ホンダとBMWが上位を占めたスーパーストックTT
休息日をはさんだ6月5日、マン島TTはスーパーストックTT・レース2、サイドカーTT・レース2、スーパーツインTT・レース2の3レースが行われた。前夜の雨の影響で路面が乾かず、予定より4時間遅れたものの、すべてのレースはフルラップでスタートした。
【画像5点】マン島TT、スーパーストック優勝のCBR1000RR-Rと、日本人ライダー・山中選手の走りを見る
スーパーストックTT(1000cc4気筒、市販車ベース)のレース2では、レース1で優勝したディーン・ハリソン選手(ホンダ CBR1000RR-Rファイアブレード)が見事にこのクラスを制覇する快挙を見せ、TT通算5勝目を挙げた。
ハリソン選手は1周目から大きくリードを広げ、レースを優位に展開。1周を終えた後のピットインでデイビー・トッド選手(BMW M1000RR)はエンジン始動に時間がかかり、およそ10秒の手痛いロスを喫した。ハリソン選手は独走体制に入り、2位とのタイムを13.3秒に広げる。3位のマイケル・ダンロップ選手(BMW S1000RR)、ジェイムズ・ヒリアー選手(ホンダ CBR1000RR-Rファイアブレード)、コナー・カミンズ選手(BMW M1000RR)がポディウムを狙って激しい走りで迫っている。
最終ラップ(3周目)に入ると、ハリソン選手のアドバンテージは20秒まで大きくなり、余程のことがない限り勝利は確定。2位のトッド選手も3位のダンロップ選手との差を25.2秒としてレースを盤石にした。カミンズ選手、ヒリアー選手、そしてジョシュ・ブルックス選手(CBR1000RR SP)の3選手が4~6位を争い、猛烈に走り続けた。
ハリソン選手はサインボードを確認してペースをコントロールしつつ、そのままフィニッシュ。最終的に16.03秒差をつけて、スーパースポーツTT・レース2を勝利した。2位のトッド選手はピットインでのタイムロス、3位のダンロップ選手はタイムロスにつながったミスの反省を語りつつ、表彰台に上がった。
マン島TTの1000cc4気筒クラス(スーパーバイクTT、スーパーストックTT)では、ホンダとBMWが多勢を占めている。これは主にマシンの設計年度の新しさに起因していると思われる。多様性という面を考えれば、スーパーバイク世界選手権で活躍しているドゥカティ パニガーレV4Rやヤマハ YZF-R1、ビモータ KB998リミニの参戦にも期待したいところだ。
続いて行われたサイドカーTT・レース2は、本来3周のレースを2周に減らしての開催となった。レースを制したのは、レース1に続いてライアン選手とカラム選手のクロウ兄弟で、彼らはこの勝利によってTTで4連勝。2位はベン・バーチャル選手/パトリック・ロズニー選手、3位はリー・クロフォード選手/スコット・ハーディー選手と、彼らもレース1と同じ順位に入賞し、速さを見せつけた。
山中正之選手はスーパーツインTTのレース2も完走!
この日の最終レースはスーパーツインTT(650~700cc2気筒の市販車ベース)のレース2で、マイケル・ダンロップ選手(パトン S1-R)がレース1に続いて連覇を果たし、TT通算33勝目を挙げた。2位はデイビー・トッド選手(パトン S1-R)、3位にドミニク・ハーバートソン選手(パトン S1-R)が入り、S1-Rが表彰台を占めた。
このレースに参戦したツインTT出場の日本人ライダー・山中正之選手(カワサキ ニンジャ650)は、レース1に続いて見事に完走。ブロンズレプリカ(トップタイムの110%以内)には惜しくも届かなかったが、40台が出走するも完走は27台と厳しいレースとなった中、きっちりとマシンをフィニッシュラインまで走らせた。
「レース前はいつも緊張するのですが、程よく色々なことを考えられる余裕もあって、いい意味での緊張感でした。レース中はシフトチェンジのタイミングやギヤの選択を考えながら走っていましたが、事前に考えていたことはうまくできたと思います」
3周目となる最終ラップでは、自己ベストとなる20分30秒580、110.377mph(177.635km/h)のラップタイムと平均速度を叩き出した。しかも、マイケル・ラッター選手(ヤマハ YZF-R7)が3周目に転倒してイエローフラッグが出ていたうえに、コース中盤と終盤の路面がウェットと、コース状況が悪いなかでの自己ベスト更新だ。
「3周目はうまく走れている感触がなんとなくありました。マシンも僕の状態もよかったですし、一番いい走りができたと思います。レース1のときもそうでしたが、ウェイン・ブルジェ選手に抜かれて、その後ずっと彼の後ろについて走ってました」
予選中に交換したトランスミッションによってギヤ比が変わったことも理由のひとつだが、7回目のマン島TTとなった山中選手のこれまでの経験と知識、そして2025年の参戦にあたっての作戦が功を奏した結果といえるだろう。
「今年は4月に一度マン島へ入ってコースを下見して、TTの予選がはじまる3日前にマン島入りしました。このほかに、自分の車載カメラを使って自分の走行動画を録画して、それを見直しながら改善点を探せたこと、チームメカニックのポールさんや監督のイアンさん(ふたりとも元TTライダー)が的確なアドバイスをくれたことも、いい結果を出せた理由だと思います」
これらは山中選手にとって今年初めて実践したことだ。こうした新たな試みが好結果を生み出した。
「1年に1回しかないマン島TTを無駄にしないよう、新しいチャレンジや取り組みはこれからもやっていきます」
自己ベストを更新しての2レース完走という結果は、山中選手が所属する『チームI.L.R.』にとっても朗報で、3周を終えた山中選手をチームクルー全員が両手を広げて迎え、ひとりずつハグをした。
「ゴールした直後は抜けなかったライダー(ブルジェ選手)のことが気になってたんですけど、レースの走行動画を見ているうちに、同じくらいのレベルのライダーと走れたこともタイムアップにつながったんだと思えるようになりましたし、彼と走れてよかったと思えました。でもこういうふうに考えれられるようになったのはここ3年くらいで、それまでは誰かに抜かれても、ついていこうとはしなかったし、抜かれたことが悔しかったんです。抜かれたライダーについていけるようになれたのは、TTのコースをきっちりと覚えられたからです」
『チームI.L.R.』のライダーたちが負傷などで戦線離脱するなか、山中選手は最後までレースを走りきって自己ベスト更新を含む好結果を出した。これは来年のマン島TTに招待されるかどうかの大きな足がかりになるはずだ。
山中選手の2025年のTTは終わったが、すでに来年のTTに向けたスタートがきられた。今年の好結果を大きな一歩として、これからも来年の準備に励むことだろう。
レポート&写真●山下 剛
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みんなのコメント
よくアクセル開けられるよな