まさに“赤子の手をひねる”が如く。南半球からの刺客としてデビュー以降、ロードコースで類まれなる才能とドライビング技術を披露してきた名手“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トラックハウス・レーシング/シボレー・カマロ)が、ふたたび圧巻の走りを披露。ワトキンス・グレンで開催されたNASCARカップシリーズ第12戦『Go Bowling at The Glen(ゴー・ボウリング・アット・ザ・グレン)』にてポールポジションからのスタートを切りながら、終盤に一時24番手付近まで後退するビハインドを背負う展開に。しかし、ここから怒涛のラッシュで最大29.2秒もの差を巻き返し、歴戦のカップレギュラーたちを薙ぎ払っての通算7勝目(すべてロードコース)を飾っている。
昨季のグレン覇者として乗り込んできたSVGは、予選で早くもその真価を発揮し、昨年と同じグリッドポジションを確保。トラックハウス・レーシングの97号車シボレー・カマロZL1で今季初のポールポジションを射止め、カップシリーズ通算5度目のポールウイナーに輝いた。
チェイス・エリオットが完全支配。僚友アレックス・ボウマンのプッシュを受け今季2勝目/NASCAR第11戦
「チームは、僕が1周で必要としていたセッティングを完璧に仕上げてくれた。今回のスーパーファイル・シボレーは本当に素晴らしかった」とSVG。「トラックハウスのマシンはすべてトップ5に入っていた。つまり、今週末は良いマシンが揃っているということだ。明日、その勢いを活かせたらいいね」
その言葉どおり、決勝前半戦は僚友ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシング/シボレー・カマロ)がステージ1を制覇し、タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)、マイケル・マクドウェル(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)らがリードラップを刻んでいく。
そのうえでイエローコーションは4回。うち2回がデブリ対策で、残り2回はステージブレイクという直球対決が必要な展開のなか、各チームの戦略が分かれたことでSVGは思わぬ展開に巻き込まれる。ステージ2終盤、クルーチーフを務めるステファン・ドーランは97号車をステイアウトさせたが、他のドライバーは作業機会を捉えピットイン。続く60周目のイエローでも他のドライバーがピットロードへと向かうなか、SVGのみがコース上に留まる。
そして最後のグリーンフラッグによるピットサイクルが到来し、ここでSVGは残り25周の75周目でついに首位を明け渡すことに。結果、すでにピットインを終えていたギブスと後輩コナー・ジリッシュ(トラックハウス・レーシング/シボレー・カマロ)が先頭集団に躍り出る。
これで後方から自力で這い上がることを強いられたSVGに対し、首位攻防のジリッシュとギブスは燃料節約と互いの走りに気を配らざるを得ない状況で終盤戦に突入すると、徐々に順位を上げていったSVGが残り14周のコントロールライン時点で、最大29.2秒差を14.9秒にまで縮めていく。
そのまま残り10周の時点で5番手に浮上した97号車と首位のタイム差は4.2秒に縮まり、迎えた残り8周。ギブスの背後に迫ったSVGは、勢いそのまま華麗なオーバーテイクで首位奪還に成功し、追走してきたマクドウェルを引き離してチェッカー。最終的にステージ2を制覇していたSVGがレースハイとなる74周をリードし、今季初勝利を奪い獲った。
「97号車で優勝できたなんて信じられない」と、豪州時代のゆかりの番号での初勝利を祝ったSVG。「トラックハウスに感謝したい。練習走行ではあまり調子が良くなかったが、予選では素晴らしい走りを見せてくれた。セッティングも良く、そして今日は最高のレースカーだった。ステファン・ドーランの判断も素晴らしかったね。どうなるか分からなかったが、あんな風に追い上げることが出来て本当に感動した。ここで連覇できたのは真に特別なことさ!」
マクドウェル、ギブスに続き、チェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)、タイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)の顔ぶれがトップ5に続き、ジリッシュは残り8周でタイヤがパンクしピットインを余儀なくされ20位に沈んだが、いずれもロードコースでの勝利を飾ったSVGは、カップ通算62戦にして7勝という自身の偉業について「もちろん、簡単じゃないよ」と応じた。
「みんな本当に強い。プレッシャーも大きかった。(マイケル・)マクドウェルも強かったし、コナー(・ジリッシュ)も強かった。タイラー・レディックもね。本当に強い選手ばかりで最大級のプレッシャーだ。でも、みんながそれぞれの持ち味を最大限に発揮してくれるのが本当にうれしいよ」
現地金曜に併催されたNASCARクラフツマン・トラックシリーズ第8戦『Bully Hill Vineyards 176(ブリー・ヒル・ヴィンヤーズ176)』では、その数時間前にインターナショナル・サーキットで行われたARCAメナーズ・シリーズでも優勝を飾っていたケイデン・ハニーカット(トライコン・ガレージ/トヨタ・タンドラTRD-Pro)が、オーバータイム1周目のタイトなターン1でコナー・ジリッシュから首位を奪い、待望のシリーズ初優勝を達成。両レースで同日に優勝したふたり目のドライバーとして、サム・メイヤー(2020年ブリストル)に次ぐ快挙を成し遂げることに。
同じく土曜併催のNASCARオライリー・オートパーツ・シリーズ第13戦『Mission 200 at the Glen(ミッション200アット・ザ・グレン)』は、そのジリッシュ(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が親友ジェシー・ラブ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)を撃破し、同地3戦連続、今季5戦で2勝目、そしてキャリア通算13勝目を飾っている。
[オートスポーツweb 2026年05月12日]
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