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韓国兵器“爆買い”の次は日本に熱視線? なぜ東アジアに注目するのか EUの「親米国」変化

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韓国兵器“爆買い”の次は日本に熱視線? なぜ東アジアに注目するのか EUの「親米国」変化

ポーランドの「アメリカ離れ」のワケとは

 ポーランドの防衛専門メディア「ディフェンス24」は2025年6月11日、「アメリカ製防衛装備品の導入が、ポーランドの安全保障にとっての最優先事項ではなくなるかもしれない」と報じました。

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 ポーランドはEU(ヨーロッパ連合)加盟国の中では有数の“親米国”として位置づけられています。2003(平成15)年に起こったイラク戦争で、フランスやドイツなどが、イラクに侵攻したアメリカに対して批判的な姿勢を示したなかで、ポーランドはアメリカに協力的な姿勢を示し、当時のジョージ・ウォーカー・ブッシュ政権から「新しいヨーロッパ」として評価されて以降、アメリカとの距離を近づけました。

 1999(平成11)年にポーランドがNATO(北大西洋条約機構)に加盟した当時、ポーランド軍が運用していた防衛装備品は冷戦時代に旧ソ連から導入したものがほとんどで、NATOの一員として活動することに支障が生じていました。このため、ポーランドは旧ソ連から導入した防衛装備品の多くを売却・廃棄して自由主義陣営諸国からの防衛装備品を導入することになったのですが、なかでもF-16戦闘機やF-35A戦闘機、M1「エイブラムス」戦車など、アメリカからの防衛装備品の導入を最優先事項としていました。

 そんなポーランドに、アメリカ製防衛装備品の導入を最優先事項としなくなる可能性が生じた背景には、アメリカのドナルド・トランプ政権の影響があるとみられています。

 たとえば、同国に駐留しているアメリカ軍は撤退させないという約束を反故にして、駐留アメリカ軍の撤退を検討すると言い出したことや、アメリカ政府が2026会計年度の防衛予算で、ポーランドを含めたヨーロッパ諸国が防衛力を強化するための財政支援の削減を検討していること、さらにアメリカがポーランドを主要な同盟国と考えていないとポーランド人が感じていることなどが、理由であるとみられています。

 ただ、ポーランドの防衛力強化は数年前からアメリカへの依存一辺倒ではなくなっており、同国は防衛力を強化するための手段の一つとして、東アジアにも目を向けています。

 ポーランドはロシアに侵攻されたウクライナへの軍事支援に積極的な国の一つで、T-72M1R戦車など冷戦時代に旧ソ連から導入した防衛装備品の多くをウクライナに供与しています。

 そして、ウクライナへの防衛装備品への大量供与によって自国の防衛力が低下することを防ぐため、ポーランドは韓国からK2戦車とK9自走砲の大量導入を決定。また旧ソ連から導入したMiG-292戦闘爆撃機の後継として、やはり韓国からFA-50戦闘機の導入も進めています。

 K2戦車とK9自走砲の大多数はポーランド国内で生産される予定で、FA-50のMRO(整備・修理・オーバーホール)もポーランド国内で行われる予定となっています。これらはポーランドの国内防衛産業の維持成長という狙いがあります。

日本に熱視線 展示会に持ち込まれた注目兵器とは

 ポーランドは国内防衛産業の維持成長のため、防衛装備品の輸出や共同開発にも取り組んでおり、その対象国の一つとして、東アジアの主要国である日本へも熱い視線を注いでいると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 2025年5月21日から23日まで千葉市の幕張メッセで開催された総合防衛イベント「DSEI Japan2025」には、国内外の多くの企業が出展していましたが、その中にはポーランドのUAS(無人航空機システム)メーカーの「WBグループ」と、国営防衛企業「PGZ(POLSKA GRUPA ZBROJENIOWA)」の姿もありました。

 WBグループが出展した徘徊型弾薬(自爆突入型ドローン)「ウォーメイト」は、2025年6月の時点でポーランドを含む8か国で運用されており、ウクライナ戦争では少なからぬ戦果を上げています。また、PGZは弾薬など各種防衛装備品を出展していましたが、その中にはPGZの子会社が開発し、2025年から量産が開始されたばかりの歩兵戦闘車「BWPボルスク」の模型も含まれていました。

 陸上自衛隊が「小型攻撃用UAV」の名称で徘徊型弾薬の導入計画を進めていますが、ウォーメイトは陸上自衛隊が要求している能力を充足しているものと考えられます。

 また陸上自衛隊は老朽化した89式歩兵戦闘車を後継する装備品の導入も検討しています。防衛装備庁は必ずしも国産に固執せず、外国製品の輸入なども視野に入れているため、BWPボルスクの模型の展示は、その商戦にアピールする狙いがあったものと思われます。

 これは第二次世界大戦勃発前の話ですが、旧ソ連という共通の国防上の脅威を抱えていた日本とポーランドは、情報分野などで積極的な防衛協力を行っていました。ポーランドが第二次世界大戦後に共産主義国家になってしまったこともあって、長らく日本との防衛協力は行われていませんでした。しかし、現在は定期的に防衛当局間協議を行うなど、積極的な防衛協力を行う国の一つとなっています。

 防衛協力の深化がすぐに防衛装備品の輸入や共同開発に繋がるというわけではありませんが、ポーランドは防衛装備品で協力していくパートナーの一つとして、真剣に検討する価値はあると筆者は思います。(竹内 修(軍事ジャーナリスト))

文:乗りものニュース 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

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