現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ同じ顔に? 各社のフロントデザインイメージが統一されていく理由

ここから本文です

なぜ同じ顔に? 各社のフロントデザインイメージが統一されていく理由

掲載 更新
なぜ同じ顔に? 各社のフロントデザインイメージが統一されていく理由

■なぜ「デリカD:5」はあのデザインとなったのか?

 最近、新型車のデザインには各自動車メーカーのデザインコンセプトが採用されています。2019年2月に発売された、三菱を代表するオールラウンドミニバン「デリカD:5」はフェイスデザインを大幅に変更したことで大きな話題となりました。

軽から高級車までLEDヘッドライトが急増している理由 メリット多いがデメリットも

 全体的には、フロント部分のデザインを統一化する傾向にありますが、なぜフロントの造形を同じようなデザインにするのでしょうか。

 トヨタは、「カローラ スポーツ」や「ヴィッツ」といったモデルで、『キーンルック』というデザインテーマを一部車種に採用。日産では「GT-R」や「ノート」、「キャラバン」といったほとんどの車種に『Vモーション』使われています。

 同様に、スバル『Dynamic×Solid』、三菱『Dynamic Shield』、マツダ『魂動デザイン』と各社でデザインコンセプトを持っているのです。

 最近、販売されるモデルの多くに『Dynamic Shield』を採用している三菱は、次のように話します。

「三菱のデザインアイデンティティ『Dynamic Shield』は、国内では2015年に登場したアウトランダーから採用され、徐々に広がりを見せています。ただし、コンパクトカーの『ミラージュ』や軽自動車の『eKワゴン』などには採用していません。

 この『Dynamic Shield』を採用する理由の一つには、『三菱らしさ』を表現したいという想いがあります。そのため、SUV系モデルのデザインを企画する際に採用される傾向にあるのです」

 また、フェイスチェンジで話題を呼んだ「デリカD:5」について、デザインの担当者は次のように説明しています。

「フロントデザインは、従来モデルの『唯一無二のSUVミニバン』という部分は継承しつつ、SUVの力強さを高めるため、三菱のデザインコンセプト『ダイナミックシールド』をもとに、特徴的な縦型ヘッドランプを採用するなどライトまわりの部分はだいぶ力を入れています。

 また、このデザインに至るまでにコンセプトカーやインドネシア生産の『エクスパンダー』というクルマで、デザインの方向性をお披露目しています。その際、不評な声より好評な声が多かったこともあり、『デリカD:5』でもチャレンジしました。今後も新世代モデルは、ヘッドライトをバンパーに配置したフロントデザインが続くと思います」

※ ※ ※

 三菱車を象徴する「力強さ」「アクティブさ」といったイメージや「四輪駆動制御」「悪路走破性」といった技術的な装備を兼ね備えたモデルに、『Dynamic Shield』というデザインが採用されているようです。

■デザイン統一化にみるグローバル戦略

 海外においては、BMWは1930年代から全車種に『キドニーグリル』を採用。その後、各国の主要自動車メーカーでは続々とデザインを統一化する流れとなっていました。

 国内メーカーでは、それぞれの車種におけるフロントデザインの統一化が2010年頃から始まります。とくに、大きな流れを作ったのがマツダの『魂動デザイン』です。

 この『魂動デザイン』とは、部分的なパーツやモデル毎ということではない、マツダのラインナップにおけるデザインテーマとなっています。なぜ、マツダは全モデルにおいてデザインを統一化したのでしょうか。

『魂動デザイン』について、マツダは次のように話します。

「マツダの『魂動デザイン』とは、『生物が見せる一瞬の動きの強さや美しさを』表現したものです。採用した理由には、マツダブランドを訴求するためにモデル個々のデザインを最適なものにするのではなく、『マツダデザイン』とすることで、ブランドを訴求していく狙いがありました。

 2012年の初代『CX-5』から、コンパクトカー『デミオ』、フラッグシップモデル『アテンザ』、スポーツカー『ロードスター』、フルサイズSUV『CX-8』などに採用されています」

※ ※ ※

 このように、各社のデザインは単純な外観上の話だけに留まらず、『ブランド訴求』といったメーカーの方向性を示すものだったのです。

 大手自動車メーカーの関係者は、『デザインの統一化』について次のように話します。

「日本の自動車メーカーは、いままで国内をメインの市場に捉えていましたが、市場の縮小化や海外市場での販路拡大を目指した際に、世界的な戦略を視野に入れ始めます。

 なぜ、統一化をするかといえば、ブランド認知の低い海外市場において、ひと目で見分けることができないモデルは購入候補に入りません。

 そのため、デザインを統一化することでブランドの認知を図っているのです。とくに、アジア圏では『ブランド認知』が高いほど市場のシェアも多くなる傾向にあります」

※ ※ ※ 

 しかし、国内においては逆の考えをもつユーザーも少なくありません。『顔が同じだと個性がない』『フラッグシップモデルとエントリーモデルが同じようなデザインだと価格的な差別化がない』という声も聞こえます。

 そうした要因もあり、国内で大きなシェアを誇るトヨタなどは、一部車種のみでデザインを統一しているのかもしれません。 【了】

こんな記事も読まれています

ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
AUTOCAR JAPAN
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
Auto Messe Web
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
グーネット
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
くるまのニュース
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
AUTOCAR JAPAN
マツダ、北京モーターショーで新型電動車2機種を初披露。2024年中に1車種を発売
マツダ、北京モーターショーで新型電動車2機種を初披露。2024年中に1車種を発売
driver@web
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
Auto Messe Web
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
AUTOCAR JAPAN
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
driver@web
B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
AUTOSPORT web
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
グーネット
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
レスポンス
マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
AUTOSPORT web
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
AUTOSPORT web
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
くるまのニュース
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
月刊自家用車WEB
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
WEB CARTOP
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

400.2457.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

23.8715.8万円

中古車を検索
デリカD:5の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

400.2457.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

23.8715.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村