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角田、旧型車テストは雨とトラブルで不完全燃焼も「マシンの理解は自然と進んでいる」自身の進歩にも満足/F1第6戦木曜会見

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角田、旧型車テストは雨とトラブルで不完全燃焼も「マシンの理解は自然と進んでいる」自身の進歩にも満足/F1第6戦木曜会見

 2025年F1第6戦マイアミGPのドライバー会見では、タイトルを争うランド・ノリス(マクラーレン)と同じか、あるいはそれ以上に角田裕毅(レッドブル)に質問が集中した。マックス・フェルスタッペンのチームメイトに急きょ抜擢された角田の動向には、海外メディアも多大な関心を持っているようだった。

 まずはマイアミGPの前週に行われた、シルバーストンでのテストについて質問が飛んだ。2023年のチャンピオンマシン『RB19』を走らせたが、具体的な内容はここまで明らかになっていなかった。

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Q:ユウキ、2年前のマシンで1日走行しましたが、どうでしたか?

角田:「典型的なブリティッシュウェザーに遭いました。路面はあちこち水溜りができていて、でも貴重なTPCテスト(編注:Testing of Previous Cars/旧型車を使うテスト)で走行距離を無駄にしたくなかったので、ウエットタイヤは用意してなかったんです。なので路面が乾くまで、かなり長い時間待ちました。でもようやく乾いたと思ったら、1日の終わりにも少しトラブルが発生したりもして。それで結局、あまり走行できなかったですね。でも素晴らしい経験になりました。ただ正直なところ、違いを感じるのは難しい感じです。これまでレッドブルマシンで走ってきたレースとはまったく違うコンディションだったし、コーナーの特性も全然違いましたから。何より(チームに)混乱を招くような愚かなフィードバックをしたくなかったので、自分の感覚だけをはっきり伝えました。全般的には、走行距離を稼ぐいいテストになりました」

Q:最高のテストとはいえなかったようですが、レッドブルマシンのコンセプトや特性を理解するのに少しでも役立ちましたか? 前戦サウジアラビアGPでは、まだ半分も理解できていないと言っていましたが。

角田:「自然に理解は進んでいる感じです。特にマシンの限界に関しては。そういうことは、自然に脳と筋肉の記憶に刻み込まれていくものですから。なので明日からマイアミのサーキットを走ったら、きっと感覚が変わると思います。ただセットアップの理解という点では、本当に時間が限られていたので、セットアップ変更などはほとんどできなかったですね。どちらかというとエンジニアリング面、エンジニアたちが試したいことに絞って(セットアップを)仕上げていった感じでした。その意味ではマシンセットアップは、うまくいかなかったというのが正直なところです。とはいえ今週末に向けて、少しでも自信につながるといいなと思っています」

 ちょい濡れ路面とマシントラブルに阻まれて、マシンセットアップのプログラムは完了できなかったと語る角田。とはいえRB19を実際にドライブしたことで、レッドブルマシンの特徴への理解は、ある程度進んだのではないだろうか。

Q:今季のマシン『RB21』で3レースを走ったわけですが、現時点でどれくらい自信がついていますか?

角田:「完全に慣れるには、もう少し時間が必要です。でも自分自身の進歩には満足しています。自信もかなりありますよ。ただ予選で100%プッシュした時に、初めて限界と向き合うんですよね。それまでは100%プッシュしていないですから。スタート地点はいつも、自分が目指すところ、あるいはFP1で以前スタートした地点よりも少し下なので、新しいコースでは慣れるのに少し時間がかかります。それが予選になるとほとんどの場合、これまで経験したことのない新しい挙動に遭遇し、それにうまく対応できない感じです。運転自体は超難しいわけではないのですが、限界がどこなのかを明確にするにはもう少し時間が必要です」

Q:レーシングブルズのマシンと比べて、より快適に運転するためには、どのような点を改善すべきでしょう?

角田:「運転自体は複雑ではないのですが、それでも簡単ではないのは確かです。レーシングブルズでは、こちらの入力に対して、マシンはより寛容で許容範囲が広かった。それがレッドブルは、パフォーマンスを発揮できる範囲が、よりシャープで狭いんです。F1デビュー以来、(違うマシンに乗るのは)今回が初めてです。4年間同じチームのマシンを運転し、セッティングや限界は分かっていました。なのでセットアップについて、あえて考える必要がなかったんです。そこが今は……、鈴鹿ではいくつか違うセットアップを試していい感じだったのに、結果的にうまくいかなかった。バランスはいいのに、ラップタイムに反映されなかったんです。そこは経験から学ぶ必要があり、時にはクルマの難しさを受け入れるしかないんでしょうね。たとえばアンダーステア​やオーバーステアをかなり強く感じても、ラップタイムがそれでよければ、その方向性でいくしかない。アプローチの仕方が違うということです。そこは今、できる限り学んでいるところです。チームもその方向性で、多くのサポートをしてくれています。ただマシンの限界は、まだ正確にはわかりません。たとえばサウジアラビアGPの予選Q3では少しプッシュしすぎて、大きなスナップが発生しました。これは完全に想定外でした。とにかく集中して、ゆっくりと徐々にレベルアップしていくつもりです」

 一筋縄ではいかないマシンであることが、角田の返答からも十分に伝わってくる。とはいえそんな状況も、角田自身は楽しんでいるようだ。

角田:「チーム内の環境全般も、馴染むにはもう少し時間が必要ですね。僕と担当エンジニア(リチャード・ウッド)の関係も同様で、スコットランド人なのでスコットランド英語の訛りがすごい。それと僕の日本語英語が混ざる会話で、でもそれも面白いですよ」

Q:ヘルムート・マルコ博士は、「ユウキがチームに馴染んでいることに満足している。今後、(コンスタントに)予選Q3に進めばさらにステップアップできる可能性もある」と言っていました。これはあなた自身も同意して取り組んでいることでしょうか。

角田:「ええ、もちろんです。今のところ、Q3ですべてをまとめることができていないですからね。ほんの2%でも今まで以上にプッシュすると、マシンの許容範囲を超えて、まったく違う反応が出てくる。今はまだ予測不能ですが、経験を積めば身につくはずです。予選で上位に進めばポイント獲得のチャンスも高まるし、戦略面でもより柔軟に対応できる。なので間違いなく、優先的に取り組むべき分野です」

 乗り越えるべき壁はなかなか高そうだが、角田の自信は揺るぎないように見える。今週末のマイアミで、レッドブルドライバーとしての新たなフェーズに進むことができるだろうか。

[オートスポーツweb 2025年05月02日]

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