A610由来のサス メガーヌ・クーペ由来の4気筒
ルノー・スポール・スパイダーのコンセプトは、ドライバーと自然環境との距離が近く、バイクへ乗る時のような感覚を通じて、強い一体感を与えるというもの。それは、スタイリングで見事に体現されていた。
【画像】実用性は度外視 ロータス340R ルノー・スポール・スパイダー エリーゼとVX220、クリオ V6も 全121枚
ロー&ワイドで、優しくカーブを描く容姿は、サーキットからそのまま舞い降りたような雰囲気。グラスファイバー製ボディが、強固なアルミ製スペースフレームとサブフレームを覆っている。
ロータス340Rとは異なり、上方へ開くドアが備わる。だが、本来の欧州仕様では小さなエアロスクリーンのみ。今回のレッドの1台は英国仕様で、大きなフロントガラスと三角窓が備わる。
フロントアクスルの間には、小さな荷室がある。リアのロールバーへ被せる、簡易的なデタッチャブル・ルーフと、駐車時にキャビンを覆うトノカバーも用意されている。
サスペンションは、アルピーヌA610の部品を流用。前後ともダブルウィッシュボーン式で、可動部はボールジョイント。ロッカーアームを介して、ダンパーが伸縮する。
ベンチレーテッドディスクのブレーキも、A610譲り。タイヤはミシュラン・パイロットSXで、サイズは205/50の16インチ。結果的にボディは大きくなり、車重は930kgに達した。340Rとの走りの違いも小さくない。
エンジンは、ルノー・メガーヌ・クーペ 16vに積まれていた、1998cc 16バルブ4気筒。最高出力は152ps/6000rpmで、0-100km/h加速は6.9秒。340Rの4.5秒より明らかに遅れるものの、空力特性に優れ、最高速度は215km/hと6km/hほど高い。
お目覚めが上品なスポール・スパイダー
2台を並べると、スポール・スパイダーのワイドさに驚く。ボディの下半分がグレーに塗られる、ツートーン仕上げが標準。上半分はブルーとイエローも選択できたが、グレッグ・バーチャル氏がオーナーのこちらはレッドだ。
クラムシェルのリアカウルを持ち上げると、横向きの4気筒エンジンが姿を表す。4本のパイプがうねる排気マニフォールドと、水平に近いダンパーが、モータースポーツとの距離の近さを滲ませる。
車内側へ手を伸ばし、ドアを持ち上げる。ダンパーの力で、滑らかに高い位置へ上昇する。サイドシルは分厚いが、乗り降りは意外と容易。防水生地で仕立てられたバケットシートが、しっかり身体を保持する。製造水準は高い。
メーターパネルには、水温と油圧、回転数の3枚のメーター。速度はデジタル表示で、センターコンソール側にある。内装は至ってシンプル。アルミ製のシャシー・ブレースが露出する。
スポール・スパイダーのお目覚めは上品。ひと吠えもなく、静かにKシリーズはアイドリングを始める。ステアリングホイールは駐車場で重く、シフトレバーのゲートは狭い。
ボールジョイントのサスペンションが、低速域ではコクコクと音を立てる。速度を高めるほど、安定性が見違える。ステアリングホイールは重いままだが、ロックトゥロック2.5回転以上に切り始めは鋭敏。情報量は多くないものの、ダイレクト感が補う。
4000rpmへ引っ張っても、聞き惚れる音響にはならない。それでもフラットにトルクが発生し、連続するカーブを柔軟に駆け回れる。
軽いシャシーへピタッとハマった印象
アスファルトが乾燥していれば、フロントタイヤのグリップ力は見事。アクセルペダルの踏み込み加減で、ラインを調整していける。
ブレーキはサーボレスで、充分な制動力を得るには相応の踏力が求められる。アグレッシブな見た目から想像するほど、スポール・スパイダーは速くないから、ペダルの感触が若干曖昧でも不安感はほぼない。
他方、340Rのオーナーは、ロバート・ジョンソン氏。ミニマリスティックな佇まいが、むしろドラマチックだ。離れて眺めると、薄いサイクルフェンダーはタイヤと一体に見え、オープンホイールのレーシングカーのよう。
小さなエンジンカバーは、8本のボルトで固定されている。サスペンション・アームとコニ社製ダンパー、世界最小のリアガラスがはめられたロールバー、テールライト、ジャンスピード社製のツインテール・マフラーまで、すべてがむき出しだ。
太ももを高く持ち上げ、バケットシート前のフロアへつま先を伸ばす。メーターパネルは、回転計と速度計の2枚があるだけで、スポール・スパイダーより簡素。デジタル部分に、補足情報が表示される。
ライト類のボタンは、シフトレバー前のアルミ製ポストへ集約。腰を下ろすと、スポール・スパイダーと同様に、軽いシャシーへピタッとハマった印象を受ける。最適な運転姿勢は、簡単に見つかる。3枚のペダルは正面に並ぶが、左足の置き場が狭い。
絶賛に値するルノー版モダン・ケータハム
340Rは、エンジンの始動直後から様相が違う。Kシリーズ・エンジンは豪快なノイズで始動。音質は、エリーゼのそれと近い。
カーブへ飛び込めば、即座に満たされる。速いだけでなく、手のひらや背中への情報量が半端ない。数kmも走ればシャシーと意気投合でき、リアタイヤのグリップを抜きながら、濃密な運転体験へ没入できる。
エリーゼより、遥かに軽くも感じられる。すべての反応が軽快で精緻。スプリングとダンパーは、荒れた路面へ息を合わせるようにタイヤを追従させる。グリップ力も素晴らしい。
今回の340Rは、ロータス認定のオプションが組まれ、スポーツ190と同じ192ps仕様へアップグレードされている。エンジンECUの再マッピングとカムプーリーの変更、レゾネーターバルブやセカンダリー・エアフィルター、触媒の省略などで叶えている。
動力性能は圧巻。Kシリーズのサウンドもドラマチックとはいい難いが、より深みが増している。低域トルクだけでなく、4000rpm以上の炸裂感は痛快。ハイエンドなケータハムのように意欲的だ。
運転体験でいえば、340Rはスポール・スパイダーを凌駕するだろう。筆者がこれまで運転したクルマの中で、最高の1台に加えられる。
とはいえ、大型トラックまで手掛けた巨大メーカーが目指した、ルノー版モダン・ケータハムにも賛辞を送りたい。ロータスが達成した水準へ遠くない、純粋な時間を公道で過ごせるのだから。
スポール・スパイダーと340R 2台のスペック
ルノー・スポール・スパイダー(1996~1999年/英国仕様)
英国価格:2万5950ポンド(新車時)/4万ポンド(約780万円/現在)以下
生産数:1640台(市販車)+80台(ワンメイク・トロフィー仕様)
全長:3795mm
全幅:1780mm
全高:1250mm
最高速度:215km/h
0-97km/h加速:6.9秒
燃費:11.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:930kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:152ps/6000rpm
最大トルク:19.3kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)
ロータス340R(2000年/英国仕様)
英国価格:3万5000ポンド(新車時)/5万5000ポンド(約1072万円/現在)以下
生産数:340台
全長:3620mm
全幅:1702mm
全高:1123mm
最高速度:209km/h
0-97km/h加速:4.5秒
燃費:9.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:675kg
パワートレイン:直列4気筒1796cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:179ps/7800rpm
最大トルク:17.3kg-m/5000rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)
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