ランボルギーニは脱炭素化を目指すロードマップ「Direzione Cor Tauri」を発表した。本誌では、前回に続きヴィンケルマンCEOにインタビューし、電動化に向けた具体的戦略を聞くことができた。(Motor Magazine2021年7月号より)
2020年台後半にウルス、アヴェンタドール、ウラカンに続く第4のモデルが登場
ステファン・ヴィンケルマンCEOは約束を守った。前回のインタビューで語ったとおり、電動化モデル導入の具体的な計画とその意義について説明する機会を、改めて設けてくれたのだ。
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サンタガータ・ボロネーゼと日本を繋いだリモート取材の席で、ヴィンケルマンCEOは私に向けてこう語りかけた。
「2023年から2024年にかけてウルス、アヴェンタドール、ウラカンの3モデルをすべてPHEVとします。これによりランボルギーニ車のCO2排出量は50%削減されます」
ヴィンケルマンCEOはこれだけに留まらず、搭載されるエンジンについても言及した。
「ウルスはV8、アヴェンタドールはV12です。ただし、ウラカンに搭載するエンジンについては、改めて発表させてください」
これは重大なメッセージだ。なぜなら、PHEV化されたウラカンがV10エンジンでなくなることを示唆しているからだ。それがV8なのかV6なのかは不明だが、現在の超高回転型V10が今後3年以内に姿を消すのは確実だろう。
ところでヴィンケルマンCEOが「ウルス」「アヴェンタドール」「ウラカン」と呼んでいるのはあくまでも便宜的にであって、このうちの少なくとも1台はPHEV化に伴ってフルモデルチェンジされる見とおし。そのことは次のようなやりとりからも理解できる。
筆者「あなたがいま語っているのは現行世代の話ですか、それとも次世代のモデルですか?」
ヴィンケルマンCEO「私たちはたくさんのサプライズを用意しています。2022年までに登場するモデルは、市場でとても歓迎されるでしょう。このモデルは内燃機関をベースにしています」
筆者「つまり(デビューして間もないウルスではなく)ウラカンかアヴェンタドールが新型に生まれ変わる可能性があるのですね?」
ヴィンケルマンCEO「イエス」
さらにヴィンケルマンCEOは3モデルに搭載されるPHEVシステムはそれぞれ専用のもので、シアンで提案されたスーパーキャパシターは、もはや使われないとも言明した。
「スーパーキャパシターはあくまでも橋渡し的な役割のテクノロジーでした。今後、登場するPHEVはバッテリーを搭載します」これに続けて彼が語った言葉は驚きに満ちたものだった。
「私たちにはウルス、アヴェンタドール、ウラカンに続く4番目のモデルが必要です。これはフルEVで、少なくとも2+2のシートレイアウトを採用し、日常的な使い方に適したモデルとなります。したがってボディシェイプはアヴェンタドールやウラカンのようなスーパースポーツカーとは異なったモデルになるでしょう。そのデビューは2020年代の後半を予定しています」
ランボルギーニの価値を何も変えないためにすべてを変える
突如としてその存在が明らかになった「4番目のモデル」は、ランボルギーニの未来を強固なものにするには必要不可欠だったとヴィンケルマンCEOは説明する。
「2005年に私が初めてランボルギーニのCEOになったとき、私たちは2モデルを年間1600台ほど生産する小さな企業でした。それが2018年に3番目のモデルであるウルスを投入し、年間生産台数は当時の6倍近くとなりました。この成長を永続的なものにするには、4番目のモデルがぜひとも必要なのです」
ただし、電動化されてもランボルギーニの魅力は失われないどころか、むしろ強化されるとヴィンケルマンCEOは考えている。
「私たちは、ランボルギーニの価値を何も変えないために、ランボルギーニのすべてを変えます」
ちなみに電動化などで必要となる投資は今後3年間で総額億ユーロ(約2000億円)に上る。「これだけの投資を行えるのも、私たちの経営状況が健全な証拠です」と語りヴィンケルマンCEOは自信に満ちた笑顔を浮かべた。(文:大谷達也/写真:アウトモビリ ランボルギーニ)
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