エコカーを新車として購入した際に支給される「エコカー補助金」は、2025年12月の法改正によって基準が変わり、すでに2026年1月1日からその大部分の適用が始まっている。この制度の適用を受けるにはさまざまなルールがあり、それを知らずに買うと「え、そうだったの!?」となりがち。そこでエコカー補助金に潜む代表的な“落とし穴”をピックアップし、購入前に知っておくべき注意点を整理したい。
文:鈴木喜生/写真:トヨタ、日産、BMW Japan、写真AC
【画像ギャラリー】エコカー購入前に知っておくべきポイントとは?(6枚)
エコカー補助金とは?
「エコカー補助金」とは、環境に優しいエコカーを購入する時にもらえる補助金のこと。つまりEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、HEV(ハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)など、CO2(二酸化炭素)の排出量が少ないモデルがその対象となり、純ガソリン車や純ディーゼル車は対象外とされる。
エコカー補助金とはいわゆる通称で、一般的には「CEV補助金」と呼ばれる。CEVとは「クリーン・エネルギー・ビークル」の略称だ。また、お役所的な正式名称は「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」という。
エコカー補助金は2009年から続いているが、その内容や基準はコロコロ変わってきた。そして2025年末にも法改正が行われ、補助金の額が大きく見直されている。
例えばEVの場合、これまでの上限90万円が130万円へと最大40万円引き上げられ、一方でFCVは上限の255万円が150万円へ一気に105万円引き下げられた。
この新基準は、EV、PHEV、HEVについては早くも2026年から適用されている。つまり、2026年1月1日以降にこれらの新車を購入し、新規登録(初度登録)した場合にはすでに申請可能だ。ただし、FCVだけが2026年4月からの適用となる。
このようにエコカー補助金は、ユーザーにとってありがたい制度だが、知っておかないと「え?」となる落とし穴がいくつかあるので、それを確認しておきたい。
落とし穴1 「最大額=自分がもらえる額」ではない
官公庁や自動車メーカーのホームページでCEV補助金(エコカー補助金)の説明を見ると、「EV 130万円」などと書いてあるが、すべての対象車種が満額補助されると思ったら大間違い。これはあくまで補助の条件をフルで満たした時の額で、実際には購入したモデルのグレードや装備などによって金額は変化する。
どのモデルがどの程度の補助を受けられるかは、そのモデルが販売される時点ですでに決定されている。
つまり、自動車メーカーが提出した性能データをもとに、一般社団法人「次世代自動車振興センター」(NeV)という検査機関が各モデルに得点(200点満点)を付け、それに応じて補助額を割り当てているのだ。
そしてその検査項目はモデルの性能データだけでなく、メーカーにおけるGX(グリーン・トランスフォーメーショ)への取り組み、充電インフラ整備の拡充、アフターサービスの体制、サイバーセキュリティ、リサイクル体制、鋼材の調達方法などにまで及ぶ。
自分が購入しようとしているモデルが、どの程度の補助金を受けられるかは、次世代自動車振興センターのHPや、自動車メーカーのサイトなどで確認できる。
落とし穴2 「車両価格が下がるわけではない」
購入するモデルがCEV補助金の対象になっているからといって、ディーラーで購入する際に、車両価格から補助金の額がそのまま割り引かれるわけではない。
まずはディーラーに車両の代金を支払う。と同時に、CEV補助金を申請する。すると数カ月後に、そのモデルに割り当てられた補助金が振り込まれる、という仕組みだ。そのため、車両の実質価格が下がると勘違いすると、資金計画とのズレが生じるので注意したい。
落とし穴3 CEV補助金は実は「早いモノ勝ち」
これは最重要ポイント。というのは、CEV補助金には年度ごとの「予算枠」と「申請期間」があり、その予算が底をつけば受付は早期に終了してしまうのだ。そのため「新車を買ったのに、申請しようとしたら締切になっていた!」という事態が頻繁に起きている。
過去の例でいうと、2022年6月に発売された日産「サクラ」や「三菱 eKクロス EV」が爆発的に売れたため、年度末までもつと予想されていた補助金予算が早々に枯渇している。その結果、同年10月末~11月中旬には受付が終了してしまった。
また2023年にも予想以上に申請件数が多く、申請終了の見込み時期が何度もアナウンスされるという事態が発生。結果的には年度末を待つことなく、2024年2月13日までに申請受付が終了した。つまりCEV補助金は「早いモノ勝ち」なのだ。
落とし穴4 勝手に処分はNG! 「4年間の保有義務」がある
CEV補助金を受けた自家用車の場合、原則として4年間の保有義務期間がある。これは処分制限期間(保有義務期間)と呼ばれ、初度登録(新規登録)日から原則4年(または一部で3年)の間、車両を保有し続けなければならない。
つまりこの間、売却、譲渡、廃車、処分など、所有権を移す行為は認められない。事故や転居など、やむを得ない事情で期間内に車両を処分する場合には、事前に次世代自動車振興センターに承認申請をすることになるが、その承認が得られた場合にも補助金の全額または一部の返納義務が発生する。
また、無断で処分した場合には保有期間に応じて補助金の一部(または全額)が求められる可能性が高い。次世代自動車振興センターでは、こうした違反が行われていないか定期調査を実施しており、ほぼ100%の確率で発覚すると考えたほうがよいだろう。
落とし穴5 「補助金が多い=お得なクルマ」ではない
「CEV補助金がもらえるなら、エコカーに乗り換えたほうがお得だね!」と考えるユーザーもいるだろう。ただし、ここでもいくつか確認したいポイントがある。
まず、EV、PHEV、FCVなどは、そもそも純ガソリン車と比べて車両価格が高い。そのため補助金による割引額が大きくても、選択するモデルによっては純ガソリン車などと比べ、ユーザーの支出は減らない場合が多い。
また、この制度のおかげで購入価格は大幅に下がるが、自宅に充電設備を新設する場合などは、そのコストも考慮する必要があるだろう。また、保険料などの付帯費用も試算しておきたい。
つまりエコカー特有のランニングコストを計算に入れておかないと、CEV補助金が適用されるモデルを選択した場合でも、これまでの愛車よりも支出が増える場合があるわけだ。
落とし穴6 「申請はディーラーが全部やってくれる」わけではない
CEV補助金は、一般的にはディーラーがほとんどやってくれる。ただし、ここにも要チェックポイントがある。
多くの国産ディーラーの場合は、CEV補助金の申請を無料代行してくれるケースが多いようだ。ただし、一部の店舗では、数千円から1万円程度の「代行手数料」を諸費用に含める場合がある。見積書の「諸費用」欄を確認した際、「補助金申請代行費用」や「行政書士等委託費用」などに金額が入っていたら有料だ。その場合にも、自身で申請するから代行料を削ってほしいと交渉すればよいだろう。
有料申請サービスを回避する場合は、自身で申請することになるが、その申請先は次世代自動車振興センターとなる。
オンライン申請する場合は、スマートフォンやPCから「車検証」や「領収書」などの必要書類を画像データ(PDFや写真)でアップロードし、その資料とともに専用サイトから申請書する。オンライン環境がない場合は郵送でも申請可能だ。
こうした落とし穴に注意さえすれば、この補助金はユーザーに大きなメリットをもたらすだろう。
ちなみに、2025年末、CEV補助金におけるFCVに対する補助基準が大幅に見直されたのは、実はアメリカからの批判を受けたことが原因とされている。
一部報道では、米通商代表部(USTR)が2025年3月、日本のお家芸とされるFCVの補助金が米国が力を入れているEVよりも高いことを指摘し、制度が非関税障壁のように機能していると問題視したと伝えられている。
これを受けて日本政府は、EVの補助金を上げ、FCVを下げるよう調整し、その公平性を確保することになった。
ただし、FCVの普及率を考えれば、この改正は多くの日本人にとってもお得な結果をもたらしたといえるだろう。
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みんなのコメント
つか税金ここまで使って日産の6500億円の赤字って重罪だよな。