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【ミドV8にマネッティーノ】トゥーリング・スーパーレッジェーラ・アレーゼRH95へ試乗 後編

掲載 更新 1
【ミドV8にマネッティーノ】トゥーリング・スーパーレッジェーラ・アレーゼRH95へ試乗 後編

ベースモデルはイタリアンV8ミドシップ

執筆:Richard Bremner(リチャード・ブレンナー)

【画像】限定18台 アレーゼRH95 イタリアンV8ミドシップの代表といえば 全92枚

撮影:Luc Lacey(リュク・レーシー)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


20世紀のコーチビルダーと同じく、トゥーリング・スーパーレッジェーラ社はアレーゼRH95のベース・モデルを選ぶ必要があった。だが、彼らは具体的には明らかにしたがらない。オリジナルの評判からメリットを受けていると、考えられたくないからだ。

間違いのない伝統を備えた、パワフルなミドシップという素材が必要だった。説明資料には、イタリアのスーパーカー・メーカーが生み出す、素晴らしいV8モデルがベースだと記されている。

オリジナルの最新版は、アレーゼRH95よりパワフルな720psを発揮する。AUTOCARの読者なら、想像は付くだろう。トゥーリング・スーパーレッジェーラ社との問題を増やすような記載をせずとも、その事実は観察すればわかる。

カロッツエリアのおかげで、ミドシップ・スーパーカーに多様性と独自性が付加されている。とても素晴らしい創造だ。ただし、享受できるのは資金力に余裕がある人に限られるのだが。

現時点で最も評価の高いV8エンジンのスーパーカーを購入し、車両価格の数倍の金額を払ってカロッツエリアに手を加えてもらうのは、簡単に決断できることでもない。ミラノ近郊で腕を振るう、技術者集団に対してだとしても。

ボディパネルは、ほぼすべてが新しい。ベースと同じフォルムは、フロントガラス周りのみだという。

パワートレインやサスペンション、フロント部分の構造、ダッシュボードにシート、電子制御システムなども、基本的にはキャリーオーバー。ベース車両の認証と、衝突試験データをアレーゼRH95も受け継ぐ必要があるためだ。

魅力に溢れるV8ツインターボ・サウンド

独自に認証を取得し衝突試験を実施すれば、生産コストは遥かに高くなってしまう。とはいえ選択されたベースは、指摘すべき問題が備わらないようなモデルだから、余計な心配は不要だ。

アレーゼRH95のシザーズドアを開くには、かなりの力が必要。ステアリングホイールには、どこかで見慣れた「マネッティーノ」のダイヤルが配されている。

赤いボタンを押して、エンジンに火を入れる。モニター式のリアミラーに、2筋の湯気が映る。アレーゼRH95のエグゾースト付近に、カメラが付いている。

ほどなくして、エンジンは少し賑やかなアイドリング状態に落ち着く。トランスミッションは7速デュアルクラッチAT。オート・モードでもいいが、右手で固定式のシフトパドルを弾き、1速に入れて発進させる。

アレーゼRH95が進み始めた瞬間から、シャシーが特別なものだと感取できる。不快と感じない程度に、路面の凹凸が伝わってくる。低速で走行していても、シリアスな性能の持ち主だと想像できる。フィードバックに満ちている。

速度を速めても、隆起部分や路面の波打ちをいなしてはくれない。だが引き締まったタイヤの動きには、明らかな滑らかさがある。ボディとダンパーの相互的な動きを味わう。

V8エンジンのサウンドも、魅力に溢れている。負荷の上昇とともに、乾いた轟音が高鳴る。8500rpmのレブリミットに迫るほど、メカニカルなノイズも高まる。現代的なモノではないかもしれないが、色褪せることはない。

天真爛漫に次々とコーナーを抜けていく

ドライバーの頭上に伸びるドーサルスクープから、空気を吸い込む電動ファンのノイズも聞こえる。エンジンの冷却機能を担う重要な吸気口だが、モーター音が大きく、気温が低めでも車内へ明確に届いてくる。あまり聞き心地は良くない。

しかし30分ほど走ると、ステアリングホイールを手のひらで激しく操っていることに気付く。アレーゼRH95の秀逸なバランスに一度気づけば、些細なことは忘れてしまう。

ステアリングホイールの反応はとてもクイック。アレーゼRH95は、見えない軸を中心に回転するギアのように、ラインを保ちながらコーナーを抜けていく。天真爛漫に次々と。

チャレンジングなカーブが続く道を、ハイスピードで駆けていく。ドライバーの心を、デトックスしてくれるようだ。制御は難しくない。猛烈といえるような速度を、受け入れてくれる。

素晴らしいクルマだが、残念ながらそう簡単には手に入らない。R.Hというイニシャルのオーナーに、今回の試乗車は売却済み。95という数字は、トゥーリング社の創業から95年目を指している。95台作られるわけではない。

R.Hという人物は、アレーゼの技術開発へ資金提供を行ったという。デザイナーのルイ・ド・ファブリベッカーズ氏が話すように、このプロジェクトのディレクションにも大きな影響を与えたという。

「お客様は1950年代や1960年代のスポーツカー、特にアルファ・ロメオ33ストラダーレをイメージされていました」。1967年に生み出された8気筒ミドシップ・アルファとのつながりは、ドア付近の造形に見て取れる。

目標生産台数は18台 価格は非公表

シザーズドアは、ルーフ側までガラスが入る。ドアやテールゲートなど、すべてを開くと、閉じている時と同じくらい壮観な見た目を生み出すことまでも、結びつきを感じる。

アルファ・ロメオは、33ストラダーレを18台製造した。トゥーリング・スーパーレッジェーラ社も、アレーゼRH95を18台製造する計画を立てているという。

価格が未公表だとはいえ、これほど魅力的なミドシップ・スーパーカーとしては、控えめな目標に思える。コスト面で明らかなことは、高度な職人で、1台あたり延べ5000時間の工数が必要だということだけ。

仮に、経費も含めて1時間当たり200ポンド(3万円)で計算すれば、100万ポンド(1億5200万円)になる。さらに開発コストや高級素材、多くの部品代が別に必要となる。150万ポンド(2億2800万円)くらいには登るだろう。ベース車両も別だ。

目がくらむ数字だが、実際にこの手の市場は存在している。ハイエンドのスーパーカーやラグジュアリー・モデル、クラシックカーが、その存在を証明している。

トゥーリング・スーパーレッジェーラ社も、これまでに50台以上の限定モデルを販売してきた。多くが、億単位の価格の代物だ。

エキゾチックな魅力にあふれるアレーゼも、われわれの多くには手の届かない場所にある。だが、このようなコーチビルダーによる限定モデルの生産は、クルマ好きとして歓迎すべきことだといえる。

何しろ、アレーゼは息を呑むほど美しいのだから。

トゥーリング・スーパーレッジェーラ・アレーゼRH95(欧州仕様)のスペック

英国価格:150万ポンド(2億2800万円/予想)
全長:4782mm
全幅:1982mm
全高:1259mm
最高速度:330km/h(予想)
0-100km/h加速:3.0秒(予想)
燃費:8.8km/L
CO2排出量:260g/km
車両重量:−
パワートレイン:V型8気筒3902ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:670ps/6200-8000rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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みんなのコメント

1件
  • 「スーパーレッジェーラ」ってなんだか響きがカッコいいし、もの凄い技術を示した言葉なんだろうなって思ったら・・・

    「すっげー軽りぃ~」ってことだからね、要するに・・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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