2022年4月の乗用車全体(輸入車・軽自動車を含む)の販売台数は24万4,292台、前年比は84.7%に留まりました。生産体制の混乱を反映し、厳しい数字が続いています。スバル(103.6%)と日産(102.0%)が辛うじて前年を上回りましたが、他社は軒並み15~20%前後のダウンとなりました。
軽自動車を除く2月の新車販売ランキングでは、トヨタルーミーが初の首位に輝きました。2位ヤリス、3位カローラとトヨタ勢が上位を占める中、日産ノートとホンダフリードがTOP10に食い込んでいます。
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一方、軽自動車(乗用車)はホンダN-BOXが引き続き独走。2位には久しぶりにスズキスペーシアが入りました。今回も自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
国産乗用車販売台数 2022年4月(軽自動車を除く)
順位 車名 ブランド名 台数 前年比
1 ルーミー トヨタ 11108 91.3
2 ヤリス トヨタ 10045 50.3
3 カローラ トヨタ 9906 124.2
4 ノート 日産 8114 142.1
5 アルファード トヨタ 6699 88.4
6 ライズ トヨタ 6343 81.2
7 ノア トヨタ 5697 153.9
8 フリード ホンダ 5605 103.3
9 ヴォクシー トヨタ 4707 84.2
10 ハリアー トヨタ 4325 60.8
11 シエンタ トヨタ 4165 90.9
12 フィット ホンダ 3509 104.5
13 パッソ トヨタ 3402 109.1
14 プリウス トヨタ 3305 90.0
15 セレナ 日産 3057 91.5
16 ヴェゼル ホンダ 2727 73.4
17 インプレッサ SUBARU 2696 115.0
18 アクア トヨタ 2693 104.3
19 ランドクルーザーW トヨタ 2473 80.7
20 RAV4 トヨタ 2354 54.5
21 スイフト スズキ 1772 94.9
22 86 トヨタ 1761 408.6
22 ソリオ スズキ 1706 34.4
24 ロッキー ダイハツ 1610 126.4
25 フォレスター SUBARU 1568 154.0
26 CX-5 マツダ 1563 159.0
27 クラウン トヨタ 1547 89.6
28 ジムニーW スズキ 1326 83.3
29 MAZDA2 マツダ 1126 78.9
30 キックス 日産 1121 65.1
31 C-HR トヨタ 967 60.2
32 シャトル ホンダ 854 72.6
33 アウトランダー 三菱 825 743.2
34 クロスビー スズキ 824 70.8
35 ハイエースW トヨタ 816 105.2
36 トール ダイハツ 792 74.7
36 レヴォーグ SUBARU 792 41.4
38 アリア 日産 789 ー
39 エクストレイル 日産 630 79.3
40 オデッセイ ホンダ 609 27.4
41 MAZDA3 マツダ 532 99.4
42 デリカD5 三菱 516 50.9
43 CR-V ホンダ 497 170.2
44 CX-30 マツダ 487 52.8
45 CX-8 マツダ 485 40.3
46 マーチ 日産 451 79.1
47 ロードスター マツダ 450 122.3
48 シビック ホンダ 449 151.2
49 CX-3 マツダ 417 84.2
50 エクリプスクロス 三菱 393 66.5
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
年度末明けとはいえ厳しい結果
2022年4月の国内9ブランドの新車販売台数の実績は合計で22万8,497台(=乗用車。軽自動車を含む)となった。前月3月は年度末あるいは期末と重なったこともあり40万超えの実績だったが、それに及ばないまでも、いかにも厳しい結果だ。さらにその前月、2月の実績の27万2,284台と較べても、およそ4万4,000台近くの差と厳しい数字となっている。
それは銘柄ごとの数字を見ても一目瞭然だった。3月に対して4月の販売台数が上回っていたのは上位50位中で、何と僅かに1銘柄、スバルインプレッサ(3月/2,309台→4月/2,696台と辛うじて+387台だった。ただし順位は3月の31位から4月は17位と大きく上げた)のみ。そのほかの46銘柄(ハイエースW、アリア、シビックの3銘柄は3月のランキングには入っていない)は、軒並み台数を落としている状況。本稿が始まって以来、これほどの厳しい結果は見なかったはずだ。
トヨタルーミーが初の1位に、アクアは大きく順位を下げる
とにかく全体として、各銘柄ごとの台数にはいささか勢いがなかった。4月に販売台数が1万台を上回ったのは、ここにきて初めて1位の座についたトヨタルーミー(1万1,108台)と、そのルーミーに1位の座を譲り2位に下がったヤリス(1万45台)の2銘柄のみ。しかも両銘柄ともに3月の台数(ルーミー=1万6,976台、ヤリス=1万7,442台)と較べると、ルーミーが6,000台弱、ヤリスは7,000台強と下げ幅が大きい。
ヤリスはこのところ2月にカローラに1位の座を奪われ、3月に再び1位に返り咲きを果たしたばかりだったが、再び、今度はやはり身内のルーミーに1位を譲ったことになる。カローラは3位に収まった形だが、ヤリスとの台数差は139台と相変わらずの僅差。今後の動向も気になる。また同じトヨタのアクアが、3月は9位だったが4月は18位へと順位を下げ、販売台数も3月の8,175台から4月は2,693台へと大きく落としている。
トヨタGR86、三菱アウトランダーなど新型車は元気
4月に関してはとにかく販売台数の落ち込みぶりに目が行き、上位の入れ替わりはともかく、そのほかの銘柄の順位の変動はあまり意味を持たないと思えるほどでもあった。そんな中で目の留まるのがトヨタGR86で、ここにきて3月の38位から4月は22位まで上がり、登録台数は1,761台、前年比では実に408.6%とした。
もう1台、三菱アウトランダーも、3月の50位から4月は33位となり、台数は825台(前年比は実に743.2%!)を記録している。いずれも2021年に市場投入された新型車で、他の新型車に目を向けると48位にホンダシビックが入っているほか、38位に日産アリアが入っている。アリアは半導体不足等の影響で、B6(2WD)の発売が5月12日に延期されたところだ。
軽乗用車販売台数 2022年4月
車名 ブランド名 台数 前年比
1 ホンダ N-BOX 15,450 92.3
2 スズキ スペーシア 7,600 70.4
3 ダイハツ タント 7,270 76.8
4 ダイハツ ムーヴ 7,116 73.0
5 スズキ ハスラー 6,690 97.9
6 ダイハツ ミラ 6,120 111.0
7 スズキ アルト 5,315 98.3
8 スズキ ワゴンR 5,160 106.0
9 日産 ルークス 5,093 89.7
10 ダイハツ タフト 4,732 101.7
11 日産 デイズ 3,124 81.0
12 ホンダ N-WGN 2,538 75.7
13 スズキ ジムニー 2,508 71.4
14 三菱 eK 1,947 98.4
15 ホンダ N-ONE 1,558 62.6
※ 通称名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ワゴンR、ミラ、ムーヴ、eK、ピクシスなど)
N-BOXの王座は揺るがず
軽自動車の新車販売台数も、登録車の乗用車同様、4月は3月に対して大きく台数を落ち込ませた。
そうした中でホンダN-BOXは、4月も安定の1位に収まった。販売台数は1万5,450台で、自身の3月の台数に対してはおよそ1万台ダウンではあるが、2位のスズキスペーシア(7,600台)の倍の台数で差をつけているほか、登録車のヤリスよりも5,000台以上多くの販売台数を上げ、3月も日本でもっとも売れたクルマのタイトルは保持した。これで3月とは順位不変のN-WGN(12位)、N-ONE(15位)も販売に弾みがつくようなことになれば、ホンダとしても嬉しいのだろうが。
スズキハスラー、ダイハツムーヴがライバルを引き離す
3月の軽自動車の新車販売台数は、3月に2位だった日産ルークスが9位に後退し、そのほかの銘柄が各々順位を上げていった。スズキハスラーは3月の10位から4月は5位にまで回復、10位に食い込んだライバルのダイハツタフトを順位、販売台数とも引き離した。反対にワゴンRは“スマイル効果”がひと息ついたのか、3月の5位から4月は8位に順位を後退させており、むしろムーヴのほうが、3月の6位から4月には4位に順位を上げ、3位の自社銘柄でもあるタントとは販売台数もほぼ互角(タント/7,270台、ムーヴ/7,116台)の結果を出し、健闘しているように見える。
ダイハツミラに勝てない新型スズキアルト
そのほかでは、アルトとミラについても、どちらも3月に対して4月は順位をひとつ上げているが、販売台数はミラ/6,120台、アルト/5,315台と、相変わらず新型のアルトがミラの優勢を許している。軽自動車では、EVの日産SAKURA、三菱eKクロスEVが登場した。走りも価格も納得のいく仕上がりとなっているようだが、今後、軽自動車市場にどう食い込んでくるのか楽しみにしていたい。
※記事の内容は2022年5月時点の情報で制作しています。
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