「2CV」ってどんなクルマ?
まるでかぼちゃの馬車のような特徴的なデザインで知られるフランスの名車「シトロエン2CV」。「卵を載せても割れずに農道を走ることができる乗り心地」「こうもり傘に車輪を付けたクルマ」などといったコンセプトの国民車として、1948(昭和23)年に誕生しました。
【写真レポ】“今の2CV”中身はどうなってる? 工場にも潜入したぞ!
空冷水平対向2気筒エンジン、FF(前輪駆動)、独創的なサスペンションなど、当時としては画期的かつ合理的な設計だったこのクルマは、世界中の多くの人々に愛され、1990(平成2)年に生産終了するまでの42年間で、累計380万台以上が生産されています。
あの有名なアニメ監督である宮崎 駿さんの愛車としても知られ、映画『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)では、ヒロインのクラリスが乗って登場、映画『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981年)でも、ジェームズ・ボンドが運転して、カーチェイスを繰り広げました。
今でもパリの街を訪れると、結構な数の2CVに出会うことができます。その多くは、ボディサイドに文字が書かれており、4人フル乗車で楽しそうにゆっくり流して走っています。そう、これは、2CVを使ったパリ市街観光ツアーなのです。たとえるなら浅草や京都などの人力車みたいなものでしょうか。
ただ、これら2CVは皆、なかなか綺麗な状態でしっかりと走行しています。よほどのフルレストアを行ったのだろうかと思いきや、ほとんどが新車。なんと、今でも2CVの新車が買えるのです。
今でも「シトロエン2CV」の新車が買える!
現在、2CVの新車を生産・販売しているのは、南フランス・プロヴァンス地方の小さな漁港を持つ観光地、カシスにある会社「2CV・メアリ・クラブ・カシス」。1978(昭和53)年、シトロエンのディーラーを営んでいたジョージ・マルケスさんが、2CVをベースにジープのようなオープンボディを架装した「シトロエン・メアリ」をレストアし、ビーチカーとして観光用のレンタルも行っていたところ、その高いクオリティがシトロエンに認められ、パートナーシップを締結するに至りました。
その後、この会社は、シトロエンが1987(昭和62)年にメアリの生産を終了すると、純正パーツや工作機械、工具などの生産設備まですべて受け継ぎ、1998(平成10)年よりメアリの製造元になります。そして、そこからステップアップして2002(平成14)年には、とうとう2CVの製造元にもなったのです。
同社では、50人ほどのスタッフによって、ほとんど手作りに近い状態で月間8台ほどのペースで生産を行っています。しかし、大手自動車メーカーのように、全くゼロから自動車を製造する権利は持っていないため、実際は朽ち果てた中古車の個体からシャシーナンバー(車台番号)のプレートだけを移植し、純正の新品パーツや再生産パーツなどを使用して、“再生新車”として組み上げています。よって、ナンバー登録の際は、移植されたシャシーナンバープレートの年式となります。
とはいえ、ボディカラーや仕様は、自由にオーダーできるうえ、さらに、錆びにくい亜鉛メッキが施され、剛性が強化されたシャシーフレームや現代的な点火システムなど、オリジナルよりも性能や利便性を向上させることもできます。そのため、単なるレストア(再生)とは異なると言えるでしょう。
日本でも買える“人生アガリの1台”に
日本では、東京・千駄ヶ谷の「ルパルナス」が、同社と提携し、直輸入の販売を行っています。価格は、諸費用消費税すべて込みで乗り出し420万円から。中古車を徹底的にフルレストアすることを考えると、リーズナブルな価格と言えるのではないでしょうか。ルパルナスによると、2CVを昔乗っていた人が、歳を取って人生最後にもう一度乗りたいとオーダーするケースが多いそうです。
自動車の原点のような構造で、ハイスピードとも無縁の、乗るとほっこりするプリミティブな魅力を持ったシトロエン2CV。昔乗っていた人もそうでない人も“人生アガリの1台”としていかがでしょうか。
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みんなのコメント
カッコ良いのは、カウンタックやBBであり、アルファロメオのジュリエッタや、ポルシェ356でも、「なんて、古くさくて、カッコ悪い」と、思ったのだから、2CVなんて、問題外だった。
でも、50過ぎた頃から、妙に魅力を感じている。シトロエンなら、2CVだけでなく、4CVやDSなんかも。
先述のジュリエッタ、356も、やたら妖艶で魅力的に見えたり・