ナカニシ自動車産業リサーチ・中西孝樹氏による本誌『ベストカー』の月イチ連載「自動車業界一流分析」。クルマにまつわる経済事象をわかりやすく解説すると好評だ。第47回となる今回は、2025年9月9日、10年先を見据えた「技術戦略2025」を発表したスズキの「この先」を深読みする。
※本稿は2025年9月のものです
【画像ギャラリー】着々と進むスズキの「進化」をギャラリーでチェック!(6枚)
文:中西孝樹(ナカニシ自動車産業リサーチ)/写真:スズキ
初出:『ベストカー』2025年10月26日号
スズキが描く自社とクルマの未来
スズキは9月初めに、10年先を見据えた「技術戦略2025」を発表しました。技術展開の具体的な内容は2024年8月に示されており、今回はその進捗状況を更新することが主な目的となっています。
2025年2月に発表された新中期経営計画では、生活に密着した「インフラモビリティ」の実現を掲げています。その長期的な成長戦略を支える基盤こそ、今回更新された技術戦略に位置付けられるものです。
今回の重要なアップデートポイントは3点あります。
第1に、車体軽量化を目指す「Sライト」では、1470メガパスカル級ハイテン材およびホットプレスの採用拡大により、すでに80kgの軽量化にめどを付けました。この調子で進めば、目標の100kg削減を超え、最終的には120kgレベルの軽量化を目指すことになりそうです。
実際、発表の壇上で鈴木俊宏社長が高田本部長に向けて「じゃあ、120kgレベルを目指そうよ」と声をかけ、目標を引き上げる場面がありました。会場には笑いが広がり、スズキが本当に和気あいあいとした企業文化へと進化していることを感じさせる一幕であったのです。
第2に、軽自動車からAセグメントの電動化に適した48ボルト・スーパーエネチャージ(SEC)について、技術的な実現性が確保され、商品化のめどが立ったことが報告されています。この技術は電動化が難しい軽セグメントでの活躍が期待されています。
燃費性能を高め、48ボルト(マイルドHEV)でありながらストロングHEV並みのモーター走行を可能にする画期的な技術であり、日本市場に適した次世代HEVといえます。
第3に、Bセグメント向けに自社開発のシリーズHEV(SHEV)を導入し、将来的にはPHEVへの進化も視野に入れています。シリーズHEVは日産のe-POWERと同様で、エンジンは発電専用に用いられ、モーターで走行するハイブリッド方式です。
中国ではレンジエクステンダーEV(EREV/REEV)として急速に存在感を増しているシステムです。
ホンダやBYDはシリーズパラレル方式(クラッチを介してエンジンが車軸と直結するモードを持つ)、トヨタはスプリットパラレル方式(動力分割機構を用いた複雑な制御)を採用しており、各社が異なるアプローチをとり、それぞれが狙う価値と特性に違いがあります。
スズキが自前のSHEVを開発することは、トヨタとのアライアンスを維持しつつも、自社技術を進化させ、マルチパスウェイによる技術展開を加速させるというメッセージに聞こえます。
インド市場ではトヨタのTHSを採用したHEVモデルを投入していますが、スズキの価格帯ではほとんど受け入れられていません。
やはり、インドを中心とする市場環境に適したハイブリッド技術を自前で育てるという方針は、スズキの独立性と経営の継続性を確保するうえで不可欠だといえます。
組織の民主化が着実に進展している
スズキの技術戦略における注力ポイントは、従来の5つから6つに拡大しました。
従来は、(1)100kgの軽量化を目指す軽量かつ安全な車体「Sライト」、(2)48ボルト・スーパーエネチャージ(SEC)ハイブリッドを含む内燃機関およびカーボンニュートラル燃料の燃焼技術、(3)eビターラで先行投入するバッテリーリーンなBEV/HEV、(4)「ちょうどいいSDVライト(Right)」、(5)サーキュラーエコノミーの5本柱でした。
今回、新たにガソリン車におけるカーボンネガティブを実現するCO2キャプチャー技術が追加され、6本柱へとアップデートされています。
この新しいCO2キャプチャー技術は注目に値します。走行すればするほどCO2排出量を削減する、カーボンネガティブを推進する技術となっていく可能性があります。
カーボンネガティブといえば、インドで取り組まれているバイオガス(CBG)も牛糞由来の場合にはカーボンネガティブとなります。牛糞を放置すると、CO2の28倍もの温室効果を持つメタンガスを放出してしまいます。しかし、牛糞を原材料にバイオガスを生成すれば、その利用時にCO2を排出したとしても、ネットでは温室効果ガスの削減につながるのです。トヨタが目指すマルチパスウェイとはひと味もふた味も異なるのが、スズキのマルチパスウェイ戦略です。
今回の技術発表会に参加して感じたことは、スズキの技術本部において組織の民主化が着実に進展しているということです。
発表会では、個別技術の詳細説明よりも、将来技術に対する思想やシナリオ、チーム体制、取り組み姿勢といった「HOW」の部分に焦点が当てられていました。
かつてのスズキの技術本部は、故・鈴木修相談役のトップダウンの指示を待つ傾向が強かったと思います。しかし現在は、風通しがよく、独自性とオリジナリティを備えた、溌剌とした技術チームが形成されつつある印象を受けました。
その一例が「スズキ未来R&Dプロジェクト」です。
若い技術者たちの熱量を極大化し、チーム力を高める活動が進められています。若手から中堅のコアメンバー10名が主導して実行することで、熱量をもって組織の壁を越えた交流と挑戦ができる風土をつくっているのです。
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みんなのコメント
全世界で使えばCO2を大幅に減らせるけど、
何故かレアアースを大量に使い重量もある
EVを普及させようとする不思議。
環境保護を訴える連中も大きく重い高級車
に乗って移動してる時点で説得力が皆無。