この記事をまとめると
■16代目となったクラウンの「伝統」となる場所を探してみた
クラウンファミリーの先陣を切る「クロスオーバー」はSUVにあらず! 新ジャンル「リフトアップセダン」の正体とは
■伝統を受け継ぎつつもフラッグシップらしい先進的な装備が多数備わっているのは見事だ
■クラウンの象徴である王冠マークもしっかり継承されている
賛否の多い新型クラウンの「らしさ」を探してみた
7月15日にワールドプレミアをし、世界に発信した16代目となる新型クラウン。当初、クロスオーバーモデルに変貌か!? と言われていたものの、蓋を開けてみれば、なんとそのクロスオーバーに加え、スポーツ、セダン、復活のエステートの4モデルのラインアップになっていた。しかもクロスオーバーのパワーユニット、駆動方式は、4気筒エンジン+フロント&リヤモーターのHV 4WD(トヨタ最新のGA-Kプラットフォーム採用)というのだから驚きを隠せない!! クラウン=FRの伝統と見事に決別したことになる。
そして販売が開始されるのは、ウワサのクロスオーバーから。それには5グレードあるのだが、まずはAdvancedグレードからスタート。クロスオーバーRS、クロスオーバーレザーパッケージ、クロスオーバーG、クロスオーバーXグレードは2023年1月以降の生産予定となっている。
新型クラウンのボディサイズは全長4930×全幅1840×全高1540mm、ホイールベース2850mm。先代より20mm長く、40mm幅広く、85mm高い堂々たるプロポーションとなり、国内専用車として死守してきた1800mmの全幅は、ついに40mm増しになったのだ。これはクラウンのリベンジたる輸出を視野に入れたものと言っていい。しかし、ホイールベースは運動性能を高めるためか、70mm短くなっている。駆動方式はクロスオーバーだけに全車4WDとなる。
室内寸法は室内長1980×室内幅1540×室内高1170mm。先代に対して室内長は不変、室内幅は40mm増し、室内高は15mm低まっている。
パワーユニットは新しいE-FOUR Advanced & ダイレクトシフト6速ATと組み合わされる2.4リッターターボHVが272馬力、46.9kg-m、E-FOUR&おなじみの電気式無段変速機と組み合わされる2.5リッターHVが186馬力、22.5kg-mとなる。
そんな新型クラウンのクロスオーバー”風”モデルだが、クロスオーバーらしくホイールハウスにはプロテクターが備わるものの、冷静に見れば、SUVでは決してなく(最低地上高も145mmと先代+10mmの乗用車並み)4ドアクーペクロスオーバー的デザインにも見えてくる。
王冠マークは絶対に外せないクラウンの証
一方、激変したエクステリアに対して、現時点で4モデル中、唯一公開されているクロスオーバーモデルのインテリアは、これまでのクラウンユーザーでも違和感なく付き合えそうな、しかし”クラウンとしては”先進感あるデザイン、機能が盛り込まれている。もっとも、メーターとセンターディスプレイが横並びのレイアウトはアリアなどでも採用されているから、ことさら目新しいものではないとも言えるのだが。
新型がクラウンらしからぬクラウン(全幅の拡大も含めて)。そう感じる人も多いはずだが、「クラウンらしさ」の定義が難しいのは、ワールドプレミアの壇上で豊田章男社長やミッドサイズビークルカンパニーの中嶋裕樹プレジデントが語るように、クラウンを知る人が「なんだかクラウンらしいよね」とか「リラックス感、上質さ加減、乗り心地」といった、かなり抽象的なものだからだ。
そもそもゼロクラウンで走りを特化させ、先代モデルではかなりクーペライクなスタイリングを纏って若返りを果たそうとした経緯からも、トヨタのフラッグシップとしての進化こそが、クラウンらしさと捉えても良さそうなのである(答えになっていないが)。
が、クロスオーバー”風”モデルとして生まれ変わった新型にも、これまでのクラウンらしさはしっかりと残っていた。これまた抽象的だが、クラウンと言えばロイヤルカスタマーを満足させるもてなし感はマスト。それはセダンでなくてもしっかりと継承されているようだ。
そして後席用の前席背後にあるアシストグリップ、前席シートベンチレーション、先代Gエクスクルーシブグレードにあった豪華な後席センターコンソール(シートリクライニングやエアコンコントロールなどが行える)、まさにクラウンならではのもてなし装備である。クラウンユーザーにはゴルフ好きも多いはずだが、流麗なルーフデザインを持つ新型でもゴルフバッグ3個が入る大容量”トランク”が備わっている(先代は4個だから後退!?)。
そう、クロスオーバー”風”モデルでも、SUVのようなテールゲートではなく、セダンタイプのトランク(トランクスルー付き)を持つのが、大きな特徴、クラウンらしさと言っていいかも知れない。
もちろん、古くからのクラウンのロイヤルカスタマーが運転席に座れば、確かにインパネデザイン、メーターとナビディスプレー画面が横一直線に並ぶ先進感ある今日的レイアウトなどに驚きを隠せないだろうが、そこはクラウン。ステアリング中央に埋め込まれているのは、トヨタ車では当たり前のトヨタマークではなく、まごうことなきクラウン伝統の王冠のエンブレム(北米仕様はトヨタマークになるらしい)
現時点で試乗は行っていないが、走ってもクラウンらしさがにじみ出ているのかも知れない……(セダンだけはFRという予想もある)。もっとも、だとしても、一気に若返りを果たし、世界にアピールすべく商品力を持った新時代のクラウンに変貌したことは間違いない。ロイヤルカスタマーがどう感じるかは分からないが、少なくともこれまでクラウンに関心のなかった幅広いユーザー(国内、国外を問わず)に大きくアピールすることは確かな16代目ではないか。
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みんなのコメント
何の話題性も無い車程ヤバイ。