2021年シーズン、コース内外で激しい争いを繰り広げているレッドブルとメルセデス。最近では、レッドブルがメルセデスのリヤウイングの合法性について疑問を投げかけている。
レッドブルは、エンドプレートの内側に傷跡がついていると思われる写真を根拠に、メルセデスがトップスピードを上げるためにフレキシブルなリヤウイングを使用しているのではないかと疑っているのだ。
■サンパウロではメルセデスの直線速度に苦しめられたレッドブル、カタールでは逆に低速コーナーが敗因に?
メルセデスは何も悪いことはしていないと主張しており、トト・ウルフ代表はレッドブルが幽霊でも見ているのではないかと、問題の写真については取り合っていない。
こうした状況を受けて、FIAはカタールGPでリヤウイングについて追加の調査を開始した。これはウイングの柔軟性をチェックし、より厳しい検査を導入する必要があるかどうかを確認する予備的な調査の意味合いを持っている。
ただレッドブルは、メルセデスのウイングが現在行なわれている全ての検査に合格しているにも関わらず、トップスピードを上げるために何らかの変更を行なったのではないかと考えているようだ。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、カタールGPが開催されたロサイル・インターナショナル・サーキットのロングストレートで、メルセデスとレッドブルが互角に渡り合ったという事実は、両者のパフォーマンスバランスが夏休み以来初めて変化したことを意味すると示唆した。
「最近のレースでは、(メルセデスの)異常なストレートスピードが見られていたと思う」
「トトは何も変わっていないのにストレートスピードが上がっていることを説明するのに苦労したと思うが、イギリスGP以降で初めて、指数関数的に速くなっていた彼らのストレートスピードに匹敵することが出来たのは心強い」
カタールGPから追加されたFIAの検査については、状況をモニターすることは単純にポジティブなことだと、ホーナーは語った。
「しっかりとした取り締まりが行なわれていることは喜ばしいことだと思う」
「導入された検査によって、”遠回り”な能力は根絶されると確信している」
レッドブルはストレートスピードの相対的な差が変化したと考えているが、メルセデスはそれに納得していない。
■フィニッシュラインでの予選トップスピード(km/h)
レース/メルセデス/レッドブル
カタール/323.9/320.7
サンパウロ/327.5/318.8
メキシコ/351.1/343.2
アメリカ/323.3/318.3
トルコ/327.6/324.1
このデータを見ると、レッドブルが主張しているほど極端な速度差があるようには見えない。だが、確かにわずかではあるものの、カタールGPでは両者の差が縮まっている。これについてメルセデスは、大きなダウンフォースが要求されるコースだったことで、両者のトップスピードが変化したと考えている。
レッドブルの主張をどう思うかと聞かれたウルフは、次のように答えた。
「彼らはストレートラインのパフォーマンスに関するデータや写真を見てくれたのだろうか?」
「ここ(ロサイル)はパワーの重要度が低いコースなんだ。それに興味深いことに、彼らは良い仕事をしたと思う。(ハイダウンフォース仕様の)大きなウイングを装着したときのストレートスピードが我々と同じなのだ。彼らがハッピーなら、私も嬉しいよ」
「サウジアラビアに行って、また何かコメントを聞くことになるかもしれない。ただ正直、こういった議論に私はついていけない」
次戦のサウジアラビアGPはメルセデスに有利だと予想されているが、最終戦のアブダビGPはよりパフォーマンスが拮抗するのではないかと見られている。
ホーナーは、メルセデスとの戦いが今やあまりにも僅差になっていると語った。
「かなりタイトになっている」
「次のコースは間違いなくメルセデスに有利なはずだが、アブダビはレイアウトが改修されているので、どうなるか誰にも分からない」
「我々はドライバーズ選手権で8ポイントのリードを持っており、コンストラクターズ選手権ではその差を5ポイントに縮めている。つまりどちらも完全に競い合っているんだ」
「チャンピオンシップのクライマックスにそういう状態なのだから、素晴らしいことだ」
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