新車試乗レポート [2023.03.06 UP]
日産の走りを氷上試乗会で体感!サクラからアリアまで人気車が集結!
日産新型エクストレイルの魅力とは?実用派SUVの注目ポイントを紹介!
NISSAN Intelligent Winter Drive
真冬の恒例イベント 女神湖氷上ドライブリポート
年明け早々に開催される恒例のイベントが日産主催の女神湖氷上試乗会だ。今年は氷雪上ドライブが初となるモデルが目白押し! 注目すべきは、電動による精密な制御の実力だ。エクストレイル、アリア、サクラ、ノート……予想を上回る走りだった!
●文/川島茂夫 ●写真/澤田和久、日産自動車株式会社
※試乗車はすべてスタッドレスタイヤを装着しています。
注目&人気モデルの限界性能を体験!
電動4WDの長所を体感
ニッサンの底力が分かる
ニッサンの女神湖氷上試乗会もこの時期の風物詩になった感があるが、今年の路面状況はいつにも増して厳しい。同業某氏が「舗装路に砂を撒いたような」と表したが言い得て妙。アイスバーンに乾いた雪が載って甚だ滑る。普通は氷盤に雪が載ればグリップは上がるのだが、それは雪が氷と密着しての事で、掃かれてテラテラの氷面が露出するようでは大して足しにはならない。各輪の僅かな雪の抵抗の差で方向性は乱され、翻弄する路面といった感じだ。
そんな状況だからこそニッサン電動4WDの神髄発揮なのである。
ニッサン電動4WDシステムにはエクストレイルとアリアが採用するe‐4ORCEとノート系とキックスが採用するe‐POWER4WDがあるが、制御思想は同じシステムだ。e‐4ORCEが制御精度の向上等を図った上位発展型と捉えればいいだろう。
VDCオンの状態ではグリップ回復最優先の制御。具体的には減速を中心に急激な回頭や方向の乱れを抑制する。クローズドコースで限界に迫るような速度で走らせていると過保護とも思えるが、一般道想定なら堅実。ドライバーの運転技量に依存しないのは安全機能の基本でもある。
そして、ニッサン電動4WDの潜在性能が発揮されるのはVDCオフでの限界走行である。
不用意にアクセルを踏み込めば4WDをしても4輪ホイールスピンの状況に陥る。しかし、その状況でも方向制御が利く。例えばスリップアングル60度以上、体感的にはほぼ真横に滑っている状況でも操舵による方向制御が可能。もちろん、アクセルコントロールを併用しているが、普通なら制御不能な状況なのに応えてくれるのだ。VDCオフでも全制御完全カットではないことも利いているのだろうが、駆動系制御として前後の駆動力配分の最適制御が利いているのがありがたい。
但し、魔法ではないのであからさまなオーバースピードはダメ。また、今回はニッサン電動4WDの実力チェックで試してみたが、ドライバーの運転技量に応じる部分がかなり大きくなる、つまりちょっとしたミスで収拾が付かなくなるのでVDCオフは特殊な条件下以外では推奨できない。
ただ、VDC機能を制限してこそ4WD制御の巧みさが見えてくる。機械式4WDではとっくに制御不能の状況でもコントロール性を残せるのは電動の即応性と高精度のトルク制御があってこそ。ここまで制御しているからVDCオンでの安心感と容易なコントロール性も得られる。底力が違うのだ。
エクストレイル G e-4ORCE
●価格:449万9000円
最新のe-4ORCEが本領を発揮した!
ニッサン電動4WDの巧みさを最も実感させられたモデル。車重の嵩むSUVながら滑り出し限界が高く、回復性も良好。VDCオフ時のコントロール性も高く、氷雪路での安心感と扱いやすさはSUVでもトップクラス。
サクラ G
●価格:304万400円
ライトウエイトと精密電動制御が見どころ
試乗した中では唯一のFF車だが、軽量な車体と適切な駆動力制御もあって、スリップ時の回復性に優れていた。2WDゆえに深雪での踏破性は厳しいが、フラットな氷上路なら重く大きな4WD車よりも気軽に扱えた。
フェアレディZ Version ST
●価格:646万2500円
滑らせるのは楽しいが、後輪駆動は流石に厳しい
今回一番厳しかったモデル。ちょっとした路面の窪みで発進不能になることも。VDCオフでは真っ直ぐに加速するのも酷く神経を使う。Zが云々というよりも極低μでの高性能FRスポーツならそうなるのも仕方ない。
アリア B9 e-4ORCE limited
●価格:790万円
制御は優れているが、超低μ路は重量が難敵だ
制御システム的にはエクストレイルと共通しているが、2トン超の重いBEVのため他の4WDモデルと比べると今回の路面コンディションではグリップ回復性で及ばない。4WDの制御もオンロード志向が強めに感じられた。
ノート オーラG FOUR レザーエディション
●価格:299万6400円
これは楽しい! 電動制御の良さを満喫
e-4ORCEに対して普及型電動4WDの印象もあるe-POWER4WDだが、氷雪上対応は遜色なし。軽量小型の車体と相まってVDCのオン/オフ時ともに優れたコントロールと回復性を発揮。愉しく振り回せた!
キックス AUTECH
●価格:344万8500円
十分な氷雪上性能! 冬のアウトドアもお任せ
4WDシステムはノート系と共通。SUVの重心高とシャシー世代の違いもあってか、ノート系と比べると収束性や反応が若干劣った印象もあったが、僅かな違いであり、ノート系同様に氷雪上のポテンシャルは高い。
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