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どうしてバイクには前輪駆動や二輪駆動のモデルがほとんどないのか?

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どうしてバイクには前輪駆動や二輪駆動のモデルがほとんどないのか?

 ボディタイプやパワートレインに加えて、車両の性格を決定付ける重要な要素となるのは駆動方式です。シンプルな構造を持つ有利なFF(前輪駆動)は、コンパクトカーやセダン、SUVまで幅広く用いられ、ドライバビリティに優れるFR(後輪駆動)はスポーツカーや高級セダンに、そして悪路走破性能に長けたAWD(全輪駆動)はクロカンや寒冷地仕様のクルマに用いられるなど、それぞれのクルマの性格や用途に合わせた駆動方式が用意されています。

 一方、バイクの場合は、ほとんどすべてが後輪駆動、つまり、エンジンからの力を直接受け止めるのは後輪のみであり、前輪は「付いているだけ」という状態です。

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 クルマの場合、車種ごとに駆動方式が異なることはもちろん、同一の車種でも複数の駆動方式が選べることはめずらしくありません。しかし、バイクの場合は、後述する少数の例をのぞいて、後輪駆動が主流となっているのには、どのような背景があるのでしょうか?

 バイクでもクルマでも、部品点数を少なくすることのメリットは非常に多くあります。部品点数が少なければ、コストも抑えられますし、重量も抑えられるため燃費性能の向上も期待できます。

 クルマの場合、最大の重量物であるエンジンはフロントに位置していることが多いため、前輪を駆動輪とすることで部品点数を少なくすることができます。

 一方、バイクはエンジンが車体中央もしくは後方にあることがほとんどのため、前輪を駆動させようとするとかえって部品点数が多くなってしまうというデメリットが生じます。

 例えば、バイクで前輪駆動を実現させようとすると、前輪を操舵した際にチェーンやドライブシャフトが干渉してしまうため、そうならないように迂回させる構造を採用する必要があります。そうなると、当然部品点数は増え、構造も複雑になりますが、ものめずらしいという以外の合理的なメリットがないため、これまで採用されてこなかったようです。

 ただ、バイクの黎明期には、前輪付近にエンジンがあり、そのまま前輪を駆動輪とする「メゴラ」というバイクも存在するなど、バイクにおいても前輪駆動を試行錯誤していた事例もあるようです。

 二輪駆動も基本的には同様の理由から、これまで採用される例は決して多くなかったようです。ただ、二輪駆動には、悪路などにおいて駆動力を得られるという合理的なメリットも存在するため、悪路走破性の高さが求められるようなバイクには、二輪駆動を採用している例も見られます。

 例えば、米国のローコンは、二輪駆動のバイクを生産している数少ないバイクメーカーのひとつです。主力モデルの「トレイルブレーカー」は、幅広のトラクタータイヤを前後に持ち、210ccのエンジンと3速のトランスミッションによって前輪と後輪を駆動します。

 また、1991年の東京モーターショーでは、スズキが二輪駆動のコンセプトモデルとして「XF4」と「XF425」を出展しています。

 125ccの単気筒エンジンと無断変速式のトランスミッションを備えるXF4は、フルタイム2WD(二輪駆動)を備えた「全地形走破バイク」という触れ込みでした。

 ルアーのような目を惹くカラーリングと、改造マフラーのように取り付けられた釣り竿ホルダー、タンクにペイントされた魚など、釣りでの使用を意識したスタイリングに、多くのユーザーが驚いたと言います。

 また、ビーチで活躍する二輪駆動のモデルというXF425も、XF4同様のパワートレインを持つ、愛らしいルックスが魅力の1台として登場しました。残念ながらこの両車が市販されることはありませんでしたが、二輪駆動というコンセプト自体は以前からあったようです。

 そのほか、競技用のオフロードバイクなどで二輪駆動を採用する例も見られましたが、一般的な市販車両で二輪駆動が採用された例は皆無です。

 やはり、構造上の問題に加え、部品点数が増えることによるコスト増に対して、実用上のメリットがほとんどないというのがその原因となっているようです。

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