昨年はノートとフィットがフルモデルチェンジし、2車種とも新型ではスポーティグレードがなくなり、MT車も設定されなくなった。ただその一方で、マツダのように今もほとんどの車種にMT車を設定しているメーカーもある。
とはいえ、今後発売される新型車は脱炭素社会に向けてハイブリッド車やEVなどの電動車の割合がますます増えてくるのは明らか。さらに先進運転支援システムなどの自動運転化も進むことで、MT車の存続はより一層難しくなってくるはずだ。
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今もすでに、スポーツモデルまでも2ペダルのATが主流になっていて、日本でMT車は少数派。この先、MT車は消滅してしまうのか? モータージャーナリストの松田秀士氏は次のように考えているという。
文/松田秀士 写真/NISSAN、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】運転は文化だ!! 衰退の危機の中、どっこい生き残っているMT車たち
■電動化が進むとMTは消滅してしまうのではないか?
先代のホンダ フィットRS。MT搭載車もラインナップされていたが、新型にモデルチェンジ後はMTの設定はなくなった
ハイブリッド(HV)、プラグインハイブリッド(PHEV)、電気自動車(EV)と現代のクルマは多種多様に変化を続けている。HVやPHEV、そしてEVも、システムがどうであろうと、クルマが動くのはタイヤが駆動しているからだ。そして、それを運転する人が操作(運転)するからである。
しかし、上記に挙げた電動車が普及することによって、ある操作が確実に消滅する方向にある。クラッチ操作だ。クラッチ操作が必要なくなるのでクラッチペダルもいらなくなる。
もちろんクラッチ操作のいらない、ATなどによる2ペダル化は今に始まったことではない。でも、ATはベースにMTがあるわけで、たとえクラッチ操作のないATであっても機械的にはクラッチの機能が必要であった。
そのため、AT車が主流のモデルにおいても、MTモデルをラインナップすることは、それほど難しいことではなかった。もっと言うと、欧州販売を考慮すればMTの設定が必須であって、シンプルで軽量なMTは今でもコストパフォーマンスにも優れる価値がある。
ただし日本国内では数の原理で、少数派になるMT車のほうが割高だったりする。まぁその話は置いといて……。
要するに、今後この電動化が進むとMTは完全消滅してしまうのではないか?
それを証明するかのように、新型となった日産ノートとホンダフィットからMTモデルは消滅した。特にフィットはコンベンショナルなガソリンモデルがあるのに、MTモデルは設定されていないのだ。
政府は「2050年カーボンニュートラル」の戦略のなかにクルマの電動化を提唱している。だから、いまさら将来必要なくなるMTモデルをラインナップする必要ナシ、と判断したのだろうか?
■EVにMT車がない理由はモーターの特性にある
クラッチとギアを操作するMTは内燃機関の出力特性に合わせて両手両足で操作する。脳の力を必要とする作業なのだ
では、EVになるとMTはなぜいらなくなるのだろうか? EVの現行モデルにクラッチとトランスミッションが装備されているモデルはない。
あのテスラでさえトランスミッションを装備していないのだ(例外的にポルシェタイカンはリアモーターに2速ギアを持つが)。その理由は、モーターはゼロ回転から最大トルクを発生させる、という特性があるから。
また、EVはアイドリングさせる必要がない。このことでまずクラッチ機構が必要でなくなる。また、ゼロ回転から最大トルクを発生するということは、トランスミッションのローギアが必要なくなる。
しかも高回転域までフォローするから固定したギア比でかなりの速度範囲をカバーできる。つまり5速ギアレベルのギア比が固定で設けられれば充分なのである。
EV化は駆動系周りのシステムが簡素化される。これはメリットでありデメリットでもある。
ではデメリットは何か? そこにはドライビングプレジャーがない、ということ。もちろんクラッチやトランスミッションを必要としない、ということだけではなく、現在のところ、モーターというデジタルハードウェアの代表的産物を動力源としているからだ。
シロモノ家電などは詳細にコントロールされた出力特性が要求されるわけで、EVのモーターも同じ。速い加速、力強い回転力という素晴らしい面もあるが、内燃機関のようなエモーショナルで爆発的力感は薄い。高回転域で飛び込むように延びる加速力は、内燃機関でないと味わえない。
クラッチとギアを操作するMTは、この内燃機関の出力特性に合わせて両手両足で操作する脳力作業。人間の脳をコンピューターに例えると、64ビットで処理して運転するのがMTで、PHEVなどの2ペダルは32ビット、EVだったら16ビットで充分かもしれない。
そうMTは運転をスポーツしているのだと思うのだ。もっと崇高な言い方をすれば「運転は文化」と筆者は言いたい。自動車レースやラリーだけが自動車文化ではない。また往年の名車だけが文化でもない。運転を楽しむ文化を残したいものだ。
それがMTでなきゃだめだ、とまでは言わないが、現在のEVの嗜好は白物家電的な便利品と同じような方向に走っているように見える。
■運転を文化と捉えるメーカーが日本にはまだある!
多くのモデルにMTモデルをラインアップしているマツダ。写真のCX-30もMTモデルが用意されている
さて、こんなご時世でもちゃんとMT車をラインナップしているメーカーがある。欧州では当たり前かもしれないが、クルマはATが普通の日本国内にMT車を用意するのは大変なこと。
生産ラインにMT車を入れなくてはならず、生産工程が複雑になるだけでなく、数が売れるわけではないのでトランスミッションを含めたコストがハネ上がる。つまり利益も少ない。
それでも多くのモデルにMTモデルをラインアップしているのがマツダだ。マツダはCX-8以外のほとんどのモデルにMT車をラインナップしている。
「Be a driver.」というマツダのキャッチは「何よりも運転が好きな人でありたい。だから、自分たちが走らせて退屈だと思うクルマは絶対につくらない」というもの。だからMT車をラインナップする意味、わかりますね。ほかのメーカーと考え方がかなり異なるのだ。
似ているのがスバルだ。ただ、スバルもMTは減少傾向にある。これには理由があり、スバルは「アイサイト」装着を全車種に拡大している。いわゆるADAS(運転支援システム)を軸にするとATの必然性がでてくるのだ。
この点マツダはMT車にもACC+LKA(車線内中央維持ステアリング支援)を採用する等、可能な限りADASを取り入れながらMTを実現している。
安全をカバーするADAS、そして自動運転を見据えると、ある程度クルマ任せにしなくてはならず、2ペダルのATやEV化の必然性が浮き上がってくるのだ。もし、このようなことが法制化されるとすれば、運転というクルマ文化の危機となるかもしれない。
■運転を楽しむドライバーが増えればMTは残り続ける
カローラスポーツ。このようなスポーツモデルか廉価版モデルを探せばMT車を見つけることができる
話を戻そう。ではマツダ以外にMTを設定している車種を探してみた。カローラスポーツ(6MT iMT)、新型N-ONE(6MT)と、このあたりはMTの必然性を感じる。
その必然性という見方では、スズキにはアルトワークス(5MT)、スイフトスポーツ(6MT)にMT車がラインナップされているが、ベース車のアルトに86万3500円という廉価で5MT車が設定されているのは注目だ。
ただし、この5MT車は2ペダルの5AGS車も同価格なのだ。つまり、MT車の販売が伸びればまだまだ安くなる可能性がある。
つまり、廉価版かスポーツを目指すのであれば、探せばまだまだMT車を見つけることができる。
特にMTでの運転は脳を活性化させ、さらに遠くの初めての土地に行くことで、「転地効果」(普段の生活と違う環境に身を置くと、リフレッシュできる)という健康効果もあるといわれる。
筆者は昨年12月に「安全運転寿命を延ばすレッスン」(小学館)を出版した。MT車で運転を楽しむドライバーが増えれば、まだまだMT車は残っていくはずだ。
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みんなのコメント
魅力が半減した。
頑張れジムニー💕
MTを残すにはその良さを理解してもらうための土壌を作る事が必要。