現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 知ってるか? 減衰力調整は “硬くなる” ワケじゃないぞ!【TOYOTA GR86 長期レポート13_AE86~GR86への道】

ここから本文です

知ってるか? 減衰力調整は “硬くなる” ワケじゃないぞ!【TOYOTA GR86 長期レポート13_AE86~GR86への道】

掲載 24
知ってるか? 減衰力調整は “硬くなる” ワケじゃないぞ!【TOYOTA GR86 長期レポート13_AE86~GR86への道】

減衰力とはバネの動きを抑える力だ!

エンドレスのサスペンション開発テストに参加させてもらった筆者・加茂。

GR86 オーナーじゃないとわからない!TOYOTA GR86 長期レポート AE86~GR86への道

前回から自身のGR86にプロトタイプを取りつけ、普段乗りからサーキットまで幅広くテストを行ない、仕様を変えていったことをお伝えしているが、そこであらためて体感したのは、減衰力について。今回は減衰力について見ていこう。

ファッ? 太古の昔からFR車はフロントバネレートのほうが高いが定番だのに、GR86はリヤが高いの!?【TOYOTA GR86 長期レポート12_AE86~GR86への道】むか~しむかし、その昔から! FR車はフロントバネレートのほうが高いのがド定番(だったはず)。だが、GR86はどうやらそうでもないようだ。そして、そこには確固たる理由…motor-fan.jp前回のオハナシはこちらから。車高調の減衰力調整はサスペンションセッティングの第一歩であり、最後の決め手でもある。

締め込むとサスペンションが動くのを抑える力が強くなり、ゆっくりと沈み、ゆっくりと伸びるようになるのだ。乗り心地としては、段差に乗るとサスは一気に沈もうとする。それを減衰力が強いと抑え込もうとするので、サスだけが沈む前にボディが持ち上げられドライバーに衝撃が伝わる。サスペンションが硬くなったと感じられることも多い。

逆に減衰力を弱めるとサスは素早く伸び縮みするようになる。段差などの衝撃は吸収し、ショックを吸収したあとも素早く伸びる。
路面追従性としては減衰力を弱めたほうが良くなるが、乗り心地としては、サスが伸びたり縮んだりしすぎてフラフラしているように感じることもある。

まず、こういったことが大前提なので、そもそも「もうちょっとリヤを硬めたいから、減衰力を締め込もう」というから話がおかしくなるのである。

硬くする=沈み込む量を減らす、ということであれば、それはバネレートが受け持つ話。
クルマの車体はバネが支えている。その動きが速すぎるときに抑えるためにあるのがダンパーの減衰力なのだ。

そんなわけで、ブレーキング時にフロントサスが沈み込みすぎて怖いとか、不安定になるというならフロントのバネレートをアップさせる。簡易的に減衰力を締め込んでみると、擬似的にフロントの沈み込む量を抑えられるが、沈み込むまでの時間が稼げるだけで根本的な解決にはならないことを憶えておきたい。

エンドレスのフロントの減衰力調整はストラット式サスは倒立構造なので、下側に位置する。ステアリングを左右に切って手を入れれば調整できるぞ。減衰力が強すぎると弊害も!

サーキットでは少しでも速く走りたい。ブレーキは短く終わらせて曲がりたい。そうなるとブレーキングは強くなる。減速したらブレーキを弱めて、ステアリングを切り込んでいく。
だが、このときにフロントの減衰力がたっぷりと効いていると、なかなかフロントサスが伸びてこない。
曲がるときにはフロント荷重が必要と言われるが、フルブレーキをしたら、そこからブレーキを緩めてフロントサスを伸ばしてきて、荷重をややリヤに戻してからでないとクルマは曲がりにくい。

とくに年々タイヤが進化していることで、フロントタイヤに荷重をかけすぎないほうが曲がるようになってきた。
そうなるとブレーキを緩めたときにすばやくサスが伸びてくれないと、クルマが曲がってくれないのである(減衰力が強いと曲がり出すまでに待たなくてはいけない)。

「まずは減衰力を抜いてみよう」という提案

それらの理由もあり、今回エンドレスと行ったサスのテストではフロント10kg/mm、リヤ12kg/mmというやや高めのバネレートに落ちついた(前回参照)。
ある程度スプリングレートを高くして、減衰力を弱めたほうが姿勢変化を素早くできて、サーキットで次の挙動に移りやすく走りやすいのだ。

リヤは12kg/mmのスプリングと3.5kg/mmのヘルパースプリングを組み合わせて、伸び側のストローク量を確保する。それは全体的なサスペンションに共通して言えることで、じつは減衰力を緩めると乗りやすくなることが多い。ついイメージからサーキットでは締めて、普段は緩めてという方も多いが、セットが決まってくれば街乗りでもサーキットでもあまり変わらない。速度域があがるぶん、サーキットではわずかに数段締め込むくらいだろうか。

タイムやスキルが壁にぶつかっていることを実感していたら、モノは試しと減衰力を思い切って緩めて乗ってみてはどうだろう、というのが加茂からの提案だ。

今回のGR86用サスペンションでは、バネレートをやや高めにしてセットした。合わせて減衰力はバネの邪魔をしないようにセット。そもそものサスペンションの抵抗が大きいと、硬いバネを入れたときに邪魔をしてしまいがち。その抵抗が少ないからこそ、バネレートを高くしても快適に使えるとも言えるのだ。
そして加茂のGR86チューニングは、さらに続く……。

関連タグ

こんな記事も読まれています

三菱ふそうが「ジャパントラックショー2024」に出展! 新型モデル「スーパーグレート」特別仕様車や新型「eCanter」キャリアカー展示
三菱ふそうが「ジャパントラックショー2024」に出展! 新型モデル「スーパーグレート」特別仕様車や新型「eCanter」キャリアカー展示
くるまのニュース
【バイク版ナビ】「MOTTO GO」プレリリース版が公開!カーナビの名門パイオニアが7月提供予定サービスを先取り体験だ!  
【バイク版ナビ】「MOTTO GO」プレリリース版が公開!カーナビの名門パイオニアが7月提供予定サービスを先取り体験だ!  
モーサイ
「ご当地ほりにし」国内2県で新たな地域限定ラベルが登場!
「ご当地ほりにし」国内2県で新たな地域限定ラベルが登場!
バイクブロス
フィアット500に、1.2Lエンジンを搭載する新グレード「1.2 Dolcevita」を設定
フィアット500に、1.2Lエンジンを搭載する新グレード「1.2 Dolcevita」を設定
月刊自家用車WEB
「アップガレージ青森三沢店」が5/12にプレオープン!
「アップガレージ青森三沢店」が5/12にプレオープン!
バイクブロス
トーヨータイヤ、EV専用を含む小型トラック向けに2種類の新製品
トーヨータイヤ、EV専用を含む小型トラック向けに2種類の新製品
日刊自動車新聞
トヨタ新型「カローラ“クロス”」発表! 「レクサス」級にカッコイイ「斬新フェイス」へ刷新! 新型「コンパクトSUV」約494万円から ブラジルに登場
トヨタ新型「カローラ“クロス”」発表! 「レクサス」級にカッコイイ「斬新フェイス」へ刷新! 新型「コンパクトSUV」約494万円から ブラジルに登場
くるまのニュース
ついに登場 メルセデス・ベンツ新型「Gクラス」世界初公開! 初の電気駆動Gクラス「G580」は“その場で旋回”できる機能を搭載!?
ついに登場 メルセデス・ベンツ新型「Gクラス」世界初公開! 初の電気駆動Gクラス「G580」は“その場で旋回”できる機能を搭載!?
VAGUE
ラウル・フェルナンデス、ヘレステストで最新型アプリリアMotoGPマシン初ライド。直前のスペインGPでは昨年型使用
ラウル・フェルナンデス、ヘレステストで最新型アプリリアMotoGPマシン初ライド。直前のスペインGPでは昨年型使用
motorsport.com 日本版
香りや消臭力を3段階で調整可能!P&Gが車内用の「ファブリーズ」を12年ぶりに改良
香りや消臭力を3段階で調整可能!P&Gが車内用の「ファブリーズ」を12年ぶりに改良
@DIME
海洋マイクロプラスチックを回収するスズキの船外機
海洋マイクロプラスチックを回収するスズキの船外機
バイクのニュース
ランボルギーニPHEV第二弾はウルス!「SE」が見せつけるスーパーSUVとしての格
ランボルギーニPHEV第二弾はウルス!「SE」が見せつけるスーパーSUVとしての格
Webモーターマガジン
三菱 デリカミニ【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
三菱 デリカミニ【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
ミラーとタイヤとホイールをとことん突き詰めたら600kmオーバー! アウディEV史上最長の航続距離を実現するパッケージが登場
ミラーとタイヤとホイールをとことん突き詰めたら600kmオーバー! アウディEV史上最長の航続距離を実現するパッケージが登場
THE EV TIMES
富士スピードウェイ、WEC富士のポスター付き観戦券を4月25日から先行発売
富士スピードウェイ、WEC富士のポスター付き観戦券を4月25日から先行発売
AUTOSPORT web
2500円!? 「高速SAで寝れる」のサイコー! 車内よりも楽!? 宿泊も可能な“多賀”の新ルームとは
2500円!? 「高速SAで寝れる」のサイコー! 車内よりも楽!? 宿泊も可能な“多賀”の新ルームとは
くるまのニュース
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】混雑を避けて移動したい! 道路別・渋滞予測まとめ
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】混雑を避けて移動したい! 道路別・渋滞予測まとめ
くるくら
超レトロな「新型スポーツカー」登場へ 6速MT×丸目4灯がカッコイイ! 光岡新型「M55」25年にデビュー 旧車デザインに込められた“意味”とは
超レトロな「新型スポーツカー」登場へ 6速MT×丸目4灯がカッコイイ! 光岡新型「M55」25年にデビュー 旧車デザインに込められた“意味”とは
くるまのニュース

みんなのコメント

24件
  • ストラット式よりもダブルウィッシュボーン式のバネレートが高くなるのは普通なのでは。
  • 派手な改造して排気音は大きいいけど加速はトロい86。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

291.6392.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

189.0777.0万円

中古車を検索
GR86の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

291.6392.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

189.0777.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村