コーチビルダーを救ったシトロエンDS
フランスのコーチビルダー、アンリ・シャプロン社は、シトロエンDSのカタログモデルとしてカブリオレ・ボディを手掛けていただけではない。高貴な装飾を丁寧に施した、究極といえるサルーンを10年間ほど生み出している。
【画像】高貴なコーチビルド シトロエンDS 21 マジェスティ 現代版DSクーペ 最新のDS 9ほか 全103枚
パリに自身の名を掲げたワークショップを創設したアンリ・シャプロン氏は、ドラージュやドライエといった名門と肩を並べる名声を、戦前までに築き上げていた。最盛期には350名のスタッフが働き、年間500台ものクルマを手掛けたようだ。
しかし第二次大戦後、フランス政府は大排気量のクルマに対し税制を強化。特別なボディを仕上げていた国内のコーチビルダーを、窮地に追い込んだ。
加えて、新しいモデルはモノコック構造へ進化していった。独自のボディを載せられるセパレートフレーム構造は減少し、アンリ・シャプロン社も事業の変革に迫られることになる。
そこへ救世主のように登場したのが、1955年の上級サルーン、シトロエンDSだ。既に40年近い歴史を有していたコーチビルダーへ、新たなチャンスをもたらした。類まれな技術を活かすことで。
負荷の掛からないアウター・ボディパネル
フランス語で女神を意味する「デエス」と発音が重なるDSは、前輪駆動で、油圧と空気圧で支えるハイドロニューマチック・サスペンションが特徴だった。従来的なシャシーを備えていなかったが、強固なスケルトン構造がボディ剛性を担っていた。
つまり、ボディのアウターパネルが負荷を受け止める必要はなかった。シャプロンはその事実を知り、ビジネスの可能性を発見。DSと、廉価モデルのIDをベースにした2ドアクーペやコンバーチブルを、個人の依頼主へ製作し始めた。
ル・クロワゼットやパーム・ビーチ、ル・パリ、ル・レマン、ル・コンコルドなど多様な名前が与えられ、年間30台というペースでオリジナル・ボディが仕上げられた。モダンなだけでなく、個性も重んじながら。
ボディの製作には、DSの車両価格以上の費用が求められたが、クライアントは速さや付加価値などには強い関心を示さなかったようだ。基本的に、メカニズムへ手が加えられることはなかった。
それから数年後、シャプロンはシトロエンのデザイナー、フラミニオ・ベルトーニ氏との共同でDSカブリオレを製作。ニッチな市場へ正式にモデルを提供するため、ライセンス契約を結ぶに至った。
1961年にはシトロエンと正式に手を組み、カタログモデルとなるコンバーチブル、デカポタブルDSをリリース。ドアやルーフ、リアフェンダー、インテリアなどを装備しないスケルトン・プラットフォームを土台に、1971年まで1365台が製造されている。
風格と豪奢さを備えるショーファードリブン
それと並行するように、彼はもう1つの方向性を見出していた。4ドアサルーンに代わる、上級で個性的なモデルを作れると考えたのだ。
ビッグ・シトロエンのDSは、既に国外でも特徴的なフランス車として認知されていた。シャプロンらしいエッセンスを加えようと考えても、不思議ではないだろう。かくして、DS 21 マジェスティが1964年のパリ・モーターショーで発表される。
モディファイは、シトロエンとの協力関係の範囲内に留められていた。それでも、ショーファードリブンのサルーンとして、従来にはない風格と豪奢さを獲得していた。
DS マジェスティは、DS 21がベース。キャブレターを載せ101psを発揮する、ショートストローク型の2175cc 4気筒エンジンが、通常より重いボディを引っ張った。1965年から1969年に、25台が受注生産されている。別の記録では27台という説もある。
ちなみに同社は、シトロエンのカタログ上の最上級グレード、DS 21 プレステージの豪華な内装なども手掛けていた。マジェスティは、それ以上が狙われた。
4ドアのDS マジェスティは、2ドアのパーム・ビーチやル・レマンなどと似た、スクエアなテールエンドを得ている。大きなバンパーと専用のリアフェンダーをまとい、全長は長い。
ルーフラインは通常のDSとは異なり、頭上空間を確保するため後端がフラットに伸ばされた。また、標準のルーフはFRP製でスケルトン構造にボルト固定されていたが、マジェスティではスチール製。溶接で一体化された。
2台として同じ仕上がりにはない
ボディは、シャプロン独自のクロームメッキ・モールやステンレス製のロッカーパネル、専用エンブレムなどで優雅に飾られた。ボンネットやフロントフェンダー、ドアのプレスラインなどは、標準のDSから変更されていない。
コントラストを生むような、明るいカラーでルーフが塗装されることも多かった。クライアントの要望に応じて、オリジナルの装備も設えられた。結果として、2台として同じ仕上がりにはならなかったようだ。
1965年に製造された1台には、垂直に立ち上がったリアウインドウと、リアヒンジの長いスーイサイドドアが与えられている。4灯ヘッドライトのフロントマスクで。
運転席側と車内空間を仕切る、ディバイダーを装備した例もあった。運転席側に大きな犠牲を与えない限り、リアシート側の足もと空間は大幅に制限されたが。木製の小さなデスクや、書物を入れるポーチが追加された例もあった。
リアシートで操作できるラジオや、ドライバーと会話するためのマイク、読書灯などを備えた例もある。少なくとも、風合いの良いコノリー・レザーで仕立てられる内装は、共通していた。
今回ご紹介するシャシー番号4637101の例は、1969年に販売されたDS 21 マジェスティ。テールフィンが削られた、DS 21 ロレーヌへモデルチェンジする前にアンリ・シャプロン社が仕上げた、最後の1台だった可能性が高い。
この続きは後編にて。
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