報道陣も驚く、新型車発表会の様相
まるで、新型車発表会の様相となり、集まった報道陣も驚いた。
【画像】ホンダ、決算発表でまさかのワールドプレミア! 2台のハイブリッドコンセプト公開 全27枚
本田技研工業(以下、ホンダ)は5月14日、2026年3月期の決算を報告。2027年3月期の見通しに続き、『2026ビジネスアップデート』を公開した。
その中で、需要動向を見据えたパワートレーンポートフォリオ見直すと説明。これにあわせて、2台のコンセプトモデルがアンベールされたのだ。
名称は『ホンダ・ハイブリッドセダン・コンセプト』と『アキュラ・ハイブリッドSUVコンセプト』。前者はセダンと名乗っているものの、ファストバックなスタイリングが特徴。後者については、アメリカで言えばミッドサイズSUVに相当するサイズ感で、フロントマスクはいかにもアキュラらしいデザインだ。
両モデルとも車両スペックについて詳しいデータは公開されていないが、ホンダの主力市場である北米での稼ぎ頭になる可能性が高い。
それにしても、通期決算報告の場でこうした新型車がワールドプレミアされることは極めて珍しい。ホンダがなぜ、そこまでのプレゼンテーションを実行したのか。背景にあるのは、ホンダの中長期事業計画の大幅な見直し。
2010年代後半から2020年前半にかけて、アメリカ、欧州、中国でEV拡大のトレンドが明確化したが、2023年以降は特にアメリカでのEV需要が横ばいから下降に転じ、ホンダとしてEV戦略の見直しが必要となったのだ。
『2040年新車100%EVおよびFCEV』の目標は撤回、EVは『需要が来た時には確実に対応』
電動化を含めてホンダは中長期方針として『自由な移動の喜び』を改めて掲げ、2050年にカーボンニュートアルと交通事故死者ゼロをめざし、総合モビリティカンパニーとしての責務を果たすとしている。
その上で、柔軟性、選択の幅を持たせながらも、『需要が来た時には確実に対応できる着実な技術の仕込みを行う』という表現を用いた。
具体的には、パワートレーンの選択肢としてはEVのみならずハイブリッド(HEV)を挙げた。さらに、カーボンニュートラル燃料を使う内燃機関(HEV含む)やカーボンオフセット技術などを取り入れた多角的アプローチでカーボンニュートラル実現を目指すとしている。
つまり、これまで掲げてきた『2040年、グローバルで新車100%EVおよびFCEV』という目標を事実上撤回したわけだ。質疑応答の中で三部敏宏社長がその事実を認めた。
背景には外部環境の変化があるが、ホンダの場合は特に北米市場への依存度が高く、オバマ、バイデン両政権での環境関連政策が第2次トランプ政権で180度転換してしまったことが、北米向けEV戦略の抜本的見直しに大きく影響した。
三部社長は『ゼロ・シリーズ』について2024年時点で量産化に向けたGOがかかっており、2025年時点では「引くに引けない状態」にあったと当時を振り返る。
北米市場の状況はさらに先行き不透明となったことから、ゼロ・シリーズの『サルーン』と『SUV』の開発停止を余儀なくされたのだ。
上場初の赤字は4239億円と巨額、日本では2028年にEV版N-BOX導入
北米でのEV戦略を見直すとはいっても、2030年代にはEV市場が拡大する可能性は否定できない。そのため「しばらく不透明な時代が続くため、従来のようなEV1本ではなく柔軟な構えを築く」という戦略に転換する。
その上で、足元では開発、生産リソースを需要の高いHEVに再分配する。
従来の予定でも、2027年からHEVシステムとプラットフォームを刷新した次世代HEVを投入するとしていたが、今後さらに投入するモデルを積み増す。
具体的には、北米を中心に2029年度までにグローバルで15の新型ハイブリッドモデルを投入する。今回お披露目された2台はその一部だ。これらとは別に、2029年に北米でDセグメント(ミッドサイズ、フルサイズ)以上の大型HEV投入を明らかにした。このセグメントは競合車が少ないことから、ホンダとして高い収益性を期待している。
また、パートナー企業との関係性も抜本的に見直す。中国ではこれまで協業してきた中国地場メーカーのプラットフォームを活用した電動車の共同開発の検討に入った。
そのほか、インドではこれまでのホンダの量産車開発のプロセスとは大きく異なる、リードタイムを大幅に短縮する開発から量産までの仕組みを取り入れ、競合他社に対抗する。
日本国内では、2028年にEV版N-BOX導入を明言。次世代HEVは、2027年以降にSUVへ順次導入し、2028年には次世代ADASも搭載する新型ヴェゼルが登場する。
2026年3月期は、北米EV投資に関する巨額損益計上が主な要因となり、ホンダが上場以来初の通期赤字となった。これを機に、ホンダとしてはグローバルでの厳しい競争環境の中、クルマづくりをゼロベースで考え直す機会になったと言えよう。
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