クルマの肥大化が止まらない。そんななか、前回は価格や性能などのバランスに優れた「ちょうどいい」クルマたちを紹介した本企画。今回はそのものズバリ、サイズ感が扱いやすく、日本にちょうどいい車を紹介していきたい。
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生き残るのは誰だ!? 喰うか喰われるか 新型ヤリスクロスが飛び込むSUV最激戦区の新戦略
平成の時代になると物品税が廃止され、これに代わって消費税を導入している。排気量2Lを上限としている小型車も、ワイドボディの3ナンバー車が認められるようになった。
海外市場をメインにしているコンパクトカーやミドルクラスは、全幅が1700mmを超えるクルマが一気に増えたが、その理由は税制改革があったからだ。
ワイドボディにすれば見栄えはいいし、ハンドリングもよくなる。また、ステアリングの舵角も増やせるから取り回し性の向上にも有益だ。
だが、日本の道路や駐車場の多くは全幅1700mmの小型車枠を基本としているから、あまり幅が広いと使い勝手の面で弊害が出る。
日本で乗るのに、ちょうどいいサイズは、全長は4500mm、全幅は1750mmくらいまでだろう。このサイズなら5ナンバー車に乗っている人も無理なく運転できるはずだ。
5ナンバーサイズは理想だが、これは旧世代の規格である。厳しさを増す衝突安全性能と走行安定性を考えると全幅1750mmくらいまでは認めてもいいと思う。
文:片岡英明
写真:編集部
ベストカー 2020年4月26日号
【画像ギャラリー】まだまだある! 日本のちょうどいい車 全10台!!
【ハッチバック部門】ホンダ 新型フィット
5ナンバーサイズながらスペースユーティリティ抜群の新型フィット。デザインも足回りも柔和になり、より多くのユーザーにとって“ちょうどいいクルマ”に!
コンパクトクラスからミドルクラスまでのハッチバックは、最新設計のフィットがライバルより魅力的と感じる。全長は4m以下で、全幅も基本は5ナンバーサイズだ。それでいてキャビンはミドルクラスのファミリーカー並みに広いし、荷室も広い。
2モーター式に格上げしたハイブリッド車を含め、動力性能は向上しているし、ハンドリングもよくなった。
また、快適性も1クラス上の実力を秘めている。トータルで考えると弱点の少ないコンパクトカーだ。デザインもオシャレだから長く付き合える。
TNGAプラットフォームを採用したヤリスは、スポーティ度が高いことに加え、ハイブリッド車は群を抜く優れた実燃費を実現した。フィット以上に気持ちよく走り、エコ指数も高い。
が、キャビンはフィットほど広くないし、先進安全装備もちょっと差をつけられているのが残念。
【SUV部門】トヨタ ライズ/ダイハツ ロッキー
共同開発車のダイハツ ロッキー(左)とトヨタ ライズ(右)。ありそうでなかった5ナンバーサイズのSUVとして大ヒットを飛ばしている
SUVは、ベストセラーカーに輝いたライズとロッキーをイチ推しとした。
本音を言えば余裕たっぷりのCX-30とヴェゼルに惹かれる。特にCX-30は旬の1台。走りの気持ちよさはピカイチで、パワーユニットも魅力的だ。
が、どちらも1800mmに迫る全幅だから、日常の使い勝手は今一歩と感じてしまう。ネガはこの広い全幅だけだ。
割り切って乗るなら、リーズナブルな価格で内容も濃いライズ/ロッキーをお薦めしたい。コンパクトサイズだが、押しの強いデザインでカッコよく見える。
また、小さくてもキャビンは不満のない広さだ。長身の人が後席に座っても、それほど窮屈じゃない。
走りは並のレベルで、操縦性と乗り心地に物足りなさを感じる。だが、4WDの実力は思いのほか高く、1ℓの3気筒ターボもトルク感たっぷりだ。先進安全装備も、それなりに充実している。
【セダン部門】トヨタ カローラ
これまでは実用セダンのイメージが強かったカローラ。新型の登場で基本性能のレベルは格段に上がり、ライバルを凌ぐレベルに
セダンはマツダ3が好印象だった。スタイリッシュだし、革新的なSKYACTIV-Xやクリーンディーゼルも用意されている。
が、同じ時期にカローラも新型になった。比べてみると、ジャストサイズのファミリーカーのなかで、カローラのトータル性能がとても高いことがわかる。
ともにワイドボディを採用したが、日本のユーザーをより強く意識しているのはカローラだ。全幅を海外向けより狭め、自慢のハイブリッド車にも改良のメスを加えた。
また、走りの実力もマツダのお株を奪うほど高いレベルにまとめている。後席はちょっと狭いが、これ以外は気になる弱点は見当たらない。
【ワゴン部門】トヨタ カローラツーリング
海外仕様から全長で-155mm、全幅も-45mmコンパクトとなり、日本にちょうどいいを意識したカローラツーリング
ハンドリングと快適性の妥協点が高く、価格的にもリーズナブルと感じられるカローラは、多くの人にとって魅力的と感じられるはずだ。
このカローラをベースにしたステーションワゴンのカローラツーリングにも死角はない。
このクラスを含め、ワゴンのジャンルは新鮮味のあるクルマがないため無風の状態が続いていた。が、やっと多くの人におすすめできるワゴンが登場したのである。
多くの人は、このサイズのセダンとワゴンで充分に満足できるはずだ。上級クラスに乗っていたダウンサイザーでも、乗ってみれば不満を抱かないだろう。
というより、クルマの進化に驚かされるはずである。
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