FIA世界耐久選手権(WEC)は2020-2021年シーズンから、通称”ハイパーカー規定”と呼ばれる新規定の下、LMP1クラスが新たなトップカテゴリーに生まれ変わる。
トヨタはアストンマーチンと同様、早々に参戦を表明。市販に向けて開発中のGRスーパースポーツ(仮称)をベースとするハイブリッド・プロトタイプ車両の開発を進めている。
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トヨタのテクニカルディレクターを務めるパスカル・バセロンは、motorsport.comのインタビューに応え、マシンを来季の開幕戦シルバーストンに間に合わせるため、全力を尽くしていると語った。
「ハイパーカーの準備に全力で取り組んでいる。遅すぎるくらいだ! 全てがとてもギリギリの状態だ。クルマが走るのは、ホモロゲーションと最初のレース直前になるだろう。とてもタイトで、リスキーなスケジュールだ」
「(開幕戦)シルバーストンは日程が変更された。8月末ではなく、9月頭になったので、1週間の時間ができた。現時点で完璧なプログラムを目指しており、全てが順調に進むことを望んでいる。だがリスキーで、タイトなスケジュールなのは間違いない」
アストンマーチンは、ハイブリッドシステム非搭載のレース仕様ヴァルキリーで”ハイパーカークラス”に参戦する予定だ。また、2018-2019年までLMP1クラスに参戦していたバイコレスも、昨年12月に新規定への参入を計画していることを発表した。
さらに、アメリカに本拠を置くスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスの創設者、ジェームズ・グリッケンハウスも、WEC参入に興味を示しており、9月に開発を進めているマシン『SCG 007』のレンダリング画像をSNSで公開した。
バセロンは、この4チームがハイパーカークラスに参戦すると考えており、2年目以降に参戦を検討しているメーカーもあると示唆した。
「現時点では、我々とアストンマーチン、さらにバイコレスとグリッケンハウスの4チームが参戦すると考えられている」
「長期的には、あらゆることが起こりうる。いくつかのマニュファクチャラーは、それ(1年目のシーズン)を見て、2年目に参戦することを計画しているようだ」
「4つのチームが参戦するため、現時点で1年目は良いシーズンになりそうだ」
2年目から参入を検討していると考えられるマニュファクチャラーのひとつが、現在LMP1クラスを戦っているレベリオン・レーシングや、LMP2クラスに車両を供給しているオレカだ。マクラーレンも、ザク・ブラウンCEOが参戦する可能性に含みを持たせており、状況を見守っているとコメントしている。
一方で、WECのCEOであるジェラルド・ヌーブは、北米のスポーツカーシリーズであるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の、DPiクラスとのコラボレーションを期待している。
IMSAは、2022年からDPi 2.0と呼ばれる新車両規定を導入する計画を建てており、共通のハイブリッドシステム導入が検討されている。
バセロンも、より多くのメーカーをWECに呼びこむ必要があるとしながらも、ハイブリッドシステムの共通化には否定的だ。
「将来的にはもちろん、より多くのメーカーを呼び込むチャンスを検討するべきだ。我々が”ル・マンにもたらすもの”が維持されている限りね」
共通ハイブリッドシステムは”なし”かと訊くと、バセロンは「その通りだ」と答えた。
ハイパーカー規定は、レース専用に設計されたプロトタイプマシンと、市販ハイパーカー由来のマシンの両方に開放されることになる。
マシンの最低車重は1100kgとされ、出力は750bhpに制限。ハイブリッドシステムの搭載は必須ではなく、ハイブリッド出力は270bhpまでに制限される。また、ハイブリッド車と非ハイブリッド車のパフォーマンスを近づけるため、LM-GTEクラスに導入されている方式をベースにした性能調整が適用される。
バセロン曰く、すでにその調整は進められているという。
「プロトタイプカーとハイパーカーの間で、すでにイコライゼーション(平等化)が行われている。それに制限はないんだ! それに3年間のホモロゲーションがあるため、LMP1マシンも参戦することができる。あらゆる方向からバランスが取られるんだ」
今年6月に詳細が発表されたハイパーカー規定。導入まで1年を切る中、水面下で着々と準備が進められているようだ。
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