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クルマはEVブーム真っ最中! なぜEVバイクは普及しない?

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クルマはEVブーム真っ最中! なぜEVバイクは普及しない?

■一般消費者に普及しつつあるEV

 ここ数年、環境問題や燃料の多様化が進み自動車業界では、『EV(エレクトリック ビークル)』という言葉をよく耳にするようになってきました。

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 このEVとは、『Electric Vehicle(エレクトリック ビークル)』の略で、充電式のバッテリーを搭載し、蓄電された電気でモーターを動かす乗り物を意味しています。

 EVは、今まで自動車や二輪車の一般的な原動力であったエンジン(内燃機関)を動力とせず、電動モーターで駆動する事が特徴です。そしてモーターは、駆動音が静かなだけではなく、走行中に二酸化炭素や有害なガスを排出しないため、EV車自体は地球環境に優しいという点でも注目を集めています。

 現在、販売されている多数のEV車は、蓄電した電気エネルギーを使用し走行するので、ガソリン車に比べて今はまだ航続距離がそんなに長くありません。

 また、サービスエリアやコインパーキングなど、EVを充電できるスポットが10年前に比べ約20倍に拡大はしてはいるものの、ガソリンスタンドにある給油ノズルの総数に比べれば設置数は少なく、フル充電を完了させるには、リチウム電池搭載のEVバイクで約3から8時間程要し、その航続距離は100kmにも満たないモデルがほとんどです。

■電動バイク(EV)は日常使用できるのか?

 前述の通り、環境に優しい動力である他にランニングコストも安く、走行音も静かなど、多くのメリットが挙げられるEVバイクですが、充電や航続距離の問題などにより、目的地が不確定なプライベートでの移動手段としての利用は、まだまだ難しいのが現実です。

 しかし、配達エリアが決まっているデリバリーサービスや、行き先が一定である通勤・通学など、決まった範囲内での利用であれば、そのメリットをフルに受けて活用する事ができるかもしれません。

 また、車体からバッテリーを簡単に脱着できるモデルも登場しており、予備バッテリーを購入すれば随時充電しておけるだけでなく、予備バッテリーだけ取り外し充電も可能なので、充電場所や時間の制約は大幅に減少します。

 その代表的なモデルは、台湾の二輪車メーカーKYMCO(キムコ)が台北で2018年6月12日に発表した『Ionex(アイオネックス)』で、車体に搭載されたコアバッテリーとは別に、メットインスペースなどに着脱式の予備バッテリーを積載できる事が特徴のEVスクーターです。この着脱式のバッテリーが、コアバッテリーを常にフル充電の状態に保つ仕組みとなっており、搭載された予備バッテリー全てを使用しての最長航続距離は約200kmに達します。

 キムコは、EVスクーターとしてのIonexだけではなく、街中での充電ステーションの拡充やバッテリーの交換ステーション、予備バッテリーのレンタルサービスなどの提供も発表しており、ユーザーがEVバイクを使用する際の充電切れへの不安を一気に解消する施策を本格的に進めています。

 バイクに搭載するバッテリーの仕様をオープンソース化する事で、他社とバッテリー規格を共有しEVバイクの充電システムの充実化を早急に推し進める提案も行っており、この構想が実現すれば好きなメーカーのEVバイクに、バッテリー切れを気にすることなく乗れる未来が実現する事になります。

 しかし、日本への『Ionex(アイオネックス)』導入予定をキムコジャパンに聞いてみたところ「現時点で国内販売の予定はございません」との回答があり、残念ながら、このEVバイク普及の為の構想は、台湾国内のみというのが現状です。

■ホンダ電動バイク『PCX ELECTRIC』は普及なるか

 同じく交換可能なバッテリーユニットを複数搭載できるモデルとして、ホンダが2018年秋ごろの発売を予定している『PCX ELECTRIC』は、125?クラスの大人気モデル『PCX』がベースで、ビジュアル的には人気が出る事が予想されています。

  搭載バッテリーは、ホンダがパナソニックと共同で独自に開発したHonda Mobile Power Pack(ホンダ モバイルパワーパック)。

 この新しいバッテリーユニットのメーカー間共有について、本田技研工業に聞いてみたところ「他社とのバッテリーユニットの共有については、現在のところお答えできる事はありませんが、インドネシアで着脱式可搬バッテリー(Honda Mobile Power Pack)と電動2輪車を用いたバッテリーシェアリングの実証研究を2018年12月に開始する予定です。

 本実証研究では、モバイルパワーパックを供給する充電ステーションを数十箇所設置し、複数個のモバイルパワーパックを同時に充電しておくことで、充電済みのものを随時提供。移動中にバッテリー残量が少なくなったユーザーは、最寄りの充電ステーションで充電済みのモバイルパワーパックに交換し、走行を続けることができるようになります」といいます。

 また、実証研究を実施する国をインドネシアに決定した理由については、「インドネシアの二輪市場は世界第3位の規模で、交通量の増加に伴う大気汚染の問題を抱えており、インドネシア政府はその解決に向けて、電動モビリティーを普及させる方針を打ち出しています。  電動モビリティーは環境に優しい反面、航続距離や充電時間の課題がありますが、モバイルパワーパックとそれを搭載するモビリティーは、この課題を解決し、電動モビリティーの普及を後押しできると確信しています」と述べています。

 どちらもまずは、日本国外でのテスト導入となりますが、各地に配置された充電ステーションで充電済みのバッテリーパックを入手できる時代が、もうそこまで来ているのかもしれません。

 現在発表されている各メーカーからのEVバイク実用に向けての提案は、メーカーごとの独自のプランで、EVが現在のガソリン車と同等の長距離移動に対する安心感を得るには、まだまだ高い障壁がありそうです。

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