■改良版「RX」は何が変わったのか?
1998年に「高級セダンの快適性を兼ね備えたSUV」として登場したRXは、プレミアムクロスオーバーSUVというカテゴリーを開拓。
その人気は世代を重ねるごとに高まり、現在は約95の国と地域で累計400万台以上を発売。まさにレクサスの絶対的エースと言っていい存在です。
現行モデルとなる5代目は2022年に登場。新世代レクサス第1 弾となったNXの武器を上手に活用しながらも、次世代のプレミアムクロスオーバーSUVの「新たな基準」になるようなクルマを目指して開発されました。
発表時は半導体不足の影響をモロに受け、パワートレインやグレードを絞って発売。ユーザーからは「欲しくても買えない」、ディーラーからは「売りたくてもタマがない」と言う状況に。
あれから3年、2025年2月に初の改良が行なわれました。レクサスは「Always on」の精神でマイナーチェンジより短い周期で改良を行なう事が定番となっていますが、どのような進化を遂げたのでしょうか。
今回、全てのパワートレインのモデルに乗る事ができたので、詳細に報告したいと思います。
【画像】やっぱりカッコイイよね! レクサス「RX」の画像を見る!
まず見た目の変更はごく僅かです。エクステリアはバージョンLに21インチタイヤ&ホイール(235/50R21/ダークグレーメタリック塗装+切削光輝)を設定(オプション)。
インテリアはイルミネーションの改良、フル液晶メーターの採用、Fスポーツにホワイト内装色の追加など、よりラグジュアリーな空間演出が行なわれています。
個人的にはフル液晶メーターへの変更は歓迎するものの、デザインは良く言えば“シンプル”、悪く言えば“事務的に素っ気ない”のが残念です。
これはRXだけでなく他のレクサスモデルにも言えることですが、トヨタに毛が生えたレベルではなく、もっとレクサス独自のデザインであってほしいです。
走りの部分はどうでしょうか。
まずは静粛性の更なる向上です。具体的にはダッシュインナーサイレンサーの目付量アップ、インパネへの吸音材追加、アコースティックガラス採用(リア)、制振材・吸音材の追加(リア)などを実施。
RX500h Fスポーツパフォーマンスはこれに加えて、エンジン制御の見直し(燃費を僅かに犠牲にして音質を追求)とアクティブサウンドコントロール(ASC)の再チューニング(加速時だけでなく減速時も)行なわれています。
実際の乗ってみて1番分かりやすいと感じたのはHEVのRX350hです。
定常走行時はエンジンがより遠くで回っている感じでエンジンは完全に黒子に徹しています。また、従来モデルはアクセル開度を高め(HEVメーターで3/4くらい)だと音量が途端に増し濁音多めの音質も含めてガッカリでしたが、新型はよほどの急加速をしない限りは気にならないレベルです。
PHEVのRX450hはEVモードでは言わずもがなですが、HEVモードでもエンジンの存在を忘れるレベルの静かさ。
そのため常用域はバッテリー容量の高さを活かしエンジン回転を上げることなくスーッと加速する電動車感の高いフィーリングがより際立った印象でした。
更に驚きはCHARGEモードの時で、従来は唸るエンジン音から積極的に使う気になりませんでしたが、新型は定常走行であれば許容範囲内かなと思ったくらいです。
1モーターのパラレルHEV+DIRECT4のRX500h Fスポーツパフォーマンスは絶対的な音量はもちろんですが、濁音多めだった音質の粒が少しまろやかになった印象でノイズからサウンドに変わり始めたかなと。
ASC‐ONをONにするとV6を彷彿とさせる音がプラス(音量は3段階)、従来モデルよりもV6らしい豪快なサウンドは賛否があると思いますが、個人的には減速時のサウンドも含めてアリだと思いました。
ただ、設定する時の階層が深く、走行中の気分に合わせて簡単に調整ができないのはダメでしょう。
これはドライブモードにも言える事なのですが、せっかく調整代がたくさんあるのにそれ自体が隠れていると宝の持ち腐れ。
ちなみに登場時に物理スイッチを減らした理由を開発陣に聞くと「アップデート(OTA)で色々な機能が簡単に足せる」と教えてくれましたが、残念ながら現状は「何でもできるはずが、何もできていない」状態です。
同じ2.4Lターボを積むRX350(内燃エンジン車)はRX500h Fスポーツパフォーマンスほど変わった感はないものの、音の方向としては似た印象でした。
■走りの面では色々と進化しているが…肝心なハンドリングのバランスが…
フットワークの進化はどうでしょうか。
従来モデルは重厚でゆったりとした乗り心地が評価される一方、「バネ上の動きが大きい」と言う指摘もあった事から、サスペンション(AVS)とEPSを再チューニングしています。
パワートレインにも手が入っています。
従来モデルは良く言えば“穏やか”、悪く言うと“トロさ”がありましたが、ドライバーの操作により素直に応えるべく駆動力特性をよりレスポンシブな方向に変更。よりコントロールしやすくなっていると言います。
また、従来はRX500h Fスポーツパフォーマンスのみの設定だったリア操舵(DRS)をRX450h+とRX350hのAWDモデルにも拡大。
スポーツモード選択時は同相転舵領域を中速にまで拡大することで、旋回時の応答性をより向上させていると言います。
懸念の1つだったバネ上の動きですが、確かに高速道路の連続した大きな凹凸や首都高のジョイント乗り越え時のクルマの動きは抑えられています。
しかし、入力を素早く抑えようとするが故に吸収スピードが短いのが原因なのか揺さぶられるような動き強いのと、減衰感が強いようで足の動きにしなやかさが薄れてしまったような気がしました。
その傾向はバージョンLのほうが強く、走り始めて「タイヤの空気圧高め?」と思って確認したほど。
逆にバージョンLよりも引き締め方向のFスポーツのほうが入力と吸収のバランスは良い上にスッキリとした減衰感も相まって、体感的な乗り心地はむしろ良いと感じました。
ハンドリングはどうでしょうか。
全体的には「軽快、キビキビ」な味付けになっています。つまりNX方向に寄ったイメージです。
その結果、より軽く/より小さいクルマに乗っているような手の内感は出ていますが、逆にRXの旨味であった「重厚、ゆったり」と言う大人の余裕を感じる走りが薄れてしまったのと、ハンドリングのバランスが崩れてしまった感があるのが、正直な印象です。
その中でも今回の改良でDRSが採用されたRX450h+とRX350hのAWDモデル(どちらもバージョンL)が顕著で、舵を入れるとフロントの反応よりもリアが先に曲がろうとする感覚が強く、結果として「曲がらなそうなのに、曲がる」と言う何とも不思議なフィーリング。
逆にRX500h Fスポーツパフォーマンスは従来モデルでは他のRXとは別格なキレのある走りが特徴でしたが、新型は丸くなまされてしまった印象で他のRXに寄ってしまった感がしました。
DIRECT4を活かしたアンダー知らずだったハンドリングも、新型ではグッと踏ん張るリアに対してフロントが逃げ気味(=アンダー多め)で、結果として一体感も薄れてしまったような気がしました。
そういう意味では、DRSが付かないRX350(Fスポーツ)が一番素直なハンドリングに感じましたが、リアに対してフロントが足りない印象は他の3台と同じでした。
ちなみに今回のRXの改良では、他のレクサスモデルが採用する補剛は行なわれていません。
開発陣にその辺りの理由を聞くと「現状の車体では構造上補剛の追加が難しい」との事でした。
やはりDRSを活かしつつハンドリングのバランスを整えるには、車体側の変更特にフロント前端の補剛は必要でしょう。逆を言えば、まだまだ “引き出し”はあると言うわけです。
※ ※ ※
そろそろ結論に行きましょう。
クルマ全体で見ると商品性は上がっていますが、走りに関しては「三歩進んで二歩下がる」と言うのが本音です。
少々厳しい評価ですが、引き上げたい性能を欲張りすぎてしまった事で元々のバランスを崩してしまったのかなと。
RXはレクサスの販売を支えるモデルとして多種多様なニーズを叶える必要があるのも解りますが、だからこそブレずにドンと構える必要があると思います。
ちなみに筆者はRXの強みは「ゆとり」、「重厚」、「優しい」だと思っています。
レクサスのクロスオーバーSUVシリーズはNXと鉄壁の2トップ体制を敷いているからこそ、各モデルの“役割”はより明確にしたほうがいいと考えます。
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みんなのコメント
欧州車に10年近く遅れてようやく採用(アウディのTTは2016年採用)されたのに、後出しジャンケンで負けているという笑
トヨタやレクサスのユーザーは、ハリボテで十分ごまかせますから大丈夫でしょう。