英伊のお国柄を象徴するブランドコラボ2台
多くの販売台数を見込めるポップ領域、つまりスモールカーにダブルネームコラボが降りてきたのは1980年代、プジョー205×ラコステあたりから。スポーツシックに付加価値化という、”ちょっとお洒落仕立て”のレシピは2000年代まで盛んだった。いまやコラボの原理はふたつ。「小さな高級車」で、原産地のファッション&ライフスタイルを再確認させること。
クルマはコラボの宝庫! グッチにヴェルサーチにビームスまで「ファッションブランド×自動車メーカー」で誕生したモデル4台
だからスモールEVを魅力的な存在にすべく、「ミニ・クーパーSE ポールスミスエディション」と「フィアット500eジョルジオ・アルマーニコレクターズエディション」が、奇しくも同時期に日本上陸した。英伊を代表するファッションデザイナーの競演と相なったのだ。
意外にもポール・スミスとミニの市販コラボは、ローバー時代の旧ミニ以来のご無沙汰。取材車は初代Mk-1的なオールドイングリッシュホワイト風のルーフに、ミラーキャップはノッティンガム・グリーンというカラーリング。で、この2トーンだけだと古色蒼然となるはずだが、下まわりにマット紺の差し色が、ポール・スミスならではの冴えたツイストだ。
一方の500eは昨年鬼籍に入ったジョルジオ御大の遺作ともいえる。外装色はダークグリーンもあるが、アルマーニのシグネイチャーカラーであるグレージュが控えめのゴールドにも見え、華がある。「GA」文字をかたどりながら、そうとは見えづらい17インチ専用アルミホイールもシブい。
乗り手のセンスを選ぶ2台
ミニ・クーパーSEの内装は、ブルーストライプのハーフレザーシートに、同じくストライプのニット生地ダッシュボードが際立つ。後席に乗り込むための肩口ストラップもレザー風だ。ただドアパネルの生地は非ストライプで、可倒式リヤシートのストラップが前席と揃わず、ナイロンなのがもったいない。さらにはセンターコンソール蓋のストラップもレザー風かマルチストライプなら、よりコーディネート感が出せたはずだ。
その点、500eはシートに加えてドアパネル上のエルボーレストまでグレージュのエコレザー、プリント木目のダッシュボードも適度にクラシックで、内装の統一感に破綻はない。でもベースがAセグゆえ、シートを倒すレバーや小物入れの蓋などはノーマル同様の樹脂ですんだというアドバンテージもある。シェード付きガラスルーフもクルマのキャラに合うが、車格に対して670万円という価格設定は強烈だ。
乗り心地は、クーパーSEはゴーカートフィールを究め、ラバーコーン並みに先祖返りし、突き上げがキツい。500eのほうが概してライド感は穏やかだが、ショートホイールベース由来の前後揺すられ感は時折、顔を出す。
いずれも一長一短あるが、N-BOXジョイのリヤシート&荷室のチェック柄のズレが許せない人には、価格帯はともかく目に止まる選択肢になるはず。
「そんな些細な!? 」という声もあろうが、その違いを気にしない感性では乗りこなせない2台。弁証法的だが、お洒落ってそういうことなのだ。
古今東西アパレル系タイアップモデル
先に紹介した2台以外にも、これまでに多くのクルマがファッションブランドと共作したモデルを発売してきた。そこでここでは、そんなアパレル系コラボモデルを振り返る。
ローバー・ミニ ポールスミス
1998年発売。青、黒、白の3色展開で、トランクなどの内部のみグリーンになっていた。ちなみに、有名な全面ストライプ柄の個体はワンオフのコンセプトモデルだ。
DS・DS3ジバンシィ ル メイクアップ
2016年発売。アパレルや化粧品を手がけるフランスのジバンシィとDSのコラボモデル。フェイスパウダーを意識したボディカラーとなっているほか、肌を健やかに見せる内装色などを装備。
ランボルギーニ・ムルシエラゴLP640-4 ヴェルサーチ
2006年と2008年に販売。カラーはブラック、ホワイトのみで、ドアやシートステッチ、コンソールなどにヴェルサーチのアイコン「グレカ柄」があしらわれているのが特徴だ。
マセラティ・グランカブリオ フェンディ
2012年発売。特別色のグレーにフェンディロゴのシートステッチとホイールセンターキャップを装着。各部にはフェンディ伝統のイエローで差し 色が施され、日本では2台だけが販売された。
フィアット500 by グッチ
2011年発売。500と500C両方に用意され、ブラック/ホワイトの2色を展開。グリーン・レッド・グリーンのストライプが各所にあしらわれ、シートもツートンとなっていた。
スバル・インプレッサ ビームスエディション
大手セレクトショップ、ビームスとのコラボで2007年に生まれた1台。オレンジ、ブラウンの外装にオリジナルの本革シートを組み合わせ、計4パターンのコーディネートで販売した。
日産 ビームスエディション
2024年には日産がビームスエディションを発売。サクラ、デイス、ルークス、ノート、セレナ、エクストレイルに設定され、デニム風シートカバ ーやネイビーとオレンジの差し色を特徴とした。
スズキ・ジムニーKANSAI/Kei up to you KANSAI/グランドエクードKANSAI
ファッションデザイナーの山本寛斎とスズキのコラボモデル。同氏デザインの特別な内外装をまとっていた。ジムニーが1999年、Keiが2001年、エスクードが2002年の発売。
日産ラングレー レノマ
フランスのファッションブランド、レノマとのコラボで登場。サイドストライプや専用ホイールキャップ、レノマのネーミングがあしらわれたシ ートカバーなどを装備。
トヨタ・アバロン コーチエディション
1995年発売。アバロンの後期に設定されたコーチエディションは、コーチ製レザーをシートに使用。1997年末までの成約者にはバッグとキーホルダーもプレゼントされたという。
日産ローレル ジバンシィバージョン
1980年と、DSより大幅に早くジバンシィとコラボレーション。特製シート/ドアトリム生地がおごられるほか、各所にジバンシィエンブレムとサインがあしらわれていた。
※本記事は雑誌「CARトップ2026年8月号」の記事を再構成して掲載しています
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