■「走りを意識した」奇抜なSUV「C-HR」の魅力とは
国内のSUV市場において、継続的に販売好調なのがトヨタのコンパクトSUV「C-HR」です。発売は、2016年12月14日となり、翌2017年(11万7299台)、2018年(7万6756台)と2年連続でSUVジャンルで1位となっています。
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最近では、各メーカーからさまざまなSUVが登場していますが、好調な販売を維持するC-HRの魅力とは、なんなのでしょうか。
C-HRは、2014年9月に開催されたパリモーターショーにて、コンセプトモデルとなる「TOYOTA C-HR Concept」を公開。このモデルは、新世代コンパクトクロスオーバーのデザインスタディモデルとして、軽快さと力強さが大胆に融合したスタイリングを具現化したものでした。
そして、2016年12月に量産モデルのC-HRが発売されました。従来のSUVは、そのキャラクターならではの悪路走破性や四輪駆動システム、オフロードモデルを演出するデザインなどが求められていました。
しかし、C-HRは世界のさまざまな道での走行テストや、欧州の一般道路でのハンドリングやショックアブソーバーのチューニングなど、走行性能にこだわり、開発コンセプトの「我が意の走り」を追求しています。
また、C-HRの個性的なデザインについて、トヨタは次のように説明しています。
「コンパクトSUV市場は、他市場に比べ内外装デザインを重視するお客さまが多いため、デザインにも徹底的にこだわっています。
とくに、外観デザインは、デザイナーの想いをそのままの形で実現することを目指して開発。『センシュアル スピード-クロス』をキーワードに、スピード感あるキャビン形状・彫刻的な面造形・ダイヤモンドをモチーフに強く絞り込んだボディと大きく張り出したホイールフレアの対比など、独創的なスタイルを追求しているのです」
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このように、C-HRは激化するSUV市場において個性と需要のバランスを上手く保ったモデルとして登場していることがわかります。
また、C-HR最大のライバルとされるホンダ「ヴェゼル」は、これまでC-HRの後を追いかける形の販売台数でしたが、2019年1月に走りを意識した新グレードとなる1.5リッターターボ車となる「TOURING・Honda SENSING」を追加します。
この影響もあって、同年上半期(1月から6月)ならび4月から9月の販売台数において、ヴェゼルがC-HRを上回る結果となりました。
また、4月には約3年ぶりに国内市場へ復活したトヨタのミドルサイズSUV「RAV4」が登場したことも、C-HRの勢いを止めた要因です。
そうしたC-HRにとっての逆境もあってか、10月には、マイナーチェンジを実施。外観デザインの変更や安全・快適装備の充実などのほかに、1.2リッターターボ車に6速MTを追加するほか、スポーティモデルとして「GR SPORT」が新設定されました。
また、C-HRの魅力を支える要因には、トヨタならではのブランド力があります。C-HRをはじめとするトヨタ車の強みについて、トヨタの販売店スタッフは、次のように話します。
「これまでのC-HRは、トヨタのSUVラインナップでエントリーモデルということもあり、一番購入しやすいというのが大きかったです。
トヨタには、『ランドクルーザー(プラド)』、『ハリアー』、『RAV4』、『C-HR』、『ライズ』と多種多様なSUVが揃っており、お客さまはトヨタブランドのなかで自分の好みにあったSUVを選ぶことができます。
これまでは、販売店によって購入できるモデルが異なっていましたが、2020年5月からは全店で全モデルを購入できる予定です。
現在は、新型モデルのRAV4やライズがC-HRを検討していたお客さまを引っ張っている状況が少なからずありますが、今後はMT仕様やGR SPORTといった走りを意識したものもあるので、改めてC-HRに興味を持ったお客さまに訴求することが出来ると思っています」
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また、トヨタブランドの強みには、販売店舗数の多さもあります。トヨタの販売店は全国約5000店舗で、ホンダや日産の約2000店舗に比べると自分の住んでいる近所に店舗がある可能性が高く、来店やアフターサービスの受けやすさなどで他メーカーと比べて差が出てくるのです。
こうした、トヨタの強みやC-HRそのものの魅力が、国内のSUV市場で売れてきた理由なのです。
■C-HRは、世界戦略車ながら日本人の性格に合うモデルだった?
個性的なデザインや走りを意識したという、C-HRはどのようなクルマなのでしょうか。
C-HRのボディサイズは、全長4360mm×全幅1795mm×全高1550から1565mm。後発に登場したライズの全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mmと比べて、一回り大きいサイズです。
パワートレインは、1.2リッターガソリン車(ターボ仕様)と1.8リッターハイブリッド車の2モデル。カタログ燃費(WLTCモード)は、15.4km/Lから25.8km/Lとなります。
また、走りを意識したリアデザインは、後席の居住性や後方視界を犠牲にして成り立っています。
運転席から後方を見ると、後席のサイドウィンドウが斜めに切り上がった結果、他車に比べて死角が多くなるのです。
さらに、リアウィンドウの面積も小さいために視認性が悪く、バックをする際にリアカメラを装着していないモデルだと不安を感じます。
この部分に関して、C-HRの開発担当者は「C-HRの後方視界は、デザインを優先しているため、社内基準ギリギリでクリアできました」と話します。
※ ※ ※
一方で、デザイン性と使い勝手を両立させた部分が後席ドアのハンドルです。初見ではなかなか開けるのに戸惑います。しかし子供がいる場合、外からドアを開けることが難しいため、駐車時など隣のクルマへのドア傷を防ぐ効果があるようです。
このリアドアハンドルのデザインについて、トヨタは「リアドアハンドルをリアドアガラスのグラフィックとバックドアガラスの間に溶け込むように配置しています。存在感をあえて抑えることで、2ドアクーペのようなスマートな印象を強調しました」と説明します。
デザインのこだわりを優先させた部分と両立させた部分を上手くバランスよく配置したのがC-HRのさらなる魅力なのです。
日本人の性格は、他人より目立つことを避ける反面、人と違うモノに引かれる傾向もあるといいます。
C-HRは、街中でよく見かけます。それでいて、競合車とは違う個性があるという部分においては、「日本人に合ったクルマ=売れるクルマ」という構図が当てはまるのかもしれません。
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みんなのコメント
そう考えると、個性的なデザインの車はもっと増えてもいいのかもしれない。