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半世紀前の希少な“白バイ”を豪オークションで発見 55年前に登場したホンダ「CB750」ポリス仕様の“真の価値”とは

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半世紀前の希少な“白バイ”を豪オークションで発見 55年前に登場したホンダ「CB750」ポリス仕様の“真の価値”とは

ホンダ白バイ開発史とCB系進化の歩み

 海外オークションにホンダ「CB750」の白バイ仕様が出品されました。

【画像】55年前のホンダ「CB750」“白バイ”仕様を写真で見る(30枚)

 1970年代に国内外の道路を守ったこの希少マシンには、どのような専用装備が備わっているのでしょうか。

 ホンダは1960年代半ばに二気筒のドリーム「CB450P」で白バイ市場へ参入して以降、警察用二輪を継続的に供給してきました。

 道路における安全確保という任務のためには、高速追跡能力と低速巡視の安定性を両立することが不可欠であり、長時間走行に耐える快適な乗車姿勢や、高容量オルタネーターによる電装強化も欠かせません。

 さらに、転倒時に乗員と車体を保護するクラッシュバーや、速度計針を任意に固定できる精密速度計など、警察独自の装備が求められました。

 1969年に登場した市販ドリームCB750FOURは、736cc空冷4ストロークSOHC直列4気筒で最高出力67PS、最高速度200km/hという当時の量産二輪最高水準を誇りました。

 アメリカ市場から求められた「排気量750cc、四気筒、キャブレター4基、マフラー4本、最高200km/h」を実現したこのモデルは、二気筒主流だったロードスポーツの概念を一変させ、瞬く間に世界的ヒットとなります。

 その性能と耐久性は、発売直後の1969年鈴鹿10時間耐久レース優勝という実績で裏づけられ、自らの速さと信頼性をレースで証明しました。

 その圧倒的なパワーを公務に転用したのが、翌1970年に登場した「CB750P」です。

 市販車のメカニズムをベースにしながら、白一色の塗装、書類ケース、赤色灯、機械式サイレン、速度ロック機構付き速度計、前後クラッシュバーなどを工場に組み付け、警察任務に最適化しました。

 車体サイズは全長2325mm×全幅890mm×全高1210mmで、ホイールベース1515mmです。装備増加に伴い乾燥重量は246kgと市販車より約30kg増加しましたが、5速ミッションと高出力エンジンにより、高速追跡と低速隊列走行を両立します。

白バイ特有の補機類がすべて動作可能

 今回オークションに出品された車両は「CB750P0 Police Special」と案内され、エンジン番号CB750E1022147を持つ豪州向けの実車です。

 過去にフレームアップレストアとエンジン再構築が行われ、エンジンブロック再ボア、シリンダーヘッド機械加工、カムテンショナーとプライマリテンショナーの交換など、大掛かりな整備が実施されました。

 さらに、ギアボックスベアリング、ガスケット、シールを一新し、配線ハーネスやケーブル、フォークチューブ、ホイールベアリング、ショックアブソーバーも新品または新古品に置き換えられ、NOS速度計とNOSケーブル駆動サイレンまでも備えています。

 外装は白い燃料タンクとサイドカバーに黒のデカールを配し、黒ビニールのソロシート側面にも白を組み合わせて統一感を高めています。

 前後に装着された鉄製パイプのバンパーバーは、転倒時の衝撃を吸収し、赤色灯と機械式サイレンが周囲へ強い存在感を示します。速度計はヘッドライトケースに組み込まれ、速度固定ボタンで走行速度を即座に記録でき、取り締まり証拠として活用されました。

 走行距離はレストア後わずか517kmにとどまり、2024年3月にはエンジンオイルとフィルター交換を実施しています。売主によれば、オーストラリアへは4台のみ輸入されたCB750Pの中で、完全装備を維持する唯一の個体とされ、希少性が際立ちます。

 現車は白バイ特有の補機類がすべて動作し、クラシックながら実走行も可能なコンディションを誇ります。

 一方、オークションでは入札が目標額に届かず不落札となり、最終価格は公表されていないません。

※ ※ ※

 CB750Pが誕生した背景には、「最速には最速で対抗する」という警察の使命がありました。当時の二気筒白バイでは市販CB750FOURの高速性能に追随できず、736cc四気筒をそのまま公用仕様へ転用する決断が下されます。

 今回の個体は豪州仕向けの希少車でありながら、当時そのままの機能を保ち、オーナーの手で丹念に整備されてきました。

 赤色灯の光とサイレンの咆哮は、50年以上前の公務を想起させ、見る者に時代を超えた迫力を伝えます。不落札という結果は関心の高さを示す裏返しでもあり、次の取引機会ではその希少性が改めて評価されるでしょう。

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みんなのコメント

10件
  • zuq********
    カワサキもアメリカのハイウェイパトロールやシティポリス用にZのポリス仕様を作製、フェンダーの深さやフロントスクリーン、サドルシート、ボード型ステップなどにアメリカを感じます。
  • motorider
    もし、日本に輸入して車検に合格するには装備を全て外せと言われるのでしょう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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