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2018年11月27日にロサンゼルス・モーターショー2018の前夜イベントで、マツダは新型「マツダ3」を初公開した。マツダ3の名称はこれまで海外で使用してきた車名で、日本では「アクセラ」の名称だったが、この新型からは日本でも「マツダ3」と改称する。
第2世代商品の先駆け
LAショーではマツダ3(北米仕様)のアンベールで、セダンとハッチバックが並べられた。ハッチバックは北米市場ではマーケットが小さく、メインはセダンである。アメリカだけでなく世界一の大市場である中国でもセダンがメインで、ハッチバックはヨーロッパ、日本などがターゲットになのだ。
マツダがすでに予告していたように、このマツダ3がスカイアクティブ・テクノロジーの第2世代のトップバッターだ。マツダにとってはCX-5とマツダ3がグローバル販売の2本柱であり、そのマツダ3が次世代技術を投入する第1号となるわけだ。マツダは中期経営計画の「構造改革ステージ2」を展開し、ブランド価値訴求による正価販売の推進、車両残価の改善、グローバルでの販売力の強化、アメリカをはじめとする販売ネットワーク改革を行なってきたが、グローバルでの販売競争激化により1台当たりの収益が低下し、主に米国市場での販売台数と収益が目標に到達できなかった。
したがって、2019年~2022年の4年間は本格的な成長への足場固めの時期とされ、以前から開発が進められていた第2世代のテクノロジー導入、魂動デザインの第2ステージへの移行、そしてプレミアム・ブランドへの移行のためにスモール商品群とラージ商品群というふたつの商品構成を展開する計画だ。
スモール商品群は、日本、メキシコと、2021年に稼働開始予定のアメリカ工場で生産される計画で、そのスモール商品群の先頭に立つのがマツダ3となる。この新型車に合わせて世界各地域の販売店では次世代ブランド店舗を展開することも予定されている。
マツダ3の実像
ロサンゼルスモーターショー2018でマツダ3が正式発表されたとはいえ、その具体的な内容はきわめて限られており、詳細発表はされていない。つまり今回は魂動デザイン第2ステージを具体化した姿のお披露目となっている。
マツダ3の生産の立ち上がりは2019年3月頃の予定で、2019年半ばから年末にかけて地域ごとに発表、発売を開始する予定となっている。
今回発表された内容はボディサイズで、ハッチバックは全長4459mm、全幅1797mm、全高1440mm、セダンは全長4662mm、全幅1797mm、全高1445mmで、ホイールベースはいずれも2725mmだ。セダンはハッチバックより全長が20cmほど長いが、それ以外は共通となっている。
現行型のアクセラと比べてみると、ボディサイズはほぼ同等で、全高が25mmほど低くなっていることが目立つ程度。サイズ的にはCセグメント+に属し、Cセグメントとしてほぼ最大サイズになっている。
マツダ3のボディ骨格は、第2世代の「スカイアクティブ ビークルアーキテクチャー」で、2012年のCX-5でこのモジュラープラットフォームが導入されたが、それから7年でプラットフォーム/ボディ骨格の構造を一新したことになる。つまりこれはスモール商品群の新プラットフォームを意味している。そしてラージ商品群はFR用の新開発プラットフォームが採用されるが、このマツダ3の新世代FFプラットフォームとFRプラットフォームはある程度モジュラー化されているのではないかとも推測できる。
そしてマツダ3に搭載されるパワートレーンは、「SKYACTIV-G 1.5」、「SKYACTIV-G 2.0」、「SKYACTIV-G 2.5」、「SKYACTIV-D 1.8」、高圧縮/リーンバーン/SPCCIという新しい燃焼方式の「SKYACTIV-X」という5種類だ。もちろんこの5種類は市場ごとに選別されるはずで、北米市場は「SKYACTIV-G 2.5」がメインエンジンになると考えられる。トランスミッションは6速AT、6速MTで、これは従来と同じラインアップだ。
スカイアクティブ-Xは、マイルドハイブリッドが組み合わされるが、24Vのモーター/ジェネレーターとリチウムイオン・バッテリーを組み合わせているという。これにより減速エネルギー回生と、発進時のモーターアシストを行なう。低負荷時には大量EGRを含む超希薄混合気を高圧縮して燃焼させ、加速時には瞬時に混合気を理想空燃比に切り替えるためにスーパーチャージャーの過給器を使用するというシステムになっている。
サスペンションは、フロントがストラット式、リヤがこれまでのマルチリンク式に代えてトーションビーム式としている。トーションビームの取り付け部のトレーリング部は「逆ハの字」形で、フォルクスワーゲン方式だ。またリヤダンパーのアッパーマウントもVWゴルフやトヨタのTNGA-Cともよく似た形状になっている。マルチリンク式からトーションビーム式に変更した理由は、ラゲッジスペースの拡大、軽量さ、コスト低減などだろう。
電動パワーステアリングはコラム式を引き続いて採用し、ラックギヤはサブフレームにダイレクト・マウントされている。サブフレームはエンジン/トランスミッションを搭載する枠型フレームと、サスペンション・アームやステアリング・ラックを取り付ける部分から構成されているが、サスペンション取付部の前後スパンが短いため、この部分の動きを規制するのは難しい。そのため、ボディ後方にエクステンション・ブレースが伸びている。
ボディ骨格は青色の部分が超高張力鋼板を採用しており、主として軽量化と衝突安全対策として採用されている。骨格の入力が大きい部分は徹底的にストレート形状にこだわり、さらにBピラー回り、ドア開口部、リヤハッチ開口部などは環状骨格構造にしているのが特長だ。
第2ステージの魂動デザイン
今回発表の最大のハイライトが第2ステージとなる魂動デザイン表現だろう。マツダ3のデザインの原型は、2017年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「魁(KAI)コンセプト」だ。「魁(KAI)コンセプト」と今回のマツダ3を見比べてみると、コンセプトカーを素直に量産モデルに落とし込んでいることがわかる。
マツダの魂動デザインは、2011年に発表されたコンセプトカー「マツダ靭(シナリ)」に端を発し、2012年のCX-5から量産モデルに投入されている。「マツダ靭(シナリ)」で明らかなように、動物の持つ躍動感、筋肉の動きのもたらすダイナミック感をメインテーマに表現したデザインであることはよく知られている。
しかし第2ステージの魂動デザインは、「魂動」というテーマは継承しながら新たなデザインの境地を追求し、大きく方向を変えている。ダイナミックな躍動感から、日本の美意識を礎とした「新たなエレガンス」の表現に変わっているのだ。
この日本の美意識に従った「エレガンス」とは、控えめでありながら豊かな美しさを持つことを意味するという。凛とした印象の中にもゆとりや間があり艶がある。これ見よがしに主張するものではなく、繊細なバランスの上の美しさを表現するという。
そもそも魂動デザインはダイナミックな躍動感を表現するために後方に向かって流れるようなアッパーボディと、盛り上がったフロント・フェンダーからリヤに繋がる動的な面構成を組み合わせていた。
それが今回からはこうした盛り上がるような面構成を止め、リフレクション(反射光)、光の動きで生命観を表現したいということなのだ。そのため、面積の大きなボディサイド面にはキャラクターラインや面の張り出しを抑え、ボディサイドのショルダー部から下方に向かってわずかにインバース(内凹み)形状としている。そのため光の当たり具合によってはのっぺら坊に見えるが、外景が映り込むことで立体感が浮き上がってくるというデザイン表現になっているのだ。
このデザイン表現は、すでにコンセプトカーの「ビジョン RX」、「ビジョン クーペ」で採用されており、日本的なプレミアム・デザインの表現として生み出されている。
日本のプレミアムデザイン
マツダ3の基本フォルムは、逆スラントノーズ、ロングノーズ、キャビン・バックワード(後退)、スモールキャビンを組み合わせている。Aピラー位置を通常より後退させ、Aピラー付け根とフロント・ホイールとの距離を可能な限り長めに取ることで、伸びやかでエレガントなフォルムを生み出している。
キャビン部を後退させるとリヤのボリューム感が増大しやすいが、それを避けるためにCピラーの面積を異例なほど広くし、さらにCピラー部は後方に向かって強い絞り込みが加えられている。さらにリヤウインドウの取付角度も鋭角化させ、クーペのようなハッチバックとしている。ハッチバックの大胆なデザイン表現に比べると、セダンはトランク部とのバランスを取っているため、ハッチバックほど強いデザイン表現にはなっていない。
マツダの魂動デザインは、日本の自動車メーカーとして初のブランド・デザインをベースにした統一デザインとしてアピールされ、その練り込まれた造形は大いに評価されたが、日本的な美意識を訴求する第2ステージの魂動デザインは、グローバルでどのように評価されるのか興味深い。
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