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時代は変わった──2台の最新キャデラックの“変化”と“伝統”とは?

キャデラックの新型セダン「CT5」と新型SUV「エスカレード」を見た今尾直樹が、最新の“アメ車”の魅力を考えた。

仕上がり具合はまるでヨーロッパ車もかくや

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これがアメリカ車か……。さる1月、都内某所で見たキャディラックの最新ラグジュアリー・セダンのCT5とフルサイズSUVのエスカレードの実車をつらつらと眺めるにつけ、筆者は正直たまげた。

このとき一緒に展示してあったコンパクトSUVの「XT4」も含めて、内外装のきっちりした仕上がり具合はまるでヨーロッパ車もかくやだ。意地悪な見方をすれば、どこか日本車、もしくは無国籍風にも思えるけれど、どのモデルも内装にはホンモノのウッドと本革が用いられ、レザーには完璧なスティッチが施されている。

驚きのひとつにCT5のサイズもくわえていいかもしれない。全長4925×全幅1895×全高1445mm。ホイールベースは2935mmである。ちょうどBMW「5シリーズ」ぐらい。正確には、5シリーズより50mm短くて、25mm幅広く、35mm低い。ホイールベースは40mm、おおよそ全長分、短いけれど、インターナショナルなサイズのアッパーミドル・サルーンである。

真横から見ると、キャビンの大きさが印象的で、CT5の上の「CT6」は本国ではカタログから消えてしまったから、いまのところCT5がキャディラック・セダンの旗艦ということになる。

パワートレインも驚きだ。本国には3.0リッターV型6気筒ガソリンツイン・ターボもあるけれど、日本仕様はとりあえず2.0リッター直列4気筒ガソリン直噴ツイン・スクロール・ターボのみである。これに10速ATを組み合わせたRWD、もしくはAWDの設定がある。

2.0リッターの4気筒直噴ターボがキャディの心臓なのだ! と、驚くほど筆者も時代錯誤ではありませんが、それにしてもなぁ……と思ってしまうこともまた確かである。

2.0リッター・ターボは最高出力240psと最大トルク350Nmを発揮するというから、BMW5シリーズでいうと523iの上の530iと最大トルクはおなじだ。車重は1690kgの530iに対して、RWDのCT5は1680kg。これで価格は560万円である。523iで678万円、530iは844万円もするのだから、「なんでこんなに安いのか!」と、当欄担当の編集者が絶句したのも当然だ。アウディ「A6」の最廉価モデルは745万円、メルセデス・ベンツ「Eクラス」は769万円である。レクサス「ES」だって599万円。

なにより、内装の安っぽさはアメリカ車の鷹揚さと寛容さのあらわれ、民主主義の表現だ、と、筆者なんぞは思っていたし、そう教わった。1970年代のアーサー・ヘイリーの小説『自動車』とか、1980年代の映画『ガン・ホー』とかで見知った世界から想像するアメリカ人の労働者には絶対につくれない、と思い込んでいたレベルの品質感をCT5は備えている!

エスカレードはアメリカ車の従来の価値観そのもの

いまや鷹揚さなんてものはグローバル市場では通用しない。ということなのだろうけれど、あまりの変貌ぶりに、どういうアメリカ車像を描けばよいのか、むしろ戸惑う。新しいアメリカ車を表現することばを、私たちは、少なくとも私はまだ持っていないのだ。

そういう意味では、新型エスカレードも驚きだったけれど、理解はしやすい。「大きいことはいいことだ」という、アメリカ車の従来の価値観そのままだからだ。

3サイズは5382×2060×1948mm、ホイールベスは3071mmもある。先代エスカレードより187mmも長くて、15mmワイドで、58mm背が高い。ホイールベースは121mm延びている。ロールス・ロイスのSUV「カリナン」よりボディは若干大きく、大英帝国の象徴的な存在が横に並ぼうと、いささかも臆するところがない。3列7人乗りの室内はフロアが低くなっていて、居住空間が広がっており、3 列目シートに座って前方を眺めると、まるで小型のバスみたいだ。

運転席に座ってみて驚くのは、ダッシュボードがほとんど一面、OELD(Organic Electro Luminescence Display=有機ELディスプレイ)のスクリーンで覆われていることで、エンジンがオフの場合、当たり前だけれど、真っ黒なわけである。運転席正面のスクリーンは湾曲している。その一面真っ黒のスクリーンを見ていると、宇宙空間に吸い込まれるような心持ちになった。有機ELディスプレイの採用は自動車業界初だそうである。

36ものスピーカーで構成されるAKGのオーディオ・システムも業界初だ。AKGは1947年にオーストリアのウィーンで設立された音響機器のメーカーで、レコーディング・スタジオや放送局、映画スタジオ等で使われているという。スマホ用のヘッドフォンも有名らしい。

1994年に、JBL、ハーマン/カードン、インフィニティ、マーク・レビンソンなど、自動車用のオーディオでも有名なブランドの数々を所有するハーマン・インターナショナルの傘下に入り、そのハーマンは2014年にサムスン電子の子会社になっている。サムスンといえば、OELDで、つまりキャディラックは革新的製品として韓国製を採用しているわけである。日本の家電産業は20世紀で終わった……と、わかっちゃいるけど、ちょっとせつない。

プラットフォームも進化している。これまでのエスカレードがシボレーやGMCのトラック用をそのまま使っていたのに対して、新型はリアに独立式サスペンションを採用している。GM自慢の可変ダンピング・システム、マグネティックライドコントロールは改良を加えた最新版を使う。

オプションで、最低地上高を任意に上げ下げできるエア・サスペンションを装備することもできる。リアがリジッドでトラック的だった乗り心地、あれはあれで味だったとは思うけれど、とハンドリングは大幅に改善済みだという。

アメ車は技術的に再び世界をリードするのか?

エンジンは先代譲りの6.2リッターV8OHV自然吸気。シボレー「コルベット」や「カマロSS」とも共通の、これぞアメリカンV8だ。最高出力426ps、最大トルク623Nmという数値は先代と同じながら、ギアボックス は8速ATから10速ATへと多段化し、動力性能と燃費の向上を図っている。駆動方式は、セレクタブル4WDという、RWDからフルタイム4WDまで任意に選択できるシステムを先代同様、採用している。

日本では使えないのははなはだ残念ながら、CT5も新型エスカレードも「スーパー・クルーズ」という運転支援システムを備えている。あまたのカメラ、レーダーとナビゲーション・システム、さらにドライバーがどこを向いているかを監視するシステムを連動させ、32.2万kmにおよぶ米国とカナダのハイウェイをハンズ・フリーで走行できるという。

第2次大戦前のキャディラックは世界に冠たる高級車だった。世界初の量産V8やV16なんていうお化けエンジンをつくったりして、パッカードやデューセンバーグなどとともに、高品質と高性能でもって世界に名を馳せた。

戦後もキャディラックはパワー・ステアリングやエアコン等、革新的な技術を次々と生み出し、空をも飛ぶがごとくテールフィンをそびえたてた。1960年代まで、アメリカ合衆国はヨーロッパを上まわるラグジュアリー・カーをつくっていたのである。

そうしたよき時代のアメリカ車を同時代的には筆者は知らず、いま見ているアメリカ車がアメリカ車の昔からの姿だった、と、思い込んでいる。ところが、いま見ているアメリカ車が大きく変わろうとしている。中心に、テスラとイーロン・マスクがいる。ということに異論はないと思いますけれど、100年に一度の大変革期のさなか、キャディラックもまた大変革期にある。

本年2月にNASAが公開した、火星にパーサヴィアランスなる探査車を着陸させた動画を見るにつけ、やっぱりアメリカは技術大国であると思わされる。

そう考えると、アメリカ車が技術的に再び世界をリードしたって不思議でもなんでもない。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)

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