現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【量産最強4気筒をSUVに】メルセデスAMG GLA 45 Sへ試乗 走りに妥協なし

ここから本文です

【量産最強4気筒をSUVに】メルセデスAMG GLA 45 Sへ試乗 走りに妥協なし

掲載 更新 5
【量産最強4気筒をSUVに】メルセデスAMG GLA 45 Sへ試乗 走りに妥協なし

アウディRS Q3と真っ向勝負

text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)

【画像】AMG GLAとライバルSUVを比較 全132枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


かつてはニッチモデルだったが、今では当然といえる存在になった。パワフルなメルセデスAMG GLA 45だ。

初代GLAが登場したのは2014年。欧州でもSUVブーム傾向は見られたものの、まだ初期といえる段階だった。特にコンパクトな高性能SUVは、珍しい存在といえた。

パワフルなアウディRS Q3に対抗するように登場した、先代のGLA 45。一回り大きく、値段も張ったポルシェ・マカンを除いて、ライバルは不在といえる状態だった。

2020年の今は違う。BMWからはライトMと呼べるX2が登場し、フォルクスワーゲンはTロックにRを追加。ほかにも数え切れないほどの高性能SUVが売られている。古いクルマ好きの食指が動かないようなカテゴリーには、大きな需要が生まれている。

通常の2代目GLAと同様に、AMG版もより本格的なSUVへと進化。動的性能だけでなく、実用性でもアウディRS Q3に並べるようになったといえる。

サイズと重量は増加。コンパクトで軽いハッチバックのAMG A 45との違いはいかほどだろう。

英国価格は約6万ポンド(804万円)。驚いても仕方ない数字だと思う。さらに左ハンドルの今回の試乗車には、ドイツでプラス・パッケージと呼ばれる6000ポンド(80万円)ぶんの装備が盛り込まれていた。

ホイールは21インチ。空力性能に効果がありそうなボディキットに、マルチビームLEDヘッドライトを装着。高音質オーディオや電動スポーツシート、追加の運転支援システムなども搭載されている。

NAのように最大トルクは5000rpmから

その結果、試乗車の英国価格は8万7863ポンド(1177万円)にも達する。コンフィギュレーターのチェックボックスをもっと増やせば、値段はさらに高くもできる。

AMG GLA 45のメカニカルな部分は、基本的に兄弟モデルといえるハッチバックのA 45に準じる。英国にはSの付かないベースグレードが導入されないため、387ps版は選べない。AMG GLA 45 Sの1択で、2.0L4気筒ターボが生み出すのは421ps。

この4気筒エンジンは、量産ユニットの中では目下、世界最強。1L当たりの馬力は212psにもなる、ハイチューンだ。

メルセデスAMGが設定した、最大トルクの発生回転域にも注目。50.9kg-mもの力を、5000rpmという高回転域で湧出するように仕立ててある。

狙いは、ターボチャージャー特有のフラットなトルク感を消し、自然吸気のように回転上昇とともに引き出されるパワー感を生み出すため。そのかわり3000rpm以下では、アウディ製の5気筒ユニットほど衝撃的なドラマはない。といっても、充分に力強いけれど。

ドライブモードをアグレッシブなものにすれば、アフターファイヤーの破裂音やグズり音も放つが、排気音は個性的というわけでもない。しかしレブカウンターの針の動きと同時に、高まるパワー感は痛快。クレッシェンドしていくように、驚異的な速さでGLAは速度を乗せる。

メルセデスAMGによれば、GLA 45の0-100km/h加速は一般的な条件で4.3秒。ベストコンディションなら、4秒を切れるかもしれない。

知的な四輪駆動システムの楽しさ

AMG GLA 45の強みは、直線加速だけではない。湿った路面でも、挙動はニュートラルで扱いやすい。アスファルトをしっかり掴み、落ち着きを乱すことはない。

低速コーナーから一気にアクセルを踏み込むと、わずかにトルクステアを感取できるが、それ以外の場面では操舵感は正確。重み付けも自然で、ホットハッチと比べてもフィーリングは良い。

AMG GLA 45の最大の特徴といえるのが、電動油圧式で制御される四輪駆動システム。リアタイヤの片側1本へ、最大100%の駆動力を伝達することも可能としている。

出色のスタビリティが、自然でバランスの良いコーナリングマナーを披露。アンダーステアもほとんどない。むしろ、ドリフトも可能だ。挙動は漸進的だから、コンパクトSUVとしては新手のダイナミクス性能と呼べるだろう。

電子制御されるリアタイヤのスライド量を信じることができれば、運転スキルがほどほどでも大丈夫。リアタイヤを流す、楽しい瞬間を味わえる。

A45より車重は100kgも重く、車高は190mmも高いことを忘れるほどに面白い。実感できることといえば、コーナー侵入時のボディロールが若干大きいことと、着座姿勢がSUVらしく高いことくらい。

低速域での扱いやすさも残されている。市街地や駐車場での切り返でも、素早い変速を叶えるデュアルクラッチATのマナーは優秀。滑らかな走りは、芸術的とすら思える。

乗り心地は硬いものの、不快さはない。オプションのアダプディブ・ダンパーを装備しているなら、普段は一番柔らかい設定で走れば良い。小回りは、程々といったレベル。

ドライビング体験の妥協は必要ない

インテリアはスポーティな内装トリムと黄色の差し色がなくても、居心地が良い。ただし、基本的には3万ポンド(402万円)のモデルと大きな違いはない。

筆者が気に入ったのは、ステアリングホイールにレイアウトされたドライブモードのスイッチ。ドライブトレインやサスペンションの設定を、手もとで切り替えられる。

車内空間は、先代と比べるとかなり広い。前席も後席も、荷室空間も余裕があり、世帯持ちのオーナーでも不満は感じないだろう。

GLA 45を選ぶか、A 45を選ぶかは、個人の好みによる。見た目と、プラスの予算をどう感じるかだと思う。

英国編集部としては、先代より動的性能や実用性が高められていても、A 45の方に魅力を感じている。AMG GLA 45はシリアスなパフォーマンスを備えているが、同じくらい価格もシリアスだ。

試乗車の価格を見れば、より大きくパワフルで、スポーティ度の高いモデルも充分に視野に入ってくる。例えば、ポルシェ・マカン・ターボやアルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオなど。

反面、メルセデスAMG GLA 45ほどの圧倒的なスピードと楽しさを備えたコンパクトSUVは、ほかに存在しない。多くの人にとって、スリー・ポインテッド・スターの価値に見合うモデルだと思う。

2代目へ生まれ変わった、メルセデスAMG GLA 45。SUVはドライビング体験で多少の妥協が必要だ、ということを覆すといっていい。

メルセデスAMG GLA 45 Sプラス(英国仕様)のスペック

価格:6万4775ポンド(867万円)
全長:4410mm(標準GLA)
全幅:1834mm(標準GLA)
全高:1616mm(標準GLA)
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:10.5km/L
CO2排出量:-
乾燥重量:1765kg
パワートレイン:直列4気筒1991ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:421ps/6750rpm
最大トルク:50.9kg-m/5000-5250rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

こんな記事も読まれています

アプリ売りのオジさん彷徨記 Vol.32 お宝発見ツアーIN群馬編 Part1
アプリ売りのオジさん彷徨記 Vol.32 お宝発見ツアーIN群馬編 Part1
AutoBild Japan
ポルシェ新型パナメーラ ハイブリッド系3グレードの価格詳細発表と予約受注開始 全て右ハン
ポルシェ新型パナメーラ ハイブリッド系3グレードの価格詳細発表と予約受注開始 全て右ハン
AUTOCAR JAPAN
初開催のFE東京E-Prix、レース展開の予想は困難? ドライバーの駆け引きを想像すべし!
初開催のFE東京E-Prix、レース展開の予想は困難? ドライバーの駆け引きを想像すべし!
motorsport.com 日本版
3月29日は「VWゴルフ」の誕生日! 生誕50年、おめでとう! 歴史的ベストセラー「ゴルフ」の歩みを振り返る
3月29日は「VWゴルフ」の誕生日! 生誕50年、おめでとう! 歴史的ベストセラー「ゴルフ」の歩みを振り返る
月刊自家用車WEB
メルセデスベンツ、新型パワートレイン搭載の「GLA180」発売…高性能モデルAMG「GLA45S」も追加
メルセデスベンツ、新型パワートレイン搭載の「GLA180」発売…高性能モデルAMG「GLA45S」も追加
レスポンス
フォーミュラEにとって、日本&東京は重要な市場。求めるは日本人ドライバーの参戦。ドッズCEO「佐藤琢磨に、再び参戦してもらおうか」
フォーミュラEにとって、日本&東京は重要な市場。求めるは日本人ドライバーの参戦。ドッズCEO「佐藤琢磨に、再び参戦してもらおうか」
motorsport.com 日本版
【MEISTER.F】電動キックボードやバランスボードがお買い得!「春の全力応援キャンペーン」を開催中
【MEISTER.F】電動キックボードやバランスボードがお買い得!「春の全力応援キャンペーン」を開催中
バイクブロス
日産が“新”「エルグランド」発表! 超豪華「4人乗り仕様」もアリ! 価格は408万円から 何が変わった?
日産が“新”「エルグランド」発表! 超豪華「4人乗り仕様」もアリ! 価格は408万円から 何が変わった?
くるまのニュース
マツダが「スクラムバン」と「スクラムワゴン」の新型モデルを発売!さらに使える軽自動車へ進化
マツダが「スクラムバン」と「スクラムワゴン」の新型モデルを発売!さらに使える軽自動車へ進化
バイクのニュース
新型キックスはアンダー300万円+ガソリン仕様がなきゃダメ!! 日本仕様の課題は価格だけ?? 王者ヤリスクロスに勝つためにどうすりゃいいのか
新型キックスはアンダー300万円+ガソリン仕様がなきゃダメ!! 日本仕様の課題は価格だけ?? 王者ヤリスクロスに勝つためにどうすりゃいいのか
ベストカーWeb
930馬力の怪物はメルセデスAMG「S63 E」がベース。ブラバス「930」の0-100km/h加速は驚異の3.2秒!
930馬力の怪物はメルセデスAMG「S63 E」がベース。ブラバス「930」の0-100km/h加速は驚異の3.2秒!
Auto Messe Web
【BMW CUSTOM FRONT-LINE 2024】ホイールブランドにおけるスペシャリストの最適解。「KELLENERS sport X-LINE(ケレナーズスポーツ エックスライン)」
【BMW CUSTOM FRONT-LINE 2024】ホイールブランドにおけるスペシャリストの最適解。「KELLENERS sport X-LINE(ケレナーズスポーツ エックスライン)」
LE VOLANT CARSMEET WEB
レクサス・LBX:公道試乗で実力判明!
レクサス・LBX:公道試乗で実力判明!
グーネット
メルセデス・ベンツ「Gクラス」が大幅改良。メルセデスAMG G63は電動化され最高出力585hpを発揮
メルセデス・ベンツ「Gクラス」が大幅改良。メルセデスAMG G63は電動化され最高出力585hpを発揮
Webモーターマガジン
ホンダ「シティ」実車展示! ターボ仕様やRSも設定! HV需要も高まり販売好調!? ホンダのタイ市場動向は
ホンダ「シティ」実車展示! ターボ仕様やRSも設定! HV需要も高まり販売好調!? ホンダのタイ市場動向は
くるまのニュース
【トライアンフ】「Daytona 660 & Rocket 3 Storm デビューフェア」を3/30~4/30まで開催!
【トライアンフ】「Daytona 660 & Rocket 3 Storm デビューフェア」を3/30~4/30まで開催!
バイクブロス
大嵐のコースウォークは半周リタイア! フォーミュラE東京E-Prixの半公道サーキット、近くで歩いて気付いたコト
大嵐のコースウォークは半周リタイア! フォーミュラE東京E-Prixの半公道サーキット、近くで歩いて気付いたコト
motorsport.com 日本版
メルセデス・ベンツ、F1由来のターボを搭載する「AMG GLC 43 4MATIC クーペ(BSG搭載)」を発売
メルセデス・ベンツ、F1由来のターボを搭載する「AMG GLC 43 4MATIC クーペ(BSG搭載)」を発売
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

5件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村