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ディーゼルの悩みの種「煤」を発生させないオイルが誕生! マグロの「鮮度」にも「配送の時短」にも役立つってどういうこと?

掲載 更新 17
ディーゼルの悩みの種「煤」を発生させないオイルが誕生! マグロの「鮮度」にも「配送の時短」にも役立つってどういうこと?

 この記事をまとめると

■出光興産がディーゼルエンジンオイル「AshFree」をリリース

【ドッチがお得】安いオイルをこまめに換えるor高いオイルを長く使う

■「AshFree」の強みはエンジンオイルの燃焼による灰を発生させないこと

■手動再生が不要になるケースも多くドライバーの負担が減る

 新商品の開発によりドライバーの負担を軽減

 2003年(平成15年)に、当時の石原慎太郎東京都知事が主導した八都県市(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市)の排ガス規制条例と、その後の自動車排ガス規制により装着が義務化された排ガス浄化装置DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)。2010年以降に製造、販売されたトラック、バスなどのディーゼル車にはすべて標準装備されている。

 このDPF(メーカーによってDPD、DPRと呼ぶものもある)は、排気ガスに含まれる煤(粒子状物質)を除去する装置で、走行中または停止中にフィルターに溜まった煤を燃焼させ、取り除くことで排ガスを浄化させる機能をもっている。大型のエンジンを装備するトラックはその煤が大量発生するため、ひんぱんに車両を停止させてこのDPFのフィルターに溜まった煤を燃焼させる「手動再生」を行う必要がある。

 そのDPFの手動再生により発生する停止時間、待機時間が、ドライバーを無駄に拘束し、その改善が現在トラック業界全体の課題となっている。「物流の2024年問題」の解決手段の一助になると考えた「出光興産」では、そのDPFの手動再生時間を軽減させるディーゼルエンジンオイル「AshFree」をリリースした。

 このオイルは、DPFの目詰まりの発生原因となる煤を抑えるのではなく、それを根本から「発生させない」というコンセプトを設定。同社独自の添加剤処方技術によって煤のもととなる金属添加剤を使用しないディーゼルエンジンオイルを20年の期間をかけて開発した。

 同社では一般的に「煤」と呼ばれるDPFの目詰まりを起こす物質を「灰」と表現。商品名どおり灰を発生させない、アッシュフリーなオイルというわけだ。灰を発生させないことでDPFの手動再生の回数を減らし、それによりDPFの寿命延長にも絶大な効果をもち、DPFの整備や交換など高額なメンテナンス費用も大幅に抑えることもできる。

 そしてDPFに溜まる灰を発生させないことで、手動再生に費やしていた労務時間を削減し、ドライバーの負担を大幅に軽減させることができるわけだ。

 出光興産が「円滑輸送サポートプロジェクト」 を始動

 出光興産では、このAshFreeにより、DPFの目詰まりと自動再生、メンテナンスなどの問題に直面する多くの物流企業をサポートしたいという想いのもと、物流の円滑な輸送を支える 「円滑輸送サポートプロジェクト」 の始動を宣言。その第1弾として、まぐろ・カツオの水揚げ日本一を誇る静岡県焼津港の物流企業に対し、同オイルを寄贈するセレモニーを2024年11月21日に開催した。

 寄贈式の会場となった焼津市のアポロステーション150号焼津には、出光興産から潤滑油二部セールス&マーケティング課の佐藤俊仁課長と潤滑油二部セールス&マーケティング課の霜崎英紀チーフエンジニアが出席。壇上では佐藤課長がAshFreeが2024年問題の解決策としていかに貢献するかを解説。そして同社の円滑輸送サポートプロジェクトへの意気込みをスピーチし、霜崎エンジニアが同製品のDPFに対する効果や開発秘話を語った。

 続いて「静岡県貨物運送協同組合」を代表して、焼津で水揚げされたマグロを全国各地に輸送する運送会社「有限会社ハッスイトランスポート」の佐伯靖則社長が登壇。DPFの目詰まり問題の現場での実態と、AshFreeを使用してからの効果とメリットについて語ってくれた。

「DPFの手動再生が必要となると、ドライバーはクルマを一度停めて約30分ほど詰まった汚れを燃焼させる時間を余儀なくされます。⻑年使っているトラックだとフィルターも詰まりやすく、手動再生の頻度も増します。うちの場合だとひどいときは同じ車両で 1日に2回発生していました。私どもは全国に冷凍マグロを運んでいますが、その手動再生のタイミングが高速道路にいざ乗ろうとしたときに起こったらどうなるでしょう? そう簡単には停まれません。駐車場も空いてなければ走行距離はどんどん伸び、50kmを超えると手動再生はできなくなり、整備工場でしか解決できなくなります。そうなるとエンジン制御がかかりスピードが時速50kmほどしか出なくなり高速を降りなければなりません。冷凍車はエンジンで冷やしているので魚の鮮度にも影響し、値段がつかない事態も起こり得ます」。

 そしてAshFreeを採用してからは「手動再生がほぼ皆無に近いくらい、とにかく減りました。1回30分の時間が取られる手動再生が、週に3回発生したとすると約1時間半、これが4週あるので1カ月だけでも約6時間かかっていたのが削減されました」と、同オイルがドライバーの労働環境の改善にじつに効果的であると話してくれた。

文:WEB CARTOP トラック魂編集部

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みんなのコメント

17件
  • mas********
    ただこのオイル、大型ディーゼル車両用のオイル規格DH2に適合してなかった筈。あと、オイルメーカー推奨の交換サイクルが一般的なDH2オイルより短かった筈。
    他社の高規格DH2オイルも同じ様にアッシュを発生させにくいモノもあるがそちらは単価が高い(ただしライフは標準的)なので走行距離あたりのメンテナンス費は変わらないだろうね。

    問題はDH2規格を取ってない所で、コレでエンジンが破損した場合新車でもメーカー保証が効かない可能性がある事なんだよなぁ…
  • miz********
    ちょっと疑問なんだけど
    どんなオイルを使おうがDPFの再生はなくならない。
    DPFは高温にする事でPMを燃やし切るから再生は自動だろうが手動だろうがテスターで強制しようが変わらない。
    問題は再生時にDPFに固着するAshで、これを引き起こす原因はオイルに含まれる金属成分。
    この金属成分は潤滑性などを保つ添加剤由来が多い。
    金属を使った添加剤のメリット、デメリットはあるが、このオイルはDPFへのAsh固着に主眼を置いた。
    と、いう事だと思います。
    もう一つ、さらに大きな疑問は、確か2年くらい前から売ってるオイルがなぜ今記事になるのか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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