元F1ドライバーのフェリペ・ナッセは、2023年からFIA世界耐久選手権(WEC)とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)の最高峰クラスに投入されるLMDhマシンはV6ハイブリッドエンジン搭載のF1マシンを思わせるモノだと語っている。
2015年~2016年にザウバーからF1へ参戦していたナッセは、F1デビュー戦で5位入賞という最高位を記録し、F1シート喪失後はスポーツカーレースへ転向。2018年と2021年にはアクション・エクスプレス・レーシングのキャデラックでIMSAプロトタイプクラスのタイトルを獲得した。
■特集|参戦メーカー名、全部言える? どんなメーカーがWEC/IMSA最高峰クラスをLMH/LMDhで走るかまとめてみた
2021年末にはポルシェとワークス契約を交わし、2022年シーズンはデイトナ24時間レースにパフ・モータースポーツから『911 GT3R』で参戦し、GTD Proクラスで優勝。2023年からの投入に向けてポルシェが開発してきたLMDhマシン『963』のテストドライバーをプロジェクト当初から務めてきた。
ナッセはポルシェの本拠地があるドイツ・バイザッハでのデビュー以降、アメリカとヨーロッパのサーキットで数千kmに渡り走り込んできた。
「ハイブリッドシステムが加わったことで、F1時代を思い出した。ステアリング上には、僕らドライバーが見て、やらなきゃいけないことが沢山あるんだ」
そうナッセは言う。
「マシンと共にレースをするのが待ちきれないよ。マシンがワイドかつ長くなって、僕としてはめちゃくちゃイカした見た目だと思う!」
「初日からプロジェクトに参加し、コースに出る前から963が誕生する場に立ち会えたのは、他では得られない感覚だ。最初から関われていたのは、とてもクールな経験だったよ」
2023年はマット・キャンベルと共にIMSAで7号車を走らせるナッセ。LMDhマシンが共通ハイブリッドシステムを搭載することで、これまでのDPiマシンとはドライビングの面で変化が生まれたと感じたようだ。
「ハイブリッドシステムが搭載されることで、DPiとはフィーリングが違ってくる。ドライビングスタイルや新しいタイヤなど、違いは確かにある」とナッセは言う。
「ブレーキペダルを踏むと、機械式ブレーキだけじゃなくて、組み合わされたハイブリッドシステムの電動モーターもマシンを減速させるんだ」
「ブレーキを踏むとすぐに止まるというのは変わらないけど、ペダルから伝わってくる感覚が違うんだ。僕ら全員に学ぶ時間が必要だけど、楽しめている。マシンの見た目も良いし、走りも良いよ」
ハイブリッドシステムの搭載により、LMDhマシンではブレーキングで電力を回生。レースでは、その生み出されたエネルギーを使用することで1スティント辺りの周回数が増え、タイヤと燃料の管理がより重要になる。ここにはバッテリーと電動モーター搭載による重量の増加も関係してくるとナッセは指摘する。
「DPiマシンよりもパワーはある。唯一の欠点は重量だ。コーナースピードではそれを感じるし、タイヤにかかる負荷も以前よりずっと大きくなっている」
「スティントは長くなって、僕らの乗る時間は増えると思う。だからDPiの時みたいに、30~40分間アクセル全開ということはないだろうね。今は50~60分間、マシンやタイヤ、燃料をコントロールしなきゃいけないんだ。その分、ドライバーの体力的には楽になると思う」
「IMSAでのレースは、これまでのキャリアで最も楽しいレースのひとつだ。チャレンジングだしハードで、良いドライバーやチームが沢山ある。あらゆる自動車メーカーが参加していて、スポーツカーレースにおける黄金期が訪れようとしている。僕も本当に楽しみだよ」
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