■第3世代e-POWERを搭載した「新型キックス」登場!
日産がコンパクトSUVの新型「キックス」を発売した。購入を検討している人ならさっそくディーラーで試乗済みかもしれない。以下、答え合わせだと思って読んでいただきたく。
まずクルマのバックボーンから。先代キックスは先代「ノート」ベースのため日産設計の欧州Bセグ級だったのだけれど、新型から現行ノートと同じルノー設計のプラットフォームを使う。結果、完全に一回り大きいボディサイズになった。
他社のコンパクトSUVでわかりやすくいうと、トヨタ「ヤリスクロス」級からホンダ「ヴェゼル」級になったワケ。キャビンスペースも“広い”と評価されているヴェセルと同等になった。
重い重いボンネットを開けるとクルマの構造がよくわかる。ノートの基本骨格にトラス構造のボディ外皮を被せているのだ。ヤリスクロスや、インド工場製のホンダ「WR-V」と同じ作り方です。
そして、先代キックスはタイ工場製だったものの、新型キックスはルノーのプラットフォームになるので、現行型ノートと同じ追浜工場製(神奈川県横須賀市)になった。およそ2年後に追浜工場が閉まると、九州工場(日産自動車九州:福岡県苅田町)製に切り替わるそうな。
新型キックスのアウトラインはこのあたりにして試乗と行きましょう。2WD(FF)から試す。
Dレンジをセレクトして走り出すと、最近のe-POWER(日産式ハイブリッド)に共通することながら、けっこう高い速度域までエンジンが掛からない。暗騒音(走り出すと様々な騒音が出る。これを暗騒音といいます)が大きくなった時点でエンジン掛かるため、オーディオなど掛けていたら気づかないかもしれない。これは日産に限らず、トヨタやホンダも同じ制御傾向だ。
セールスポイントは第3世代のe-POWERということ。性能面で一番大きな進化といえば「協調回生ブレーキを使うようになった」ことだと思う。
今までのe-POWERはブレーキを踏むと100%油圧系だった。アクセルを戻した時だけ(eペダルを含む)エネルギー回生していた。新型になってトヨタやホンダのハイブリッドと同じブレーキバイワイヤを採用し、回生と油圧の両方を使うようになったのだ。ちなみに、トヨタは1997年から協調回生です。
ブレーキ時のエネルギー回生出来るようになれば実燃費も上がる。熱効率40%を実現している直噴エンジンの採用とあわせ、ホンダを抜き、トヨタに肉薄出来る実用燃費を実現したという。
このあたり、個別試乗だと確認する術がないため、近々、ヴェゼルやトヨタの「カローラクロス」などと比べてみたい。
また、レスポンスの良い直噴を採用した結果、巡航状態からアクセル全開してフル加速になるまでのタイムラグも短くなっているという。
新型キックスのe-POWERは、停止状態からアクセル全開した場合、「1.走行用電池からの電力で前輪モーターが45馬力程度を発生」「2.アクセル全開と同時にエンジン始動して発電を開始。回転の上昇により発電機からの電力を増やして行く」「3.最高出力回転数になると電池+エンジン発電の電力により143馬力のモーターをフルに稼働させる」のだが、この「1」から「3」のタイムラグが小さくなったということです。
e-POWERの面白さは走行用電池がパワフルなことにある。新型キックスが1.5kWh、ヴェゼルが1.1kWh。ヤリスクロス0.8kWhになる。エンジンが掛かっていない状態でアクセル踏んだ直後、「1」の出力は電池の性能によって決まってくる。
大容量電池を使う新型キックスのアクセルレスポンスが良いのは、電池スペックからして物理的にわかるだろう(だから最近トヨタは電池容量をカタログに載せない)。競合車と比べれば明らかに新型キックスは元気に感じる。
■乗り心地は良好! 気になるのはライバルとの価格差か!?
試乗してe-POWER以上に「いいね!」だったのが乗り味。欧州設計のプラットフォームの良さをキッチリ引き出せている。硬いタイヤのため不利な19インチ仕様(G/G e-4ORCE)でも乗り心地は良好。
17インチ仕様を選ぶと日産車の中じゃ圧倒的に上質なクルマに感じる。新型「リーフ」もこのくらいの乗り心地を目標にして欲しかった。乗れば誰にでもわかる「良いクルマ感」を味わえることだろう。ディーラーで試乗済みの皆さんも同じように感じたと思う。
続いて4WDの「e-4ORCE」も試乗してみた。今や世の中「AWD」と呼びたがるのに日産は4WDのまんま。グレード名にはe-4ORCEとついているが、ウェブサイトなんかを見るとAWDも4WDと表記し続けているの私の好みです(笑)
新型キックスの4WDは、後輪が68馬力のモーター駆動となる。前述の「法則」を当てはめれば、新型キックスの最大出力(電池+エンジン)は143馬力。後輪モーターが68馬力を出している時の前輪モーターって「143馬力-68馬力」だから75馬力。前後の駆動力配分55%対45%程度です。
キッチリ後輪に駆動力を掛けることで4WDっぽい乗り味を出せる。これは、ぜひ雪道も試してみたいと思う。
※ ※ ※
さて、なかなか良い仕上がりの新型キックスながら、相対的に評価すると、エントリーグレードこそライバルと同等なものの、最上級の「G e-4ORCE」あたりを狙うとヴェゼルやカローラクロスと比べて30万円くらい割高。299万9700円から424万8200円です(消費税込)。
このあたりはウェブでいいから見積もりを取ってみたらわかる。ルノーのプラットフォームのコストが高いんだと思うが、逆に考えれば、価格さえ気にならなければ魅力的なクルマです。(国沢光宏)
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