わっ、これって12年前の……
「究極のスーパーカー・ガレージ Ultimate Supercar Garage(以下USG)」と銘打ったショーが2026年初春にフランス・パリで催された。第50回を迎えた著名ヒストリックカー・イベント「レトロモビル」の姉妹イベントとして、今回初めて企画されたものである。
事前の開催概要には、ブガッティ、フェラーリ、ベントレー、ランボルギーニ……といったブランド名が並んでいた。それを見た著者の印象を正直に告白すれば、「きっと見慣れた既存モデルが展示されるだけだろう」というものだった。
当日ポルト・ド・ヴェルサイユの見本市会場を訪れると、2カ所あるパビリオン入口のひとつはレトロモビルと直結で、共通券を購入した来場者は往来できるようになっていた。面白いのはレトロモビル側の最後は、展示中で最も素朴な「3万ユーロ(約550万円)以下の中古車コーナー」だ。そのため、USGに足を踏み入れたときの別世界観は、さらに強調された。
実際の会場は前述の思い込みとは異なり、内容がかなり新鮮だった。その代表はブガッティで、「F.K.P.オマージュ」を前夜祭で世界初公開した。ヴェイロンの誕生20周年を記念するとともに、ブランド復興に貢献したフォルクスワーゲン・グループの元会長・故フェルディナント・カール・ピエヒ博士を讃えたワンオフである。ヴェイロンの再解釈であるが、メカニズムはシロンがベースで、製作は同社のスペシャル部門「プログラム・ソリテール」が担当している。
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マセラティとアルファ・ロメオは、2025年11月に発表した新プログラム「ボッテガ フオリセリエ(ボッテーガ・フォーリセリエ)」を紹介した。こちらの詳細は動画でご覧いただこう。
ブースでは、3週間前にブリュッセル・モーターショーで公開したばかりのアルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオの特別仕様「ルナロッサ」を展示した。参考までに世界限定10台はすでに完売という。
いっぽう、ベルトーネも参加していた。イタリアにおける伝説的カロッツェリアの名称を取得したルクセンブルク企業によるもので、彼らが会場で披露したのはマルチェッロ・ガンディーニによる1969年のショーカーを若きデザイナー、アンドレア・モチェリンが再解釈したモデルだ。販売予定価格は税別39万ユーロ(約7100万円)という。
過去のクルマを基に近代化を図るレストモッドも意欲的なものが数々みられた。また、「クォークス」に代表される少量生産ハイパーカーの多くが、エキセントリックな外観とは裏腹に、公道走行が可能であることを謳っていることもビジターたちの関心を誘っていた。
主催者発表によると、4日間で6万3450人が来場した。それは過去最高を記録したレトロモビル来場者層の若返りにも一役買ったようだ。実際にヘッドホンをしながら会場を楽しんだり、仲間とお気に入りの展示車を見つけては自撮りを楽しむ女子グループなど、従来のレトロモビルにはなかった光景が数々みられた。
そうしたなか著者にとっては、ある高級車ショップのブースでひとりの若者が呟いた言葉が印象的だった。「わっ、これって12年前のクルマなんだ。最新型みたいだよ」。
彼の視線を追うと、そこには2014年の「ラ・フェラーリ」があった。今日のクルマも十数年後に同じことを人々に言わしめるだけの魅力を備えているのか、興味深いところである。
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