■ただの「ドアバイザー」ではない
ホンダは2025年9月12日、新型「N-ONE e:」を発売しました。
【画像】「ええぇぇー!!」 これが世界初の「すごいドアバイザー」です!(48枚)
同時にホンダアクセスから純正のアクセサリーも多数用意されましたが、そのひとつにこれまでになかった画期的なアイテムが用意されています。一体どのようなものなのでしょうか。
新型N-ONE e:は、ホンダの軽コンパクトワゴン「N-ONE」をベースとした軽乗用BEV(バッテリー電気自動車)です。
N-ONEの愛嬌がある親しみやすいデザインをベースに、BEVらしくクリーンでシンプルにまとめるとともに、環境負荷低減を目指した使用済み素材を採用するなど、地球にやさしいクルマを目指しています。
パワーユニットは軽商用BEV「N-VAN e:」同様、小型化したコンポーネントや小型のeアクスルを採用。N-ONEの「センタータンクレイアウト」を活かしたバッテリー配置と合わせ、ラゲッジやシートアレンジなどはN-ONEと同一の使い勝手を確保しています。
モーターは最大出力47kW(64馬力)・最大トルク162Nmで、29.6kWhの大容量薄型バッテリーを組み合わせます。ギア比を工夫することで、扱いやすいトルク特性を実現するとともに、軽乗用EVではトップの一充電航続可能距離295km(WLTCモード)を達成。バッテリー切れの不安を軽減し、日常使いでの信頼性の高さを確保しています。
先進運転支援システムでは、全車で「ホンダ センシング」を搭載。渋滞時支援機能や衝突被害軽減ブレーキ、車線維持支援、誤発進抑制などを備え、安全性能を高めています。
グレードはシンプルな「e:G」と、アルミホイールや急速充電、ホンダ コネクトディスプレイなどを備える上級モデル「e:L」を設定しています。
価格(消費税込)は269万9400円から319万8800円で、政府の令和7年度(2025年度)CEV補助金57万4000円の対象となるほか、各自治体における独自の補助金などでさらに安く買うことが可能です。
さて、そんな新型N-ONE e:に対しては、さまざまな純正アクセサリーが設定されていますが、なかでもオプション品として定番となっている「ドアバイザー」は、これまでの製品とは異なるものとなっています。
新型N-ONE e:のドアバイザーは、使用済みの自動車のテールランプなどから回収した、サステナブルマテリアルである「リサイクルアクリル樹脂素材」を採用しています。三菱ケミカルと共同開発したもので、自動車用品業界として初めてだということです。
現在では使用済み自動車は非常に多くのパーツが素材の再利用を見据えて開発・製造されており、特に金属はほとんどがつぎのクルマへと生まれ変わっています。
いっぽう樹脂パーツの大半は、回収した素材の品質の安定性が低く、さらに再利用するための技術的な難易度が高かったことから、製品にリサイクルすることが困難だったといいます。
そこでホンダは、北海道自動車処理協同組合と三菱ケミカルとともに、アクリル樹脂のリサイクルに関する実証実験を行い、異物混入を防ぐ回収方法と完全新製した素材(バージン材)同等の樹脂の再生技術を確立。
これにより、バージン材の使用割合を低減するとともに、樹脂の製造・廃棄時にかかるCO2の排出削減が可能となりました。
ドアバイザーにどのような特徴があるのか、ホンダアクセスの担当者は以下のように話します。
「最近ではタバコを吸う方が少なくなっていますが、それでも雨の換気などのためにドアバイザーを新車の付属品として選んでいただくことはいまも多く、(販売)数が多いという特徴があります。
N-ONE e:の場合、電気自動車なのでバッテリー残量を気にする方も多く、エアコンをつけずに窓を開けて涼しくしたいという方に選んでいただいています」
いっぽうで、リサイクル素材の活用は新たな取り組みということもあり、まだ課題もあると話します。
「価格は通常のものよりも変わります。やはりリサイクル素材ということもあり、製造時の工程が増えますので、わずかながらその分が上乗せされているのは確かです。
ある意味で『環境負荷税』のような感じですが、地球環境へ取り組む世の中の動きとして(こういったリサイクルの取り組みや少々の価格アップへの理解が)一般的になれば良いかと思っています」(ホンダアクセス担当者)
通常のN-ONE向けドアバイザーは2万2000円(消費税込、以下同)ですが、N-ONE e:のドアバイザーは2万8600円と少々アップしています。
ただし、今後はこうしたサステナブル素材を積極的に用いることで、課題であるコストについては徐々に解決できるとも言います。
「リサイクルの取り組みは他メーカーでもやっていると思いますが、こうした製品になるのは初めてです。
リサイクル素材という点では、ホンダアクセスはN-VAN e:向けのフロアマットに、リサイクル材を用いた製品を用意しており、今回のドアバイザーのように少しずつラインナップを増やしていく方針です。
まだ今回は実験的なものに近く、プラント(工場)も試作なので、今回のドアバイザーの受注が増えていけば、量産に切り替えてコストも下げられると考えています」(ホンダアクセス担当者)(くるまのニュース編集部)
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