F1での5年目に突入した角田裕毅は、第3戦からレッドブル・レーシングのドライバーとして新たな挑戦に踏み出す。昨年まで彼の戦いを見守ってきたF1ライター、エディ・エディントン氏に代わり、今年は、元ドライバーでその後、解説者としても活躍するハービー・ジョンストン氏が本コラムを担当する。今回は、レッドブルドライバーとしてこれから角田がすべきことについて記した。
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シーズン中のドライバー交代を繰り返してきたレッドブル。若手育成が機能せず、将来のラインアップに懸念
親友エディ・エディントンから、角田裕毅の戦いについて見解を述べる仕事を引き継がないかという話をもらった私は、中国GPの録画を見終わった後(時差がきつく、リアルタイムで見るのは無理だった)、孫娘を膝に乗せ、庭で遊ぶ犬たちを眺めながら、エディの申し出を受け入れようかどうしようかと考えていた。
その時、突然電話が鳴って、ミルトン・キーンズ界隈で働く友人からメッセージが届いた。そのメッセージは「いよいよだ」の一言。だがそれで私は決心した。
私にとって、このコラムを始めるのにこれ以上のタイミングはなかった。この青年がどのようにしてチャンスをつかんだのか、そして、悪魔のように扱いづらいRB21を操るマックス・フェルスタッペンという強大な存在に対して、彼がどのように戦っていくのかを、皆さんにお伝えできる絶好のチャンスだと思ったのだ。
皆さんは私のことをご存じないと思うので、最初にお伝えしておくが、私は古き良きエディほど独断的でない。情報の豊富さにおいては彼に引けを取らないつもりだが、彼ほど押しが強くもないし、率直すぎることもない。しかし、必要だと思えば、恐れることなく、はっきりと意見を述べる人間である。
エディと私は、実は昨シーズンの半ば、イギリスGPの前に酒を一杯、いや実際には三杯ぐらい飲みながら、レッドブルのジレンマについて話し合ったことがあった。ふたりとも、セルジオ・ペレスはもう見込みがないので放出されるべきだということ、気のいいダニエル・リカルドが栄光の日々に戻ることはないということにおいて、意見が一致していた。そして、後任にふさわしいのは裕毅であると、ふたりともが考えていた。
もちろん、ローソンも候補には入っていた。彼はレッドブルの2チームのリザーブドライバーだったからだ。しかし、2024年のうちにローソンが何戦か出場することになったとしても(実際、そうなった)、彼が半年後に、レッドブル・レーシングで戦う準備が整うとは、ふたりとも思わなかった。
私は、リアムがニュージーランドを離れて以来、彼のキャリアをずっと追いかけてきた。彼はF1で活躍できるだけのスピードを十分に示してきた。だからこそ、2024年のシンガポールの後、リアムをリカルドの代わりに起用したことは妥当であると考えた。なぜなら、リカルドのF1キャリアが終わりに近づいているのは明らかだったからだ。
とはいえ、ローソンがフェルスタッペンやルイス・ハミルトン級のドライバーになるという兆しを、私は一度も見たことがない。それどころか、シャルル・ルクレール、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリ、ジョージ・ラッセル、そしてアンドレア・キミ・アントネッリ(あえて彼をこのグループに入れたい)のようなドライバーたちと同等ですらないと思っている。
ローソンには速さはあるし、時には勝つこともできるだろうが、圧倒的な才能や将来チャンピオンになるような資質はない――それが私の彼に対する評価だ。
一方で角田には経験がある。彼は、F1キャリアを通じて大きく成長し、トップチームで走るチャンスを与えられるのに値する存在になった。かつて角田は、日本で修業を積んだ後、レッドブルが用いるショック療法を受けた。本来なら、当時、国際レースでの経験が不足していた彼は、フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパへのステップアップが妥当だっただろうが、レッドブルは彼をいきなりFIA F3に放り込んだのだ。
競争力のないチームで好成績を収めた角田は、早々にFIA F2へと昇格させられた。FIA F3でプレマ、ART、またはトライデントのいずれかとともにもう1シーズンを過ごすほうが彼にとって良かったはずだ。しかし彼は結局、FIA F2をわずか1年のみで終了し、国際レース経験わずか2年で、F1へと昇格することになった。
レッドブルはいつものやり方で、角田に立派な屋根を与えたが、それを支えるべき基本的な土台や強固な壁は築いていなかった。しかし角田が幸運だったのは、ピエール・ガスリーとペアを組めたことだ。当時、後輩の角田に目をかけたガスリーは、F1の世界で生き抜く術を学ぶのを助けたのだ。
昨年のシーズン開幕以来の走りを見る限り、角田はトップチームで戦う準備が整っているようだ。そして今年ついに、彼に、自分の価値を証明するために(おそらく)22戦のチャンスが与えられることになった。
一度もテストをしたことのないマシンに飛び乗り、いきなり鈴鹿のような容赦のないサーキットで走るというのは、ありがたい贈り物というよりも毒杯に近いだろう。しかし、角田は今や十分な経験を積んでおり、フリー走行でクラッシュすることなく走り切り、その後のQ1、特にQ2で結果を出すだけの力がある。もしQ3に進出できればなおさら良い。そうなれば、ポイント獲得も射程圏内に入るだろう。
本当の試練が始まるのは、鈴鹿の次のバーレーンだ。そこは全員が慣れ親しんだサーキットであり、レッドブルも3日間のテストから有益なデータを得ている。そこでQ3に進出し、メルセデスやフェラーリのドライバーたちを悩ませること、それが角田がやらなければならないことだ。それがレッドブルが今シーズン最後まで角田に求めるすべてのことなのだ。
私から彼に送るアドバイスはごくシンプルなものだ。マックスと彼のラップタイムは無視すること。そして、自分の走りに集中し、セットアップを自分の理想の状態に仕上げ、そのマシンを限界まで攻め続けるのだ。そうすれば、多くのポイントといくつかの表彰台は自然とついてくる。私はそう信じている。
────────────────────────筆者ハービー・ジョンストンについて
イギリス出身、陽気なハービーは、皆の人気者だ。いつでも冗談を欠かさず、完璧に道化を演じている。彼は自分自身のことも、世の中のことも、あまり深刻に考えない人間なのだ。
悪名高いイタズラ好きとして恐れられるハービーは、一緒にいる人々を笑顔にする。しかし、モーターレースの世界に長く関わってきた人物であり、長時間をかけて分析することなしに、状況を正しく判断する力を持っている。
ハービーはかつて、速さに定評があったドライバーで、その後、F1解説者としても活躍した。彼は新たな才能を見抜く鋭い目を持っている。F1には多数の若手育成プログラムがあるが、その担当者が気付くよりもはるかに前に、逸材を見出すこともあるぐらいだ。
穏やかな口調でありつつも、きっぱりと意見を述べるハービーは、誰かが自分の見解に反論したとしても気にしない。優しい心の持ち主で、決して大げさな発言や厳しい言葉、辛辣な評価を口にせず、対立の気配があれば、冗談やハグで解決することを好む。だが、自分が目にしたことをありのままに語るべきだという信念を持っており、自分の考えをしっかり示す男だ。
[オートスポーツweb 2025年04月01日]
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