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トランプ戦闘機F-47の「コンペで敗けたメーカー」が余裕しゃくしゃくなワケ F-35で“まだまだいける!?”

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トランプ戦闘機F-47の「コンペで敗けたメーカー」が余裕しゃくしゃくなワケ F-35で“まだまだいける!?”

予想に反して行われなかった「異議申し立て」

 アメリカの大手防衛関連企業であるロッキード・マーチンのジェームズ・ティグレット最高経営責任者(CEO)は、2025年4月22日に開催された同社の決算説明会で、アメリカ政府が同空軍の次期戦闘機「F-47」の開発と製造の主契約社にボーイングを選んだことについて、異議を申し立てるつもりがないことを明らかにしました。

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 公平な競争を重んじるアメリカなどの国では、一般的に軍の主要装備品を複数のメーカーによる試作と試験を伴うコンペを経て採用します。景気に左右される民生品とは異なり、軍の装備品は比較的安定した需要が見込めますので、コンペに参加したメーカーとしては、是非とも採用を勝ち取りたいところです。

 しかしコンペを行えば勝者と敗者が生じます。敗者には敗者の言い分がありますので、アメリカでは政府の決定から2週間以内に、政府へ異議を申し立てることができます。

 F-47として開発が決まった、空軍のF-22A戦闘機を後継する新戦闘機「NGAD」のコンペでは、ボーイングとロッキード・マーチンが試作と試験を伴う段階まで駒を進めていました。F-47の主契約社がボーイングに決定して以降、ウォール街の金融機関などではロッキード・マーチンの将来性を懸念して、投資判断基準を一段引き下げています。

 ロッキード・マーチンは2015(平成27)年に、陸軍の汎用四輪駆動車のコンペで敗退した際、異議の申し立てを行うだけではなく、選定プロセスに問題があったとしてアメリカ国防総省に対する提訴まで行っています。こうした理由から、ロッキード・マーチンはF-47についても異議申し立てを行うのではないかと見られていました。

 にもかかわらず今回、ロッキード・マーチンが異議申し立てを行わない理由はどこにあるのでしょうか。一つの理由は、ロッキード・マーチンが純粋な戦闘機メーカーとは言えないところにあるのかもしれません。

そもそも戦闘機メーカーのイメージなし?

 ロッキード・マーチンは1990年代から21世紀にかけてF-22A戦闘機とF-35戦闘機の主契約社に選定されています。またジェネラル・ダイナミクスの買収によって同社の商品ラインナップに加わったF-16戦闘機は、1970年代に開発されたにもかかわらず、現在も最新仕様機であるF-16Vの製造が続いています。

 このため、1990年代から現在までの製造機数だけを見れば、ボーイングなどよりもよほど戦闘機メーカーらしいのですが、同社の前身であるロッキードが開発したジェット戦闘機でアメリカ空軍に採用されたのは、P-80「シューティングスター」(練習機型のT-33は航空自衛隊でも採用)と、F-104「スターファイター」の2機種のみでした。

 F-104は航空自衛隊や西ドイツ空軍などに採用され、2500機以上が生産されたヒット作となったものの、アメリカ空軍の採用は少数にとどまりました。このため、ロッキード・マーチンはF-22Aの主契約社に選定されるまで、戦闘機メーカーというイメージはそれほどありませんでした。

いや、あまり機数でないし…?

 F-47が何機製造されるのかは未知数ですが、アメリカ空軍を含む先進諸国の空軍が描く将来の航空戦のビジョンは、少数の有人戦闘機が、多数の「CCA」(Collaborative Combat Aircraft/協調戦闘機)と呼ばれるUAS(無人航空機システム)を統制するというもので、F-47もCCAの統制能力に重きが置かれています。

 F-22Aは187機しか製造されませんでした。将来における航空戦のビジョンや、“F-22Aの後継機”という位置づけを鑑みるに、F-47についても、生産機数がそれほど多くならない可能性もあります。

 ロッキード・マーチンにとっても、多数が製造されているF-35やF-16の後継機であれば、是が非でも受注したいところでしょうが、F-22Aの後継機ということであれば、それほど固執しなくても良いのかもしれません。

うちのF-35はまだイケる!

 ティグレットCEOは、もうひとつ、注目すべき発言を残しています。NGADへの入札のために研究開発した技術をF-35に適用して、F-35を「第5世代+」戦闘機にすることができる――というものです。ただ、具体的にどのような能力が追加できるのかは明らかにしていません。

 ロッキード・マーチンは2019(令和5)年6月に開催されたパリエアショーで、F-35の将来能力向上計画を発表しています。この計画にはCCAの統御能力や、SEAD(敵防空網制圧)能力の追加などが盛り込まれていました。筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は、この計画がそのまま実行されれば、F-35の能力は同じパリエアショーで発表された仏独西の第6世代戦闘機「FCAS/SCAF」と遜色のないレベルに達するのではないかと思いました。

 トランプ大統領は、アメリカ空軍仕様より性能を10%落としたF-47を輸出する考えも示していますが、その一方でティグレットCEOは、「能力向上によってF-47の80%の能力を得るF-35を、F-47の半分の価格で提供できる」と述べています。

 アメリカ政府のF-35の調達ぺ―スは減少傾向にあるものの、中東諸国などからの潜在的な需要は依然として高く、能力向上が向上するだけでなく価格も安くなるF-35であれば、世界のマーケットで“F-47と十分に対抗できる”――その自信がロッキード・マーチンを強気にしているのかもしれません。

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みんなのコメント

20件
  • kas
    >公平な競争を重んじるアメリカ

    😨
  • ino
    F-47でボーイングの選定は救済処置と思ってる。
    現在主力戦闘機のF-35とF-16はロッキード製、F-22はボーイングとロッキードの共同開発で生産終了済み、FA-18は今年で生産終了。
    唯一残っているボーイング製はF-15だけだけど、今はF-15EXを100機程度生産して終了予定。
    この100機の生産もボーイングの救済処置の理由があったりする。

    戦闘機の生産がなくなると部署やラインの維持が大変になり、生産をやめてしまう可能性が高い。
    ただでさえボーイングは旅客機で色々問題をかかえている。
    アメリカ政府としては、戦闘機の開発生産をロッキードだけになるのは避けたいはず。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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