肌寒いロンドンから、陽光が降り注ぐバルセロナへ
2023年シーズンのMotoGP第11戦カタルーニャGPの取材のため、9月の開催に合わせてスペインのバルセロナ・カタルーニャ・サーキットを訪れました。その名の通り、スペインの首都、マドリードに次ぐ人口の大都市バルセロナにほど近い場所にあります。わたし(筆者:伊藤英里)は約5カ月にわたって活動拠点としていたロンドンに別れを告げ、8月下旬にバルセロナへ移動。バルセロナも、バルセロナ・カタルーニャ・サーキットも訪れるのは初めてのこと。長袖で過ごす気温だったロンドンに比べると、バルセロナは暑くて日差しが強烈。けれど、スポットライトのごとく力強い陽光に、「ああ、スペインに来たんだな」と、感じたものです。
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ちなみに、2023年シーズンのMotoGPはスペインで3戦が予定されています。第4戦スペインGP(ヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエト)、第11戦カタルーニャGP、そして最終戦のバレンシアGP(リカルド・トルモ・サーキット)です。
さらに付け加えると、イタリアでは第6戦イタリアGP(ムジェロ・サーキット)と、第12戦サンマリノGP(ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ)の2戦が開催されるのが通例です。シーズン中、複数のグランプリが行なわれるのは、スペインとイタリアのみです。
かくしてたどり着いたバルセロナ・カタルーニャ・サーキットは、確かにバルセロナからそう遠くはありませんでした。バルセロナ・エル・プラット空港から約40kmの場所。距離としては日本GPの開催地である栃木県の「モビリティリゾートもてぎ」から「水戸駅」、あるいは「宇都宮駅」とほぼ変わりません。
ライダーたちは1991年にオープンしたこのサーキットについて、「バルセロナ」とか、「モンメロ」(サーキットはモンメロに位置している)などと呼んだりしています。
現地に到着し、ジャーナリストやフォトグラファーの仕事場であるメディアセンターがあるパドックから出てぶらぶらと歩いていると、広大な敷地内のラウンドアバウト(環状交差点)の外周にモニュメントを見つけました。近づいてよくよく見れば、今も語り継がれる歴代屈指のF1ドライバー、アイルトン・セナのモニュメントではありませんか。
セナのモニュメントには「RACING, COMPETING IS IN MY BLOOD, IT’S PART OF ME, IT’S PART OF MY LIFE(レースをすること、競い合うこと、それは僕の血に流れているものだ。僕の一部であり、僕の人生の一部なんだ)」という、セナの言葉が刻まれていました。
セナのモニュメントから顔を上げてくるりとラウンドアバウトを見回すと、1950年代に5度のチャンピオンに輝いたアルゼンチン人F1ドライバー、ファン・マヌエル・ファンジオのモニュメントなどもあり、ラウンドアバウトを囲んでいました。
カタルーニャ・サーキットに限らず、ヨーロッパのサーキットではよく、こうしたライダー(ドライバー)のモニュメントが設置されていたり、壁にライダー(ドライバー)が描かれているのを目にします。ライダー(ドライバー)という“アスリート”が成し遂げた功績を尊重しているのだなあ、と感じるのです。
汗をかきながら坂を上ると、ライダーのグッズを売るテントが並ぶ小さな広場に出ました。半そで短パン姿の観客たちが、お目当てのライダーのグッズのテントに並び、早めのランチをとろうとハンバーガーを買い込んでいます。
MotoGPライダーにはたくさんのスペイン人がいる──6度のチャンピオンに輝いたマルク・マルケスを始め、22人のレギュラーライダーのうち、10人がスペイン人ライダーなのです!──からか、特定のライダーがとりわけ人気、というわけではないようでした。
「これだけ多くのスペイン人ライダーがいるんだから、スペイン人だって“推し”を絞りきれないよねえ……(実際のところはどうなのか分かりませんけど)」
ただし、バレンティーノ・ロッシの人気はいまだ健在。カタルーニャに限らず、どのサーキットを歩いていても、ビビッドなあのイエローのTシャツを着て、帽子をかぶるファンに出会うことができます。それは、確かです。
じわじわと汗をかき、南の真ん中に昇ろうとする太陽の日差しを浴びて、またメディアセンターに戻ります。ちらりと見える、セナのモニュメント……そのラウンドアバウトは、決勝レースが行なわれる日曜日まで、何度も通りすがる場所になるのです。
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みんなのコメント
暑い日は嫌だけど。
シーズンオフのテスト走行とかも見てみたいな。