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センチュリーの先祖、国産初のV8エンジン搭載「クラウンエイト」【東京オリンピック1964年特集Vol.12・その2】

掲載 更新 3
センチュリーの先祖、国産初のV8エンジン搭載「クラウンエイト」【東京オリンピック1964年特集Vol.12・その2】

前回東京オリンピック開催年、1964年を振り返る連載12回目は、driver1964年6月号に掲載された2台。その1の「ベレット」に続いて、「クラウンエイト」をお届けする。

〈該当記事はこちらより〉※オリジナルサイト参照

センチュリーのご先祖「クラウンエイト」を写真で見る

■直4だけだったのに、イキナリV8搭載へ

言うまでもなく、日本初のV型8気筒エンジン車。当時、官公庁や法人のクルマはアメリカ車や欧州車がほとんどで、そのニーズに対応できる国産大型車として企画された。2代目クラウンはまだ直4のみで、クラウンシリーズとしては6気筒を飛び越えいきなりV8を搭載したことになる。

また、エイトはクラウンをベースに全長・全幅を拡大した、日本初の3ナンバーサイズ車でもある。それまで乗用車で2Lを超えていたのは、前年に登場した日産セドリックスペシャル(2.8L直6・OHV)と、同じくプリンス グランドグロリア(2.5L直6・OHC)。しかし、いずれも標準の5ナンバーボディだったため、エイトは威風堂々の存在感を示した。全長4720mm・全幅1845mmは、現在のクルマではレクサスRC Fほど。とはいえ、特に全幅は、ベレットも属するミドルサイズの相場が1500mmほどの当時、別格のワイドスタンスだったに違いない。

型式名が「V」とド直球のV8エンジンは、軽量化のためアルミ合金を多用した贅沢なつくり。ただ、国内最多のマルチシリンダーとはいえ、排気量はセドリックスペシャルより小さい2.6Lだった。1気筒あたりの排気量は約325cc。今ではずいぶん小さく思えるが、かつて日本車の花形だった2Lの6気筒が約333ccだったことを思い起こせば、特にそうとは言えない。バブル時代に開発された小排気量V6の三菱6A10型1.6L(約266cc)、マツダK8-ZE型1.85L(約307cc)のほうが断然小さいのだ。

半世紀以上がたった現在、量産車の世界は高効率化の追求によって小排気量・少気筒化が進む。エイトはミッションにしても2速ATの「トヨグライド」、3速コラムMT、4速フロアMTの3タイプで、この点もまさに隔世の感がある。最高速は150km/h。

■快適装備満載…今は当たり前の“コンライト”も

エイトはATのほかにもパワーウインドー、パワーシート、電磁式ドアロック、オートドライブ(クルーズコントロール)など、イージードライブ時代を先取りした数々の豪華装備を備えていた。

コンライトもその一つ。いわゆるオートライトで、インパネのダッシュボード右隅には、これも時代を感じさせる照度センサーが鎮座している。

コンライトは、トヨタがオートライトに使う名称だ。何だか懐かしい響きで、筆者はすっかり忘れていた。もう使われていないだろうと念のため最新のRAV4 PHVの装備表を確認すると、「コンライト」は健在! それにしても、トヨタはなぜこの名称にこだわり続けるのか…? ナゾが解明した暁には報告したい。

オートライトは2020年4月から新型車、2021年10月からは継続生産車の乗用車に装備が義務化。今や軽自動車でも当たり前の時代になった。ただし、目的はイージードライブではない。夜間の無灯火を防ぐことによるセーフティドライブのためである。

エイトは日本車の歴史に確かな功績を残したが、クラウンとあまり代わり映えしないデザインで販売実績は伸びやなんだ。その血統は1967(昭和42)年デビューの初代センチュリーに受け継がれる。

〈文=戸田治宏〉

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みんなのコメント

3件
  • 既存のクラウンを横幅方向にストレッチして作ったんだが、やはりショーファーカーの王道としては、セドリックスペシャルのように長さ方向にストレッチする方が正解とトヨタも学んだようで、その後のセンチュリーではホイールベースも伸ばし、尚且つ横幅もクラウンエイトより幅広くし、この手のクルマに必須の威風堂々感を出すのに成功したんだよね。
  • トヨタV型エンジン
    ブロック強度があればF1のエンジンのベースになれたものを・・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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