古今東西の大排気量エンジン
あえて言うまでもないが、エンジンの大きさは実にさまざまだ。「エンジン」という言葉の定義にもよるが、小指ほどの大きさのものもあれば、シリンダー内に大人が余裕で収まるほど巨大なものもある。
【画像】現行市販車最大! 8.3L V16エンジン搭載ハイパーカー【ブガッティ・トゥールビヨンを詳しく見る】 全22枚
本特集では、特に排気量の大きいエンジンに焦点を当てたい。陸上を走る車両(自動車)に搭載されているものを条件とするが、記事の最後に1つだけ例外を紹介する。また、排気量8.0Lを下回るものは “小さすぎる” ため対象外とする。
ブガッティ・トゥールビヨン:8.3L
ブガッティ・トゥールビヨンの8.3L V16エンジンは、本特集で取り上げる最小のエンジンであると同時に、現行の量産車に搭載されている中で最大のエンジンである。
コスワースが開発したもので、先代モデルであるブガッティ・シロンに搭載されたクワッドターボW16エンジンとは異なり、自然吸気式だ。エンジン単体で最高出力1000psを発生し、さらに電気モーターが加わることで合計出力は1800psに達する。2024年6月に発表され、2026年に生産開始予定とされている。推定最高速度は445km/h。
ダッジ・バイパー:8.4L
2017年に生産終了するまで、ダッジ・バイパーのV10エンジンは量産車として世界最大だった。排気量は当初8.0Lだったが、後に8.4Lへと拡大され、650psを発揮した。
ブガッティ・ロワイヤル:12.7L
1927年から1933年にかけて年間約1台のペースで生産された、圧倒的な豪華さを誇るブガッティ・ロワイヤル。12.7Lという巨大な8気筒エンジンを搭載している。
国を治めるような富裕層をターゲットとしていたロワイヤルだが、世界恐慌の最中に販売された極めて高価なクルマであったため、商業的には成功しなかった。しかし、エンジンは別分野で成功を収めており、1950年代までフランスの列車で使用された。
ヴァイネック・コブラ:12.8L
ドイツのヴァイネック社は、超大型エンジンに情熱を注いでいる。同社の最も有名な製品は、780立方インチ(約12.8L)のV8エンジンを搭載したACコブラのレプリカだろう。このモンスターエンジンを高回転域で稼働させるには大量の空気を供給する必要があり、そのために巨大なボンネットスクープが設けられた。
ターボチャージャーの助けを借りずに、約1100psを発生し、メーカー公表の0-200km/h加速タイムは4.9秒だった。
ピアース・アロー・モデル66とピアレス・モデル60:13.5L
ピアース・アローとピアレスは、初期の米国自動車産業における偉大な「スリー・P」のうちの2社だ(いずれも社名が「P」ではじまる)。3社目のパッカードは、V12エンジンを搭載した最初の自動車メーカーとなったが、残る2社は異なる方向へと進んだ。
第一次世界大戦前に登場したピアース・アロー・モデル66(写真)とピアレス・モデル60は、わずか6気筒の13.5Lエンジンを搭載しており、低回転域でのトルクが非常に強かったため、ほぼどこへでもトップギアで走行することができた。量産車にこれより大きなエンジンが搭載された例は他にない。
キャデラック・シックスティーン:13.6L
キャデラックが排気量においてピアース・アローやピアレスに追いつくまでには90年を要したが、それでもこのタイプのクルマは1台しか製作されなかった。シックスティーンはコンセプトカーであり、GM LSをベースにしたV16エンジンの排気量は13.6Lだった。
最高出力は1000psを超えるとされたが、その性能を期待した顧客は失望することになるだろう。シックスティーンはあくまでコンセプトカーであり、(現時点では)量産モデルの開発には至っていない。
スカニア730 S:16.4L
大型トラック用エンジンの性能向上により、平均排気量はわずかに縮小傾向にあるものの、依然として巨大なエンジンが存在する。スカニアの730 S V8(最近までS 730として知られていた)は16.4Lで、最高出力はその名が示す通り730psだ。
スカニアはまた、やや小型の16.3L V8も生産しており、520psから650psの3種類の出力バリエーションが用意されている。
ゴッドファーザー:16.5L
標準仕様であっても、シボレーのビッグブロックV8は決して小型ではなく、当初の排気量は5.7Lだった。しかし、そこからさらに大幅な進化を遂げており、これをベースにしたソニー・レオナルド氏の『ゴッドファーザー』エンジンは特に印象的だ。
IHRAプロストックやNHRAトップスポーツマンなどのドラッグレース向けに設計されたゴッドファーザーは、1005立方インチ(16.5L)の排気量を誇る。自然吸気で、ダイナモ測定では2100psを超える出力が確認されている。
クリスティ:19.9L
ジョン・ウォルター・クリスティ氏(1865-1944)は、他者よりも早く前輪駆動に着目し、1907年のフランス・グランプリのために製作したマシンでこの駆動方式を採用した。さらに、トルクステアなどまったく気にしていないかのように、クリスティ氏は巨大な4気筒エンジンも搭載した。
排気量19.9Lというこのエンジンは、グランプリで使用された史上最大のパワーユニットであり、今後もほぼ間違いなくその記録は破られないだろう。残念ながら、フランス・グランプリではわずか4周でリタイアし、クリスティ氏は達成感もほとんど得られないままディエップからニュージャージーへと帰路についた。伝えられるところによると、帰国後の出迎えはかなり冷ややかなものだったという。
(翻訳者注:この記事は「後編」へ続きます。)
写真ライセンス:https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.en
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