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ポルシェの自宅で楽しめる趣味講座 第6回「レースゲームの世界でトップを目指せ!」【動画】

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ポルシェの自宅で楽しめる趣味講座 第6回「レースゲームの世界でトップを目指せ!」【動画】

Porsche 911 GT3 Cup

ポルシェ911 GT3 カップ

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Eスポーツの世界のスーパースター、マックス・ベネケ

ポルシェは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、自宅で楽しめる趣味講座「#GetCreativeWithPorsche」を展開中。この講座には毎回その道のプロが登場し、自宅にいながら自動車に関するクリエイティブなスキルを身につけられるようになっている。

今回、ポルシェ・シムレースチャンピオンのマックス・ベネケ(Max Benecke)が、バーチャルモータースポーツ(シムレース)でトップになるために必要なスキルを紹介してくれた。

26歳、ドイツ・フランクフルト近郊に住むベネケは、最初からシムレーサー(レース専門のゲーマー)を目指した訳ではなかった。子供の頃からモータースポーツに没頭し、家族とF1観戦に訪れたり、カートを戦っていたこともある。しかし、プロのレーシングドライバーを目指そうとした彼の前に立ちはだかったのが参戦資金だった。その時点で、彼は子供の頃からの夢を諦めたという。

「それでも、家にはいつだってゲーム機があって、当然レースゲームにハマっていました。2000年代初頭は『グランツーリスモ4』に熱中していて、その辺りから競争心が芽生えた気がします。いつだってトップを目指していましたが、ある時点でコンピューターとのレースがつまらなくなってしまいました」

2009年、コードマスター社はF1公式ライセンスソフト「F1」をリリースする。このゲームをきっかけに、ベネケはオンラインレースへの参加を開始。世界中で行われていた様々なデジタルリーグに参戦するようになった。彼は世界各国のライバルとゲームを通して知り合い、その多くは現在でも彼とレースを戦って共にビジネスを行う大切な仲間になっている。

ポルシェの関与と、新型コロナウイルスの流行

ベネケの名声はゲームの世界では轟いていたものの、実際のモータースポーツ界での知名度はほとんどなかった。変化が訪れたのは2018年だった。

「2018年に開催されたポルシェ・シムレーシング・トロフィー(2018 Porsche Sim Racing Trophy)が転換点になりました。当時、ポルシェの担当者が『我々には、もう少しやるべきことがある』と言っていたことを覚えています」

「この後、同じ年にEスポーツ・スーパーカップ(Esports Supercup)、ポルシェ・シムレーシング・サミット(Porsche SimRacing Summit)が相次いで開催されました。2018年、自動車業界のビッグブランドであるポルシェが、シムレースの後ろ盾となった重要な瞬間だったのです」

そして、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が、シムレースの世界を一気に有名にした。現実のモータースポーツすべてが中止になった一方、ロックダウン下でもオンラインでならばレースが開催できる。そして、シムレースの世界に現実のプロレーサーが数多く参戦するという状況になったのである。ベネケは、F1のトップドライバーであるマックス・フェルスタッペンやランド・ノリスと、定期的にテールトゥノーズのバトルを繰り広げるようになった。

「彼らと実際に対戦できるなんて最高ですよね。彼らはゲームの世界にも素晴らしいインプットを与えてくれます。実際に彼らの走りを見ていると、ライン取りやブレーキングポイント、コーナー時のスピードの乗せ方など、多くのことを学べます。バーチャルレースとリアルレースの間には多くの共通点があるのです」

制限なく走り込むことができるシムレーシング

現実世界のトップレーサーに対し、ベネケのようなシムレーサーは自分のアドバンテージをどこに見出しているのだろうか。

「練習量でしょう。シムレースはとにかく練習が大事です。マシンのセットアップを変更したら、5~6周走って自分のペースを確認。それを何時間も何時間も繰り返します。それに対して、実際のレースではコースを走れる時間は限られていますから、マシンのフィーリングや限界点、セッティングの状況をいかに素早く把握するかが鍵になります」

「競技のレベルや走行時間にもよりますが、Eスポーツ・スーパーカップに向けてはとにかく走り込みました。開幕戦バルセロナに関しては、レースまで1週間しかありませんでしたから、1日8~9時間はゲームで走っていたと思います。5~6時間もやっていたら疲れて限界に達してしまうんですけどね。最後のちょっとした細かいセッティングを見つけなければならないので、イライラすることもあります(笑)。平均して、ひとつのレースに向けて30~40時間は練習をしています」

ベネケは、現在チーム・レッドライン(Team Redline)に所属。このプロチームは、フェルスタッペンをはじめとする9名のドライバーに加えて、マシンのテレメトリーを研究し、セットアップを決める専門スタッフで構成されている。

ゲームといえども、もはや“遊び”ではない。シムレースはビッグビジネスに成長しており、賞金総額は指数関数的に増加している。トッププロシムレーサーは、大金を手にすることができる時代になったのである。今回、今からシムレーサーを目指す人のために、ベネケはシムレースの始め方から、マシンのセットアップまで、トップシムレーサーだからこそのヒントを教えてくれた。

スタート前の準備:ゲームとコントローラーの購入

「プレイするゲームは『コードマスター F1(Codemaster F1)』『グランツーリスモ(Gran Turismo』『アセットコルサ(Asseto Corsa)』など、基本的に一度の支払いでプレイし続けられるタイトルがオススメです。比較的リーズナブルな価格ですしね。そして、安価なものでいいのでステアリングとペダルのセットを購入しましょう。ロジクール(Logitech)やスラストマスター(Thrustmaster)の製品は、200ユーロ前後で販売されています」

「これを揃えれば、とりあえずスタートできます。あとはドライブするだけです。そして、オンラインで様々な人と対戦してみて、自分がどう感じたのか分析してみてください。楽しかったのであれば成長していけるでしょう。本格的にお金をかける前に、自分が没頭できるのか、しっかり自分自身に確認することが必要です」

「シムレースの世界を追求したいと思ったのであれば、『iRacing』があります。『iRacing』は会員登録制のレーシングシミュレータサービス。月単位か年単位のサブスクリプション(定額)を支払う上に、追加でマシンやサーキットへの支払いも必要で、それなりの出費を覚悟する必要があります」

「この『iRacing』はコンペティションという点で最高のプラットフォームだと思います。独自のシステムを展開していて、常にドライブや他のドライバーとのマッチングが可能です。そして今、様々な企業が参入して莫大な金額を投資しているプラットフォームです」

「最後にハードウェアのアップグレードです。私はいつもペダルシステムの変更から勧めています。その次にステアリングホイール、最後にトリプルスクリーンのディスプレイを検討してください。でも、初心者ならできるだけコストをかけず、まずは自分が楽しめるかを試してくださいね」

マシンのセットアップ:コツコツとした地道な作業

「『iRacing』ではタイヤの空気圧、車高、ロール剛性、キャンバー、トー、ウイングの角度など、あなたのクルマのセッティングを変更することが可能です。セットアップに関しては、あらゆる方向に進めることができます。コースごとに何が有効かを把握するのは簡単ではありませんが、一般的な考え方として、高速コーナー中心のコースではコーナーの出口でスライドしてしまうことを防ぐためソフト過ぎるセットアップは避ける。逆に低速コナーが中心のコースではクルマを少しソフト目にセットアップしてみてください」

「ウイングはレベル1~9まで設定できます。レベル1が最もダウンフォースが低いレベルですね。例えばドニントンのようなコーナーの多いサーキットではダウンフォースが必要なので最大値のレベル9に近づけたいところです。一方、ル・マンのサルテ・サーキットのようなダウンフォースの低いトラックでは、レベル9のウイングではストレートで5~7km/hも遅くなってしまいます。つまり、1周約4分間のラップライムでかなりのタイムロスを強いられるでしょうからレベル3くらいが妥当ですね」

「クルマのテレメトリを記録することで、セットアップの参考にすることができます。タイヤ温度とタイヤの摩耗状況をチェックしてみてください。コーナーにおける剛性やダウンフォースが、ブレーキング時やターンイン時の姿勢にどのような影響を与えているかを知ることができます。ひとりでコツコツ行う地道な作業ですが、時間をかけてやる価値はありますよ」

「正しいセットアップを進めるためには、走行中にセットの違いを感じることができるか、そして安定したラップタイム刻めるかが重要です。セッティングを変更したときは、5周走ってからピットインしましょう。その5周のタイムが0.1秒内に揃っていないのであれば、変更する意味はありません。安定して走れない時は、原因を探るためにテレメトリのデータがあたなを助けてくれるはずです」

走行中のテクニック:重要なのはブレーキング

「他のドライバーから学ぶことはたくさんあります。彼らがレース中に何をしているのか、特にブレーキングに注目してください。私が初めて『iRacing』に参戦した当時、大きな問題となったのがブレーキングでした。タイムロスの90%はブレーキにかかっていると言っても過言ではありません。だからこそ、自分がどのようにブレーキングしているのか、しっかり確認しましょう。まずは基本に忠実に『スローイン(進入はゆっくり)、ファーストアウト(素早く脱出)』です」

「ドライビングスタイルに関しては、自分のラインを理解してコースの隅々まで使い切ることを心がけてください。コーナーの進入に縁石があればそれを使うのも手です。可能な限りサーキットのスペースを有効に使って、正確に同じポイントでブレーキを踏むようにしてください」

「シムレースにおいて、予選と決勝は、燃料搭載量を除けばあまり違いはありません。予選では7~8リットル、決勝は50~60リットルを搭載してスタートします。燃料タンクの搭載位置によってクルマのフィーリングが変わってきます。走行することで燃料が減ってフロントかリヤのダウンフォースを失うことになります。満タンでも空に近い状況でもクルマのフィーリングをつかむために、両方のシチュエーションの練習をしておく必要があります」

「レース中は自分のブレーキングポイントだけでなく、バトルしている相手が何をしているかを観察しましょう。できるだけ『クレバーに』が鍵です。自分が追っている状況で、この瞬間に何をすべきかを自問してみてください。オーバテイクとディフェンス、どちらの状況でも多くのことを考えなければなりません。2つ、3つ先のコーナーのことも考えながら、自分がどのラインを取るべきか予想する必要があります。あと、前のドライバーに自分の存在を知らせることも重要です。プレッシャーを掛け続けるのです。とにかく我慢ですよ!」

最後のアドバイス:とにかく練習、練習、練習!

「当たり前のように聞こえるかもしれませんが、ゲームの腕を上げるための鍵は、とにかく練習、練習、練習です! そして、参加するすべてのレースで自分の実力を確認してください。どのマシン、どのコースでもトップに立てることを証明する必要があります。何戦か続けて中団以下の順位でフィニッシュしていると、多くの人が『このレベルに合ってない』と思うようになります。とにかく練習が必要です」

「可能な限りオープンマインドを心がけて、すべてのチャンスをつかむようにしてください。私は同じシーズンに『ポルシェ・シムレーシング・トロフィー』と、『iRacing ワールドチャンピオンシップ』を獲得したことで、今のポジションを手にしました。当たり前ですが、勝つためにはそのレースにまず参加しないとならないのです。自分でチャンスを掴みましょう」

「そして、シムレーシングの世界では、プロの振る舞いも求められます。わざわざ言うことでありませんが、あなたがSNSに投稿した内容、ゲームでの荒い運転などは、誰かが必ず見ています」

「もしあなたがシムレースの世界でトップになりたいと考えているのであれば、最初にも言ったとおり一番重要なことは練習を続けることです。そして、プロとしてのアプローチを心がけること。健康に、前向きに、そして楽しむことを忘れないでください。これをすべて実行すれば、チャンスの扉が目の前に開かれるでしょう」

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