オンロードで曲がりに曲がるスポーティな走りさえ可能なRAV4アドベンチャーグレード、コンパクトカーながらスポーティなキャラクターが好評のトヨタ・ヤリスなどにも付いていない。

 輸入車でも、ターボ&スーパーチャージャー+モーターによってシステム出力405馬力を誇るボルボV60 T8 Twin Engine AWDにも、というか、ボルボ車にパドルシフトは採用されていない。

 ヤリスは日本仕様にのみパドルシフトを用意しない

 ではなぜ、そうしたクルマにパドルシフトが装備されないのか? 自動車メーカーに話を聞くと、「それはニーズが大きい」とのこと。アルファードのような高級ミニバンのドライバー(ショーファー)にとって、パドルを操作してスポーティに走るシーンなどめったになく、どうしてもスムースに減速、加速したければ、シフター(シフトレバー)のマニュアルモードが用意されていますよ、ということだ。

 ニーズという意味で分かりやすいのが、ヤリス。じつはパドルシフトが用意されていないのは日本仕様だけ。たとえば欧州仕様では、しっかりパドルシフトが装備されているのである。

 これこそニーズで、CVTにまだ馴染みのない、MTを好む欧州のユーザーにより自身で操っている感覚を持たせるとともに、CVT独特のラバーバンドフィールを感じさせない、メリハリある走りを楽しんでもらいという、仕向け地のニーズに対応する回答が、パドルシフトの装備というわけだ。構成部品はパドルスイッチ、ワイヤーハーネス、そして制御システムとシンプルで、原価はごく安価(数千円!?)。それでもニーズのない国向けには、ほかの部分にお金をかけたほうがよい……という考え方なのである。

 ボルボの場合は、やはりジェントルなドライバーに愛され、安全第一のメーカーゆえに、スポーティ志向と受け取られかねないパドルシフトに消極的なのも、頷けるというものだ。

 ちなみに、パドルシフトによる減速効果は、アクセルオフで回生を発生させ、減速機能が働くHVなどの電動車よりも、一般的なガソリン車のほうが効果大と言われている。

 とはいえ、個人的には、パドルシフトのないクルマは愛車候補の対象外。繰り返すが、スムースな減速、スピードコントロール性が得られるということは、わが家のように愛犬を後席に乗せる機会が多い使い方にはうってつけ(赤ちゃんを乗せる場合も)。ブレーキパッド、ローター、タイヤの減りが少なくて済んでいる経済性にかかわるメリットと合わせ、スポーティーな運転をしないユーザーにも、ぜひともお薦めしたいクルマの装備、機能なのである。もちろん、AT、CVT、デュアルクラッチミッションのクルマでも、よりメリハリある、クルマを操作している感覚が得られるファンな走りが可能になり、たとえSUVやミニバンだろうと、大きなメリットになりうると思っている。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【中国メーカー初受賞】BYDシール 「Euro Car Body 2024」車体構造デザイン部門で第3位
【中国メーカー初受賞】BYDシール 「Euro Car Body 2024」車体構造デザイン部門で第3位
AUTOCAR JAPAN
アルファロメオ『33ストラダーレ』新型、「ベスト・イン・クラシック2024」の最高賞を受賞
アルファロメオ『33ストラダーレ』新型、「ベスト・イン・クラシック2024」の最高賞を受賞
レスポンス
新車77万円! ホンダ革新的「コンパクトカー」に「安くて広くて最高!」の高評価! 全長3.7mで「フィット」より小さい“街乗り最強”モデルとは! デザイン&乗り心地も大満足
新車77万円! ホンダ革新的「コンパクトカー」に「安くて広くて最高!」の高評価! 全長3.7mで「フィット」より小さい“街乗り最強”モデルとは! デザイン&乗り心地も大満足
くるまのニュース
トヨタ新型「最小級SUV」登場か!? 「ヤリスクロス」より小さい“静音モデル”に「カッコいい!」と反響アリ! 「bZ1X」かもしれない新型車に期待大!
トヨタ新型「最小級SUV」登場か!? 「ヤリスクロス」より小さい“静音モデル”に「カッコいい!」と反響アリ! 「bZ1X」かもしれない新型車に期待大!
くるまのニュース
エバンスが0.7秒リードの接戦。トヨタ2台がパンク、ヌービルに“ノーパワー”トラブル/ラリージャパン デイ2午前
エバンスが0.7秒リードの接戦。トヨタ2台がパンク、ヌービルに“ノーパワー”トラブル/ラリージャパン デイ2午前
AUTOSPORT web
ええええぇついに最後か!? 鮮明なボディカラーに思わず見とれる!!!!!!!!! 爆速2Lターボのホットハッチ[AMG A45 S]の魅力度がマシマシ
ええええぇついに最後か!? 鮮明なボディカラーに思わず見とれる!!!!!!!!! 爆速2Lターボのホットハッチ[AMG A45 S]の魅力度がマシマシ
ベストカーWeb
なんちゃってセレブ、ヒョンデ新型「アイオニック5N」の「ファーストエディション」を激オススメ! 限定50台のうち22台が「マガリガワ クラブ」に集合!
なんちゃってセレブ、ヒョンデ新型「アイオニック5N」の「ファーストエディション」を激オススメ! 限定50台のうち22台が「マガリガワ クラブ」に集合!
Auto Messe Web
「ノーマルタイヤで立ち往生」に国交省ブチギレ!?「行政処分の対象です」2年連続で大量発生…「スタックの7割が夏用タイヤ」今年も緊急警告
「ノーマルタイヤで立ち往生」に国交省ブチギレ!?「行政処分の対象です」2年連続で大量発生…「スタックの7割が夏用タイヤ」今年も緊急警告
くるまのニュース
いやあ、クソ暑かったよ! ラスベガスF1初開催を知るエディ・チーバーに訊く。悪名高き“駐車場コース”でのレースは「悪い思い出ではない」
いやあ、クソ暑かったよ! ラスベガスF1初開催を知るエディ・チーバーに訊く。悪名高き“駐車場コース”でのレースは「悪い思い出ではない」
motorsport.com 日本版
「AI EV時代のトヨタ」めざすファラデー・フューチャー、新型EV『FX』最初の試作車が完成
「AI EV時代のトヨタ」めざすファラデー・フューチャー、新型EV『FX』最初の試作車が完成
レスポンス
待ってろスイスポ!!! FF1.3Lターボのピリ辛ボーイズレーサー[新型GRスターレット]は若者にも手が出しやすい250万円で登場か!?
待ってろスイスポ!!! FF1.3Lターボのピリ辛ボーイズレーサー[新型GRスターレット]は若者にも手が出しやすい250万円で登場か!?
ベストカーWeb
F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
AUTOSPORT web
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
AUTOSPORT web
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
くるまのニュース
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
VAGUE
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
ベストカーWeb
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
WEB CARTOP
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
くるまのニュース

みんなのコメント

11件
  • スポーツ走行の為にパドルシフトは使用しないなぁ。
    長い下り坂ではエンジンブレーキ効果で多用するけど。
  • ステージアに付いていたけど使ったのは最初の1週間だけだった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村