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「厳しいからこそやりがいもある」。佐藤琢磨と歩んだ7年、須藤メカが日本人初のクルーチーフとして挑むインディ500

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「厳しいからこそやりがいもある」。佐藤琢磨と歩んだ7年、須藤メカが日本人初のクルーチーフとして挑むインディ500

 今年の第110回インディ500に挑む佐藤琢磨のカーナンバー75のクルーチーフは、レイホール・レターマン・ラニガンの須藤(すとう)翔太が務める。インディカーには過去日本人メカニックは何人か存在したが、日本人がクルーチーフとなるのは実質的に初めてだ。

 須藤と書いて『すとう』と読む姓は、彼の出身地福島県にはよくあるそうで、名前を『すどう』と誤記されたことは、幾度もあるという。一見、朴訥とした感じだが、手先が器用でステッカーを自作したり、時にはチーズケーキを焼いたりする意外な一面もある。

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■「2~3年で出れなかったら永遠に出れない」意を決した海外デビュー

 福島県喜多方市出身で1993年生まれの32歳。小学生の頃にテレビでF1を見て佐藤琢磨に憧れ、スイミングスクールの検定試験もサボってF1を見るほどの入れ込みだったそうだ。

 高校卒業後モータースポーツの世界で働く事を目指し、レース界に多くメカニックらを輩出したNATS(日本自動車大学校)に入学した。そこでNATSの講師に菅生のフォーミュラニッポンに誘われ、インターシップで無限のサポートを体験。スポット出場した琢磨のクルマの手伝いもした。

 NATSを卒業後に中嶋レーシングに入って、本格的にモータースポーツの世界へ。その後KONDOレーシング、トムスと渡り歩いた。トムスではスーパーGTを主に担当したが、チームタイトルも獲得している。

 国内のレースはひと通り経験していたが、メカニックを志した時から海外へ行きたいという気持ちは変わらず、トムスの山田淳氏に相談すると「海外に出るんだったら早めに出ろ。2~3年で出れなかったら永遠に出れないぞ」とアドバイスを受けると、2019年終わり頃からインディカーの全チームとIMSAのいくつかのチームに履歴書を送って打診をし始めた。

 その中でレイホールでの採用が決まった矢先に世界中がパンデミックとなり、波乱の海外メカニックデビューとなった。

 2020年は琢磨のクルマの担当ではなかったが2021年から琢磨のマシンを担当に。以降も22年のデイル・コイン、23年にはチップ・ガナッシと、琢磨の移籍とともにチームを動いた。24年に琢磨はレイホールに戻る形となったが、トップチームのチップ・ガナッシからは離れ難く、この年は一度袂を分つ形に。

 それでもチップ・ガナッシは24年終了後に翌年のインディカーの体制を4台から3台に縮小する事を決め、大幅に人員を削減した余波もあり、25年からふたたびレイホールに戻って琢磨のクルマを担当することになった。

 25年はシーズンを通してデブリン・デフランチェスコのクルマを担当しながら、インディ500は琢磨のクルマを製作。オープンテストのクラッシュ後は、さらにもう1台マシンを作り直すという大作業となった。それでも琢磨がフロントロウ2番手という予選グリッドに着けたのは、須藤メカ始め、75号車のクルーの苦労の賜物に他ならない。

 インディカーで7年目となった今年も琢磨のクルマを担当し、尚且つクルーチーフという重責を負うことになった須藤メカ。

「今年はチーム内の異動もあり、責任も負う立場にもなりました。チームのなかでも僕の仕事を評価してくれる人もいれば、そう思っていない人もいるかもしれません。そこはアメリカ人相手ということもあって難しいですが、仕事で示すしかありません」

「アメリカのチームで働くというのは、考え方も文化も違うし、レイホールのチームのなかでもっとコミュニケーションを深めていければ良いなと思う部分もあります。75号車がインディ500のスポット出場ということもありますが、もっとうまくやれるんじゃないかと、いつも考えながらやっています」

「一度チップ・ガナッシというトップチームで働くといろいろと見習って勉強する部分もありましたから、ウチのチームも改善していきたいという思いもあります」と今年の意気込みを語る。

 インディ500予選までの仕上がり具合を聞くと「今年はここまでレースセットアップもなかなか決まらず、予選でもエンジニアのエディ・ジョーンズがギリギリでセットアップの変更があったりと、いろいろありました。ちょっとした違いでこんなに差が出るんだなと、今年は実感しましたね。少しの変化で、コンマ数マイルの差がつくので厳しい戦いだったと思います」と振り返った。

 彼自身7回目のインディ500となるが、今年への思いは「いい加減自分のクルマでインディ500勝ちたいですね。運転手さんがちゃんと止まってくれれば(笑)、ピットワークは大丈夫だと思いますよ。今年のピットボックスは前がスコット・ディクソン、後ろがアレクサンダー・ロッシと信頼できるドライバーですし、問題はないと思います」。

 須藤メカの夢を叶える場所でもあるアメリカ。ここへ来て今彼が思うのは「アメリカに来て良かったのは、世界三大レースのインディ500で毎年レースできるのは良いことだし、このレースに勝てればメカニックとしても名前が残りますからね。日本にはないことですし、今年110回目という歴史と文化の違いを感じます」

「アメリカのチームは、自分で仕事を作っていく人はどんどん仕事があるし、それができないと消えてしまう。それだけ厳しい世界ですけど、アメリカってどの業種でもそういう世界です。レースの世界は結果が出るから尚更です。だからこそココでやりがいもありますからね」。

 今年琢磨がインディ500で3勝目の金星を挙げたとすれば、それは須藤メカにとっても大きな金字塔になるだろう。

(Photo & Text : Hiroaki Matsumoto)

[オートスポーツweb 2026年05月21日]

文:AUTOSPORT web
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みんなのコメント

2件
  • do1********
    自分もNATSの卒業生ですが誇りになります。ぜひ佐藤琢磨選手とともに優勝へ。
  • m_o********
    レイホールもレイハルと間違って呼ばれてた
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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