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F1分析|フェラーリ復活の兆し? 今季デグラデーションに苦しんできた跳ね馬が、まさかの1ストップで走破

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F1分析|フェラーリ復活の兆し? 今季デグラデーションに苦しんできた跳ね馬が、まさかの1ストップで走破

 F1カナダGPで最大の驚きだったのは、フェラーリ勢のレースペースの良さだったのではないだろうか。

 今シーズンのフェラーリは、開幕から予選では速さを見せるものの、決勝ではレースペースに苦しみ、ポジションを落としてフィニッシュ……そんなレースが多かった。

【動画】ハイライト|2023年F1第9戦カナダGP決勝

 その原因はタイヤのデグラデーションにあった。デグラデーションとはつまり性能劣化。フェラーリのマシンは他のマシンと比べるとタイヤに厳しい傾向があり、走れば走るほどズルズルと後退していってしまったのだ。

 しかし今回のカナダGPでは、その傾向が全く異なっていた。それは、下のグラフを見ても一目瞭然である(フェラーリ2台は赤線)。

 カナダGPでフェラーリは、シャルル・ルクレールがQ2敗退、カルロス・サインツJr.がグリッド降格ペナルティを受けたため、2台揃って追い上げるレースを強いられることになった。前方には遅いマシンが何台かいたため、レース序盤のペースは上位とは大きく差をつけられている。

 しかし、セーフティカー(SC)が出動した後のペースは、レッドブルやアストンマーチン、メルセデスと遜色ないものだった。しかも驚くべきは、上位勢も含め多くのマシンがSC中にピットインして新しいタイヤに変えた中、フェラーリ勢はタイヤを換えずにステイアウトしたにも関わらず、同じようなペースで走り続けたということだ。しかもデグラデーションの値も、上位3チームとは変わらない。

 ここでステイアウトしたことで前が開け、自分たちのペースで走ることができたという点も、フェラーリ勢としては重要だったはずだ。それにより、タイヤに必要以上のダメージを与えることなく、周回を重ねることができた。

 結局多くのマシンが2ストップでカナダGPを走り切る中、フェラーリは1ストップと力走を見せた。これまで、タイヤのデグラデーションに苦しんできたマシンとはまるで別物……といった感がある。

 ただ、また別の側面もあるかもしれない。それはフェラーリのマシンのタイヤへの攻撃性が高いため、『逆にタイヤをうまく使えたのではないか?』ということだ。

 今回のカナダGPでは、タイヤに熱を入れるのに苦労したチームも多くいた。気温が低く、しかもタイヤに負荷がかかる高速コーナーの存在しないジル・ビルヌーブ・サーキットは、フェラーリにうってつけ。逆に高速コーナーを得意とするレッドブルのようなマシンにとっては、厳しいコースなのだ。

 レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、次のように語っている。

「タイヤを作動領域にあまり入れることができなかったため、簡単な勝利ではなかった」

「金曜日に比べて、とても涼しかった。だから結構滑ってしまったんだ」

 これについては、フェラーリ側も当然把握している。サインツJr.は、次のように語る。

「デグラデーションが小さいサーキット、そして低速コーナーでは僕らが強いことは分かっている。今回の僕らは、本来のペースを少しだけ見せることができた」

「オーストリアやシルバーストンといった高速サーキットに戻った時、どうなるか見てみよう」

 今年も夏が来る。欧州でも気温が上がり、路面温度も上昇。となれば、タイヤへの厳しさも当然増していく。

 フェラーリのカナダGPでの好調ぶりは、スペインGPで投入されたアップデートのせいなのか、あるいは単にサーキットの特性が合っただけなのか……次戦オーストリアGPで明らかになるかもしれない。

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みんなのコメント

1件
  • 因みに ルクレールよりサインツの方がペースが良かったは 間違いだ、フェラーリはマクラーレンより速いが パッシングするにはマクラのデグを待つ必要があり、ルクレールはタイヤを温存しようとペースをコントロールしていたら ラッセルのでフェラーリのみ1スト作戦になり、更にペースコントロールをし続ける事になり そのタイヤに優しい走りも上手い前のルクレールを、サインツはつんつんしていただけw
    理解していない(ハエの様にウルサイ)サインツに「余計な事はするな、大人しくルクレールに着いて行け」(今回はスタート位置が悪過ぎた 敵はアストンとメルセデスではない)だった
    アップデートで良くなったのは確かだろうが、レッドブルのマックスだけが ここまで全てのコースに対してセットアップが決まり、勝っているのは異常
    昨年チャンピオンとバジェットオーバーでの空力開発時間制限がある様には見えない、寧ろ差が開いている チートか?w

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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