現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 狙うはテスラ超え! 2030年には完全自動運転車を1万台作る! 将棋の名人に勝利したAIソフトの開発者が興した「チューリング」って何?

ここから本文です

狙うはテスラ超え! 2030年には完全自動運転車を1万台作る! 将棋の名人に勝利したAIソフトの開発者が興した「チューリング」って何?

掲載 14
狙うはテスラ超え! 2030年には完全自動運転車を1万台作る! 将棋の名人に勝利したAIソフトの開発者が興した「チューリング」って何?

 この記事をまとめると

■将棋AIソフトを開発した天才と自動運転を研究する天才が手を組んで立ち上げた企業が「チューリング」だ

「たった4車種」でトヨタに匹敵! EVメーカー「テスラ」が儲かる秘密

■人工知能を軸に据えた自動運転車を開発し、2030年には自動運転のオリジナルEV1万台製造を目指している

■車両の製造面では、かつてヴィーマックを生み出した東京R&Dと戦略的パートナーシップを締結している

 自動運転を武器にテスラ超えを目指す日本のスタートアップ企業

「日本はオワコン」と斜に構える風潮が蔓延っている。しかし、日本でもイノベーションを起こすべく、いくつものスタートアップが資金を集め、立ち上がっている。とはいえ、自動車業界は規模が求められるだけにベンチャーが参画しづらいという見方もある。

 そうした風潮に、まさしく風穴を開けるべく立ち上がったのが、自動運転を軸としたスタートアップ企業「チューリング」だ。

 世界で初めて名人に勝利した将棋AIソフト「Ponanza」の開発者である山本一成氏とカーネギーメロン大学で自動運転を研究、北米系の自動車メーカーと研究した経験もあるという青木俊介氏によって共同創業されたのが「チューリング」だ。

 同社の掲げるミッション(目標)は「We Overtake Tesla(我々はテスラを超える)」というもの。しかしながら、単に魅力的なEVを作ってテスラ超えを目指しているというわけではない。

 テスラという社名が、交流電力を発明した20世紀初頭の大発明家であるニコラ・テスラに由来していることは有名だが、じつはチューリングという社名も過去の偉人にちなんでいる。人工知能やコンピュータに詳しい人であれば、アラン・チューリングという名前を目にしたことはあるだろう。20世紀中盤に活躍したイギリスの科学者であり、コンピュータの父と呼ばれることもある人物だ。

 その名前を社名に掲げていることからもわかるように、チューリングは人工知能を軸に据えている。AIのスペシャリストが集う、AIネイティブな企業なのだ。

 自動車関係でAIといえば自動運転テクノロジーである。チューリングは自動運転によってテスラを超える自動車メーカーを目指している。

 そのロードマップは大胆かつ意欲的なものだ。2025年に完全オリジナルの自動運転EVを100台市販、2030年には自動運転レベル5のオリジナルEVを1万台製造することを目指している。2030年の段階ではハンドルなどを持たない、完全自動運転専用車のローンチを前提としているというから意欲的な目標だ。

 5年で100倍というのは無謀にも思えるが、すでにレクサスRXをベースに、自動運転の制御システムをチューリング独自のユニットとして、一般道でも自動運転レベル2の走行が可能なオリジナルモデルを1台販売、自動車メーカーとしてのスタートを切っている。

 2023年に1台、2025年に100台、2030年に1万台……となれば2040年には100万台を作るというのがチューリングの目論見だろう。そうなれば現在のテスラと同等規模であり、2050年には「We Overtake Tesla」という同社のミッションが実現しているかもしれない。

 2030年に自動運転レベル5のEVを1万台販売するのが目標

 自動車を作るというのはAIスペシャリストだけでは難しいのも事実。そこでチューリングは、東京R&Dとの戦略的パートナーシップを締結している。東京R&Dといえば、スーパーGTなどで名前を聞いたことがあるかもしれない。現在、スバルのGT300マシンを走らせているRDスポーツもかつては東京R&D傘下だった。

 東京R&Dは、GTマシンのベースともなった「ヴィーマック」というスポーツカーを開発製造したことがあり、さらにはバッテリー交換タイプのEVを実証実験用に製造したこともある。自動車メーカーのような大量生産は難しいが、むしろ少量生産において国内でも屈指のノウハウを持っているといっていい。

 具体的には、チューリングと東京R&Dのパートナーシップにより2025年に100台の販売を目指す、最初のオリジナルカーの開発が進められる予定だ。スタイリングなどについてはまだ決まっていないというが、おそらく2シーターで価格は1000万円級、自動運転レベル2の仕様になるということだ。

 テスラも最初はロータスエンジニアリングの協力を得て、ロータスの量産車アーキテクチャを利用したテスラ・ロードスターによって量産を開始している。テスラ超えを目指すチューリングがとった戦略が似ているように感じられるのも自然な話なのかもしれない。

 2025年に販売する予定のオリジナルカーは、2023年の東京モーターショーあらためジャパンモビリティショーにてお披露目される予定。残された開発期間はわずかで、従来の自動車メーカー的なフローではプロトタイプを展示するのはほとんど無理と思える。

 チューリングでは、設計にAIテクノロジーを導入することでスピードアップを図っているという。自動運転の制御だけでなく、AIによってクルマが作られる時代を切り開くというのも、同社の目指している世界である。

 注目はセンサーという目にあたる部分よりもAIによる制御系(頭脳)を重視した自動運転を実現しようとしている点だ。

 センサーは高価なLiDARではなく、非常に安価なカメラを使うという。センサーの性能ではなく、画像を深層学習で鍛えたAIによって解析することで、自分で判断して走れるクルマを生み出そうというのがチューリングの考える完全自動運転である。

 現在の自動運転テクノロジーには欠かせないとされているダイナミックマップ(高精度3次元地図)がなくとも完全な自動運転が可能になるというのが同社の主張だ。

 現時点で調達した資金は10億円単位であり、従来の自動車メーカーの開発予算が100億円単位であることを考えると非常にコンパクトな予算感でもある。古い常識に囚われていると無茶なプロジェクトにしか見えないかもしれないが、そうした常識を打ち破ったスタートアップは世界中に数多く存在する。

 はたしてチューリングの挑戦は日本を救うイノベーションを生み出すのか、今後の動きから目が離せない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【タイ】トヨタが「“ちょっと大きい”ヤリス」実車公開! 迫力スゴい“サメ顔”採用! スポーティ&高級感アップした「最新5ドアハッチバック」どんなモデル?
【タイ】トヨタが「“ちょっと大きい”ヤリス」実車公開! 迫力スゴい“サメ顔”採用! スポーティ&高級感アップした「最新5ドアハッチバック」どんなモデル?
くるまのニュース
メルセデス代表、連続表彰台のラッセルを称賛。新契約を望むも、交渉は夏頃
メルセデス代表、連続表彰台のラッセルを称賛。新契約を望むも、交渉は夏頃
AUTOSPORT web
[フェラーリ製V8が最安値100万!?] 先代クアトロポルテの中古がお買い得すぎる件
[フェラーリ製V8が最安値100万!?] 先代クアトロポルテの中古がお買い得すぎる件
ベストカーWeb
ダイナミクスと効率性、高航続距離を兼ね備えた「アウディA5アバント eハイブリッドクワトロ」
ダイナミクスと効率性、高航続距離を兼ね備えた「アウディA5アバント eハイブリッドクワトロ」
LEVOLANT
ヤマハ、ハイブリッドエンジンの原付二種スクーターを発売予定「若者ターゲットで激戦の125ccクラスに風穴を開ける!?」
ヤマハ、ハイブリッドエンジンの原付二種スクーターを発売予定「若者ターゲットで激戦の125ccクラスに風穴を開ける!?」
モーサイ
ただのPHEVではない!「ウルトラの恩恵」は想像以上だった【ベントレー フライングスパー スピード:海外試乗】
ただのPHEVではない!「ウルトラの恩恵」は想像以上だった【ベントレー フライングスパー スピード:海外試乗】
Webモーターマガジン
バイクのわくわくを届ける為に! ブリヂストンが東京モーターサイクルショーへの出展を発表
バイクのわくわくを届ける為に! ブリヂストンが東京モーターサイクルショーへの出展を発表
バイクのニュース
福岡でおすすめのカーシェアは?ステーション数や料金を比較
福岡でおすすめのカーシェアは?ステーション数や料金を比較
くるくら
大分県警も「あきれ声」!? “不注意”ドライバーの「脇見運転」で事故発生! 国産SUVが無惨にも「大破」し大渋滞に… 「周囲に迷惑です!」強い口調で安全運転を呼びかけ
大分県警も「あきれ声」!? “不注意”ドライバーの「脇見運転」で事故発生! 国産SUVが無惨にも「大破」し大渋滞に… 「周囲に迷惑です!」強い口調で安全運転を呼びかけ
くるまのニュース
近鉄が「画期的な直通列車」の実現目指す! 夢洲と奈良・伊勢志摩を直結も 乗り越えるべき壁とは
近鉄が「画期的な直通列車」の実現目指す! 夢洲と奈良・伊勢志摩を直結も 乗り越えるべき壁とは
乗りものニュース
愛媛と岡山の山林火災で被災地支援、テンフィールズファクトリーがEV急速充電器を無料開放
愛媛と岡山の山林火災で被災地支援、テンフィールズファクトリーがEV急速充電器を無料開放
レスポンス
HOPPY Supra GTの“秘密”はギヤボックスにあり。レーシングカーづくりの困りごとを解決するための新プロジェクト
HOPPY Supra GTの“秘密”はギヤボックスにあり。レーシングカーづくりの困りごとを解決するための新プロジェクト
AUTOSPORT web
【中国】ホンダ新「インテグラ」初公開! 6速MTもある「スポーティ“セダン”」! 顔面刷新&日本円で約270万円の「新モデル」中国に登場
【中国】ホンダ新「インテグラ」初公開! 6速MTもある「スポーティ“セダン”」! 顔面刷新&日本円で約270万円の「新モデル」中国に登場
くるまのニュース
【チーム三菱ラリーアート】三菱トライトン、アジアクロスカントリーラリー2025参戦車をバンコクで発表
【チーム三菱ラリーアート】三菱トライトン、アジアクロスカントリーラリー2025参戦車をバンコクで発表
AUTOCAR JAPAN
スマート最大の電動SUV『#5』欧州発表、航続590km
スマート最大の電動SUV『#5』欧州発表、航続590km
レスポンス
走行257キロ! 奇跡の未登録車がオークションに登場…「怪物」の異名を持つアルファ ロメオ「SZ」が約1680万円で落札されました
走行257キロ! 奇跡の未登録車がオークションに登場…「怪物」の異名を持つアルファ ロメオ「SZ」が約1680万円で落札されました
Auto Messe Web
第52回東京モーターサイクルショーにグローバルタイヤブランド「TIMSUN/ティムソン」がブース出展
第52回東京モーターサイクルショーにグローバルタイヤブランド「TIMSUN/ティムソン」がブース出展
バイクブロス
【アプリリア】アーバンアドベンチャースクーター・SR GT 200 SPORT の新色「スペースホワイト」を発売!
【アプリリア】アーバンアドベンチャースクーター・SR GT 200 SPORT の新色「スペースホワイト」を発売!
バイクブロス

みんなのコメント

14件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村