2026年からF1に復帰することを決めたホンダ。しかし同社は、2040年までに四輪の販売比率をEV(電気自動車)・FCEV(燃料電池自動車)100%にすることを発表している。市販車との繋がりを考えれば、彼らが参戦すべきはF1ではなく、フォーミュラEであるように感じられる。
しかしホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、フォーミュラEに参戦することについては全く検討していないと語る。その理由はバッテリーにあるようだ。
■100%EV/FCEV化を目指すホンダが、エンジンを使うF1に参戦するのはなぜなのか? HRC渡辺社長「研究を続けるのは無駄ではない」
世界各国で環境対策の重要性が叫ばれて久しい昨今。自動車業界もその例に漏れず、多くのメーカーがEV化へと舵を切った。モータースポーツの世界でも2014年に電気自動車のフォーミュラカーのレース”フォーミュラE”が立ち上げられ、今や世界選手権となった。2024年には東京でもフォーミュラEのレースが初開催される予定である。
ホンダも、2040年までにエンジンを搭載する四輪車の販売を終了させ、電動車100%にする方針を打ち出している。そんなホンダにとっては、フォーミュラEは参戦するのにうってつけのカテゴリーであるように思える。東京で開催されるとなれば、そのPR効果も絶大だ。
しかし渡辺HRC社長は、フォーミュラEへの参戦は全く考えていないと明かす。
「現時点では、特に参戦の検討はしていません」
渡辺社長はそう語る。
「我々がレースに出る目的のひとつは、人と技術を育て、鍛えるということです。その観点で言えば、F1の方がより達成できるフィールドだと思っています。」
「フォーミュラEを否定するわけではありませんが、F1へのチャレンジの方が、人や技術が磨かれると評価しています。両方やればいいのでしょうが、それだけのリソースはありません」
その鍵となるのはバッテリーだ。F1では、エンジンが大元の動力源となるが、運動エネルギーを回生してバッテリーに蓄え、動力として活用する。そのバッテリーはそれぞれのパワーユニット(PU)メーカーが開発することができる。そしてその性能がパフォーマンスを大きく左右する。
一方でフォーミュラEは参戦コストの高騰を避けるため、バッテリーはウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製のワンメイクである。つまりフォーミュラEに参戦したとしても、今後の市販車にも活かせるであろうバッテリーを、自社で開発することはできないのだ。
バッテリーの開発が自由化されれば、フォーミュラEに参戦する可能性があるかと尋ねると、渡辺社長は次のように語った。
「そうですね。ただ今は、F1の方が開発の自由度は高いですから。そして何より、世界最高峰の技術競争の舞台ですから」
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
【中野信治のF1分析/第23戦】リザルト以上に魅せた角田裕毅とアルファタウリ。さらに進化した2023年のフェルスタッペン
フェラーリF1、ルクレールと2029年末までの契約延長で合意か。レッドブルからの引き抜きを防ぐ意図も
スーパーフォーミュラ初ドライブを終えたJuju、初日は81周を走行。懸念されたフィジカル面は「今のところ大丈夫そう」
佐藤琢磨がホンダサンクスデーで今年も奮闘。インディ500優勝マシンでもてぎ疾走も「危ない、危ない(笑)」
TGM Grand Prixからテスト参加の松下信治、来季のスーパーフォーミュラレギュラーシートは望み薄か「何か予想外のことが起きない限り難しい」
みんなのコメント