年間6万台が盗難被害に
英国では、近年増加するスマートキー装備車の盗難に対処するために新しい法律が導入されたが、問題解決にはつながらないだろうと、自動車セキュリティの専門家は述べている。
英警察「傷ついたフェラーリ」を保護、約30年前の盗難車と判明! 日本にも一時流入? 犯人は逃走中
昨年、6万1343台以上の車両が盗難に遭った。過去10年間で3番目に多く、2015年の2倍に達する。そのうちの約40%は、キーが近くにあると車両に誤認させるリレーアタックなどの手法によって、キーなしで盗まれた。
2023年、AUTOCARでは、レンジローバー、フェラーリ、ランボルギーニなどの車種に搭載される「CANバス」システム(車内の通信ネットワーク)を制御し、車両を操作できるデバイスを2500ポンド(約50万円)から3万ポンド(約580万円)で販売しているウェブサイトがあるという記事を掲載した。
簡単に言うと、不正に車両を操作できるデバイスを誰でも簡単に購入できるような状態だった。
これまで、こうしたデバイスやその他車両盗難に使用されるデバイスの取り扱いは、特定の犯罪に使用されたことが警察によって証明された場合にのみ起訴可能だった。新法では、このようなデバイスを所持、あるいは輸入、製造、改造、販売していたことが判明した者は、最高5年の懲役および無制限の罰金が科せられる。デバイスの所有者は、合法的な目的で使用していたことを証明しなければならない。
ダイアナ・ジョンソン警察・犯罪防止担当大臣は、「この新法は、こうしたデバイスが窃盗犯や組織犯罪グループの手に渡るのを防ぐものだ。また、警察とメーカーが協力して自動車犯罪を取り締まる全国警察署長協議会とも引き続き緊密に連携していく」と述べた。
しかし、警察の協力を得て盗難車の捜索を行う民間企業、トラッカー(Tracker)社の警察渉外担当責任者であるクライブ・ウェイン氏は、この新法で犯罪を阻止できるとは考えていない。
「電子機器の不正利用に対抗するという点では、正しい一歩だと思いますが、スマートキー車の盗難の問題を解決できるわけではありません。当社は盗難車の追跡において、警察からの素晴らしい支援もあり、95%という回収率を達成しています。しかし、司法制度の中には、自動車盗難は被害者なき犯罪であり、保険会社が解決するものだと考えている人々もいるでしょう。彼らは判決を下す際にも、そう考えるかもしれません」
「自動車犯罪者を裁判にかけても、その刑罰は、それまでに費やされた時間と労力に見合うものではありません。そのことを承知の上で、警察が限られたリソースの中で捜査を行うことは困難を極めます」
ウェイン氏はこのように述べ、さらに盗難車を解体して部品を得る「チョップショップ」の摘発は一見有効に見えるかもしれないが、それは氷山の一角にすぎない、と付け加えている。
「チョップショップは全国各地に出現しています。しかし、現場で逮捕されるのは、多くの場合、盗難や計画の首謀者ではありません。主犯格は海外にいることが多い。チョップショップの人たちは、車両を盗んで解体することで報酬を受け取っているだけです。したがって、彼らを法廷で追及しても、組織犯罪グループのトップは捕まえられないのです」
「こうした人物の捜査には、貴重なリソースが費やされます。非常に難しい問題です」
警察内部の連携不足も指摘
別の車両追跡会社、イン・トラック(Inn Track)社の捜査サービス担当ディレクターを務めるニール・トーマス氏は、警察内部での協力不足も新法の有効性を損なう要因になると考えている。
元警視正でもあるトーマス氏は、「管轄区域を越えた捜査は非常に困難で、車両が別の警察管内に入ってしまった場合、回収を徹底することが難しくなります」と話す。
「最近、エセックス州スタンステッド空港の駐車場から、メルセデス・ベンツCLAが盗まれたという通報がありました。わたし達は車両を追跡し、『クールダウン』のために駐車されていた通りまで辿り着きました。クールダウンの間、盗んだ犯人は追跡されているかどうかを確認しているのです」
「車両はエセックス警察管内で盗まれましたが、発見されたのはロンドン警視庁管内でした。ロンドン警視庁はわたし達に、エセックス警察と連絡を取るよう指示しました。エセックス警察は、ロンドン警視庁に車両の鑑識を行うかどうかを確認する必要があるとのことでした。ロンドン警視庁は鑑識を拒否し、車両は返還されました。重要なのは、このやりとりの中で車両を詳しく調べる貴重な機会が失われ、どのように盗まれたのか経緯を明らかにできないということです」
ロンドン警視庁の広報担当者はこの件についてコメントを控えたが、近隣の警察機関や地域組織犯罪対策ユニットとの間で長期的な連携体制が整っていると述べた。
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