■すごいセダンが目白押し! 往年の高性能セダンを振り返る
現在、国内の自動車市場では、セダンの人気が下火の状態が続いており、ラインナップも徐々に減っている状況です。
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しかし、ほんの20年くらい前にはセダン市場は比較的活気があり、国内外のメーカーから高性能でスタイリッシュなモデルが続々と登場しました。
そこで、記憶に残る往年のハイパワーセダンを、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「アリスト」
1991年にデビューしたトヨタ「アリスト」は、巨匠ジウジアーロが主宰するイタルデザインの手によるスタイリッシュな外観と、後に「スープラ」にも搭載されたハイパワーな3リッター直列6気筒ツインターボエンジンによって、バブル期の国内市場で人気となります。
そして、1997年に2代目が登場。外観のデザインは初代を踏襲したイメージですが、より洗練され、スポーティかつ高級感のあるスタイルに変化。
ボディは全長4805mm×全幅1800mm×全高1435mmの堂々としたサイズですが、全長は初代よりも60mmダウンサイジングされています。
エンジンは先代を踏襲した名機「2JZ-G型」を搭載し、 280馬力を誇る3リッター直列6気筒ツインターボエンジンと、自然吸気エンジンをラインナップ。先代のV型8気筒エンジンは廃止となりました。
スポーティな外観に合わせるように内装も変わり、センターにスピードメーターを配置した3眼メーターを採用。
4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションと、ハイパワーなエンジンの組み合わせは、まさに「4ドアスープラ」の異名にふさわしい走りを実現していました。
2005年に3代目がデビューしましたが、このモデルからレクサス「GS」とブランドと車名が変わりました。なお、GSは2020年4月に国内販売を終了しています。
●メルセデス・ベンツ「C63 AMG」
1985年に日本で発売されたメルセデス・ベンツ「190E」は、当時、同社でもっともコンパクトなモデルで、日本の5ナンバー枠に収まるサイズながらメルセデス・ベンツのセダンの流儀に則って開発されていたことで、大ヒットしました。
この190Eシリーズの後継車が、現在も販売されている「Cクラス」です。
初代Cクラスは1993年に発売され、ボディサイズは190Eよりも大きくなりましたが、十分にコンパクトで、日本でも人気となり、高性能なAMGモデルも登場しました。
その後も、エントリーグレードからAMGモデルまでのバリエーション豊かなラインナップは代を重ねても続き、2007年に発売された3代目では、シリーズ最強の「C63 AMG」が加わります。
C63 AMGはセダンだけでなく、ステーションワゴンとクーペも設定され、搭載されたエンジンは6.2リッターV型8気筒自然吸気で、EクラスやSLクラスにも採用されています。最高出力は457馬力を発揮し、スタビリティコントロール無しでは危険なほどのパワー特性と称されたほどです。
なお、現行モデルの5代目Cクラスでは、メルセデス-AMG「C63 S」が最高峰のグレードとして位置し、エンジンは4リッターV型8気筒ターボにダウンサイジングされていますが、最高出力は510馬力を誇ります。
●日産「シーマ」
日産はアッパーミドルクラスセダン「セドリック」「グロリア」の更なる上級モデルとして、初代「セドリック シーマ」と「グロリア シーマ」(以下、シーマ)を1988年に発売しました。
トップグレードには255馬力を発揮する3リッターV型6気筒ターボエンジンを搭載し、リアを沈めながらの豪快な発進加速と、スタイリッシュなデザインによって、大ヒットしました。
その後、シーマは代を重ねるとシックな外観になりましたが、2001年に登場した4代目では、初代とはイメージが異なりますが再びアグレッシブなデザインを採用。
ボディサイズは全長4995mm×全幅1845mm×全高1490mmと、国産車のなかではかなりの大柄ですが、トップグレードには280馬力を発揮する4.5リッターV型8気筒自然吸気エンジンを搭載することで、なめらかかつ力強い走りを実現しました。
また、4代目シーマの特徴として、6つのレンズを配置した「マルチプロジェクターキセノンヘッドランプ」が挙げられ、個性的なフロントフェイスを演出。このヘッドランプを流用した旧車のカスタマイズが話題となりました。
現行モデルのシーマは2012年に発売された5代目で、全車ハイブリッドとなり、パワフルなパワーユニットですが、だいぶマイルドな出力特性です。
■惜しまれつつ姿を消した大排気量NAのコンパクトセダンとは!?
●レクサス「IS F」
2005年から日本でも展開されたトヨタの高級車ブランド「レクサス」のラインナップで、当初エントリーモデルだったのが4ドアセダンの「IS」です。
初代は国内の「アルテッツァ」と同一車でしたが、2代目からはレクサス専用車として開発されました。日本での正式な販売は、この2代目からです。
そして2007年に、ISをベースとして、エンジンからシャシまで手が入れられた高性能モデルである「IS F」が登場。
搭載されたエンジンは5リッターV型8気筒自然吸気で、フラッグシップの「LS600h」用をベースに専用チューニングを施したことで最高出力423馬力を発揮。
トランスミッションは「LS460」用の8速ATをベースに、1速以外のギアをほぼ全域でロックアップすることで、DCTにせまるダイレクト感と変速速度を実現しながらも、スムーズな発進を実現したことで、高く評価されました。
外装もワイドフェンダーとし、巨大なエンジンを収めるためにボンネットが専用となり、フロントフェイスもIS F独自のデザインとなっています。
2013年に現行モデルの3代目が登場しましたが、IS Fのような過激なモデルはラインナップされていません。
なお、IS Fはサーキット走行も視野に入れて開発されており、このコンセプトは現在の「Fシリーズ」にも受け継がれています。
●ホンダ「レジェンド」
レクサスと同様にホンダが北米で展開している「アキュラ」のフラッグシップとして開発されたのが、1985年に登場したホンダ初代「レジェンド」です。
初代レジェンドは高級車でありながら、ホンダらしさあふれるスポーティなモデルで、国内外で人気となりました。
そして、2004年に発売された4代目では、国内の280馬力自主規制値を初めて超える最高出力300馬力を発揮する、新開発の3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載。
パワフルなエンジンが話題となりましたが、それ以上に絶賛されたのが世界初となる4WDシステム「SH-AWD(スーパーハンドリングAWD)」です。
SH-AWDは、カーブの内側と外側それぞれのタイヤの駆動力だけでなく、前後の駆動力を最適に制御し、タイヤのグリップ力を最大限に保つことで、カーブのターンインから脱出までをスムーズかつスピーディにおこなうというものです。
約1.8トンの重量だった4代目レジェンドながら、このSH-AWDによってシャープなハンドリングを実現し、スポーツカーとも対等に渡り合える旋回性能と評されました。
2008年のマイナーチェンジではフロントフェイスに大きく手が加えられ、押し出し感とスポーティさを両立。名実ともにスポーツ・ラグジュアリーサルーンとなりました。
なお、SH-AWDはさらに進化し、現行モデルのレジェンドや「NSX」も採用しています。
※ ※ ※
今回、IS Fを取り上げていますが、GSにも高性能な大排気量自然吸気エンジンを搭載した「GS F」がありました。
しかし、前述のとおり、GSの国内販売終了によって、ラインナップから消えています。
高級車でもダウンサイジングターボエンジンやハイブリッドが主流になっている状況を考えると、今後、IS FやGS Fのようなモデルは、出てこないでしょう。
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